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2024-08-11

anond:20240810161003

エジプトにいた増田です。

書いたら色々思い出したので、言語に関する単なる思い出語りをちょっとメモさせて頂きます別に面白くないと思います

わたし滞在していた時はアラブ革命前後だったので、段々シリアの方が物騒になってきて、シリアにいた外国人留学生エジプトに逃げてきました。

それで何人かの子と同じフラットで住むことになったのですが、シリア勉強していた人は当然シリア方言です。そしてエジプト方言に馴染んだ日本人から見ると、シリア方言を話す青い目の西洋人めっちゃかわいくて上品に見えました。

前提のお話をすると、アラブ世界というのは中世ヨーロッパみたいな感じに、「正式言葉」と「普段使う言葉」がかなり乖離していますフスハーと呼ばれる「正式言葉」は、書き言葉のほか、宗教関係法曹関係演説テレビニュースなどで話し言葉としても使われますテレビアニメ教育目的フスハーが使われていたりします。このフスハーアラブ世界共通です。

一方、アーンミーヤ地域差が激しく、それぞれの方言があります

で、日頃この方言で話している場で急にフスハーで喋る人がいると、日本で言えば「ござる言葉」で話す人みたいで滑稽で、なんか可愛い感じもします。

シリア方言エジプト感覚からすると少しフスハーに近いというか、古くて伝統的な感じがするのですが、外国人が喋っているとそれも相まってめっちゃ可愛いのです。まぁ、わたしエジプト方言を喋るのもエジプトからするとかわいかったのかもしれませんが。

これも単なる自分の思い出語りですが、わたしは元々ずっとフスハー勉強していて、アラビア語愛が高まりすぎて仕事を辞めてエジプトに行ってしまった人間なので、エジプトに行ったばかりの頃は、「あの美しいフスハーを喋らない現代エジプト人は、なんて堕落しているんだ!」「エジプト方言はイーイー言ってる感じで下品!」と思っていました。

アニメきっかけで日本語を勉強した外国人が、実際に日本に行くと誰もナルトとか悟空みたいな喋り方をしていなくて愕然とする、みたいな感じでしょうか。

最初の頃はひたすらフスハーを学び、関わりのあるエジプト人もフスハーで喋ってくれていました(教育水準によりますが、なんちゃってフスハーでよければ皆んな多少は喋れます)。

でもしばらく暮らしていると、買い物をするのにも不便だし、その辺の無学なおっちゃんの喋っていることは全然からないし、普段周りにいる人達の会話に入っていけないのはすごく辛いです

で、途中からエジプト方言積極的に学ぶようになり、エジプト人同様に二刀流になりました。

フスハークルアーン時代言葉ベースにかなり無理して人工的に保存している言語なので、純度が高いですが、アーンミーヤには前のエントリで書いたようにトルコ語とかアラブ化以前のコプト言葉、古いイタリア語由来らしい言葉などが結構混ざっています。もちろん現代語彙では英語フランス語由来のものもあります。その辺のごった煮な感じに現代方言ならではの魅力があります

ちなみに文法の超絶難しい正則アラビア語に比べると、現代方言は簡略化されていますが(ラテン語フランス語くらいの感じ)、その分不規則要素が多くなり、なんというか、英語みたいに「ノリ」で話している感じがあります

これも余談ですが、アラビア語ヘブライ語兄弟言語なので、会話などはまったくわからないものの、古い言葉はなんとなく類推意味がわかるものもありますそもそもラビーアラビア語イブリーヘブライ語は同じ子音の順番を変えた言葉で縁が深い)。

ヘブライ語ではなくアラム語みたいですが、イエス最後に言った「エロイエロイ、レマ、サバクタニ」とかも、アラビア語風にカタカナ表記をすれば多分「イラーヒー、イラーヒー、リマーザー、タラクタニー」(إلهي إلهي لماذا تركتني)で、すごく似ています。tとthが入れ替わったのかなぁ、とか想像が膨らみますアラビア語訳の聖書とかも重々しい感じでジーンと来ますよ!(もちろん、本当はヘブライ語ギリシャ語で読むべき)

この辺は言語の本物の研究者の方たちがめっちゃ深堀りされているでしょうね。自分中途半端にかじったレベルなので、本物に色々教えてもらいたいです。

2020-07-13

anond:20200713002435

有名どころばかりだからたことがあるかもしれないけど好きな映画がわりと被っていたので…

メゾンヒミコ

愚行録

羊の木

エリエリレマサバクタニ

2016-06-07

聖書は何語で書かれたか/イエスは何語をしゃべっていたか

「shi3zの長文日記」がホッテントリに入っていますが少し言葉足らずかなあ…

http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20160607/1465246379?_ts=1465261918

”また、いま普及している聖書基本的にさまざまな本の断片を集めた合本であるため、訳者によっても微妙解釈が違う。そもそも原著ヘブライ語で、ヘブライ語聖書からそのまま翻訳しているわけでもなくて、一度英語になったもの翻訳したりするわけだから話がさらにややこしい。”

上記は旧約聖書にはあてはまります新約聖書にはあてはまりません。

日本聖書協会より引用

http://www.bible.or.jp/know/know07.html

旧約聖書ヘブライ語で記されている。ごくわずかの部分はアラム語である。”

ですが

新約聖書ギリシア語で記された。このギリシア語はヘレニズム時代地中海世界共通語となったコイネ-と呼ばれるギリシア語で、古典ギリシア語とは異なるものである使徒たちによってキリスト教が伝えられていったのは、このコイネ-・ギリシア語世界であったので、新約聖書コイネ-・ギリシア語で記されたのである。”

イエスが生きた時代パレスチナ日常会話はアラム語であり、ローマからオリエント世界における国際共通語ギリシャ語でした。

一般イエスが実際に発した言葉アラム語で、その言葉使徒が書留め、書簡に記したり布教使用したのはギリシャ語だったと考えられています

イスラエル民族カナンの地(パレスチナ)に定着してからヘブライ語使用したが、後にアラム語が使われるようになった。このアラム語アッシリアバビロニアペルシアで用いられていた。エズラ記のアラム語部分はペルシア王との間に交わさた手紙である民衆理解できなかったことを示す記録が列王記18:26にある。アラム語は次第にイスラエルに浸透するが、バビロニア捕囚はそれに大きな役割を果たしたと考えられる。ギリシア支配時代以降ヘブライ語聖書その他の宗教文書に用いられ、一般にはアラム語日常化していった。イエス時代パレスチナではアラム語が用いられていた。福音書記者イエスの語られた言葉の中に、ごく少数ではあるがギリシア語と並行してアラム語を保存している。「タリタ・クム」(マルコ5:41)「エッファタ」(同7:34)「アッバ」(同14:36)「エロイエロイ、レマ、サバクタニ」(同15:34)がそれである。”

 
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