2017-09-04

CEDEC任天堂セッション求人動向について

全くゲーム業界関係者ではないものの、プログラマの端くれとして関心があったためタイムシフト配信ゼルダの伝説の8本のセッション全部見た(また、他のセッションも色々視聴した)

内容については(増田SNSかは微妙だが)SNSへの投稿禁止、また専門家ではないので言及しない。

興味のある人は是非タイムシフトパスを購入してその目で確認しよう!と言いたいところだが、CEDEC最終日(9/1)の19時が購入期限で今から視聴は不可能である(様々な事情があるだろうし、残念ながら致し方ない)

専門外のため用語や実際の作業として理解できない部分もあったものの、8つのセッション全てプレゼンとしてとても丁寧に整理されており、他業種の私にも参考になる・刺激を受ける部分が多くあった。

内容以外で特筆すべきは、プレゼン資料統一性もだが、十二分なトレーニングを積んだと思われる16人の発表者であろう。

8つのセッション(1セッション1時間なので8時間)で16人発表したわけだが、話す速度、スライドをめくるタイミング含めて完全にコントロールされており、全てほぼ時間ぴったりに発表を終えている。

また、言い間違いや詰まる箇所は合計8時間の中で数えるほどしかなく、資料を見っぱなしということもない。

こういったセッションカンファレンスで必ずしもこのようなクオリティで発表すべきとは全く思わないが、任天堂完璧主義ともいうべき姿勢が見えて尊敬の念と同時に、少し空恐ろしいものを感じた。

セッションの中では、過去カンファレンス論文などを参考にしたなどの言及もたびたびあり、オープンにされた知見への「お返し」という面もあるのかなぁ、オープンソース的な流れを感じる良い話だぁなどと暢気に考えていた。

しかし、そこでとある情報を知った。

次回の転職ドラフト任天堂が参加するらしいのだ。

また、先日のOSC2017京都にも任天堂は協賛しており、求人広告を出している。

OSC2017京都の件については、私は求人広告は注目しておらず、任天堂が昨今のマクロソフトアップル同様、秘密主義からOSSへ歩み寄り始めているのかと思っており、CEDEC任天堂関係者が登壇する、というのもその流れで観察していた。

(ちなみに今年のHTML5カンファレンスへも任天堂スポンサーとして協賛しており、同様に求人広告を出すのではないかと予想している)

ただ、これほど立て続けにこれまで関わりの薄かった他業界への求人アピールが続くと今回のCEDECの講演内容について別の側面から見たくなってくるものだ。

CEDECセッションからという面はあるのだろうが、8つのセッションの多くはこれまでの任天堂の「アイデア」「枯れた技術の水平思考」的なイメージから離れたモダン効率化・自動化を中心としたセッションであった。

実際、セッション内容をまとめた記事を見たと思われる人々から任天堂イメージが変わった、という感想も多く見受けられる。

既存イメージ合致するのはフィールドレベルデザインセッションの一部ぐらいだろうか)

セッションで繰り返し述べられたのは、自動化効率化によって「最後まで何度も調整できた」「クリエイティブ作業に集中できた」ということである

その「クリエイティブな繰り返しの調整」こそ任天堂の元来のイメージに相当する部分であると思われるので、任天堂の開発手法が大きく変わったというのも事実ではあろうが、外部に見せる側面を変えたという印象が強い。

まり既存イメージを強調するセッション行おうと思えば出来たにも関わらずそうしなかったように思えるのだ。

とにかく、メディア記事確認してもわかるが、今回のセッションではブレスオブザワイルド特有面白さの根幹に関わる部分はほとんど出てこない(例えば以前から話題になった2Dマップでの検証化学エンジンに関する内容)

企業秘密から一般化できるようなノウハウではないから?

それもあるだろう。ただここで一つ仮設を立てたい。

8つのセッションは開発の様々な知見からある効果を狙って特定テーマに基づいて選定されているのではないだろうか。

そして、そのテーマはおそらく「ゲーム制作支援する技術(者)」である

先ほど述べた通り、発表内容・資料プレゼンタークオリティ一定以上に統一されて非常に高い。ほぼ間違いなく、開発チーム・制作部署以外の部門も深く関与しており、そのテーマの選定にも関わっていると考えるのが自然だ。

ゲーム自体に関わる部分への知見ではなく、他業界にも理解やすく応用できる内容を意図的に選定しているのではないか

セッションを視聴した人、またメディア記事を読んだ人でこういう感想を持った人も多くいただろう。

「他業種だけど参考になる」

ゲーム以外のソフトウェア開発にも応用できる部分もありそう」

「こういう開発支援ツール作るの楽しそうだな」

「分野は違うけど、自分のやっている(やりたい)仕事と似ている」

自分技術ならもっと自動化効率化できるのに」

「こういう形なら任天堂で働くのも自分でもできるかも」

転職先としてゲーム業界選択肢にしよう」

秘密主義任天堂はある日突然、知見の共有に目覚め、OSS理念共感し始めたのではなく(部分的にはそうなのかもしれないが)、他業界の(優秀な)エンジニアに自社の存在アピールしようとしているのではないだろうか。

自社の技術開陳し、それを一種求人広告とするというのは他のカンファレンスでもよくあることではあるが、今回のCEDECセッションもその面が強いのではないだろうか。

IT企業ベンチャー企業経営者は「参考になる!」とか言ってfacebookTwitter記事能天気シェアしている場合ではない。

平均年収840万の(日本本社とする)世界企業が本格的に君たちとの人材獲得競争に参戦したのである

昨今のコンシューマゲーム業界に対するサイゲームスの立場に近いものを感じた。

ちなみに私はフレックスなし、制服作業着)着用の時点で中途採用への応募は断念した。

今回の内容では余りに任天堂が腹黒いかのような印象を与えてしまうので、補足としてCEDECに関してはセッションへの登壇こそ初めてのものの、任天堂は長年スポンサーとして協賛しており、過去数回基調講演への登壇は行っていると書き添えておく。

また、多かれ少なかれ企業というはこの手のカンファレンスへはある程度作為を持って参加するのが当然のため、私自身は任天堂に他意はない。

  • プラチナスポンサーの力で賞を総ナメ たかがゲーム内に看板だしただけで 諸手を上げて賞賛しまくるような盲信者だらけ CEDEC(笑)

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん