2015-03-08

週刊少年ジャンプ連載/原作:附田祐斗作画:佐伯俊・協力:森崎友紀/「食戟のソーマ」スタジエール編における、『洋食三田村改善に関する疑問と解答例

食戟のソーマ スタジエール編における、創真と秘書子が手掛けた、『洋食三田村改善に関し、諸々と毀誉褒貶議論が出ているので、要点を整理してみた。


・完全予約制では、新幹線需要一見客や、以前からの客だが予約してまでは利用したくない準常連客が、利用しなくなるのではないか

→どのみち、改善前の状態でも、万全の対応が出来ていない。

それが続く様では、おそらくは今後の評判にも響く。

故に、何らかの変革を要した。

・店側の対応能力に合わせる(=キャンセルを減らし、有意な回転率を改善する)べく、席数を減らせばどうか

→席数を減らした場合でも、満席状態ならば、時間内に入れない人の方が多い。

改善前と同様で、「利用出来ない/利用し辛い」のは同じ事。

現状、大勢の客が来る状況は変化しないならば、折角の固定客である常連を含め、食事したい客の利便性を損なう

特に、昔から常連が利用し辛い状況は、オーナー理想に反する。

利益率向上にも繋がらない。常連のみならず、一見であるが急いではいない客、評判を聞いて訪れた新規の客が利用し辛くなる状態は、機会損失

行列が出来る状況になるとして、それは、予約制に近いものである

ならば、より徹底して完全予約制とし、確実に食べたい客が利用し易い様に(及び、その様な客の過剰状態も調整出来る様に)して、即刻入りたい飛び込み客・時間が無くて持っていられない新幹線需要の客は、最初からお断りする方が堅実で誠実(なお、作り置きのサンドウィッチやお弁当テイクアウトとかでの対応なら、アリかも知れない)。

・店側の対応能力に合わせる(=迅速に提供し、キャンセルを減らし、有意な回転率を改善する)べく、メニューを減らせばどうか

豊富メニューが店の売りの一つである

それを損なえば、常連客を失望させ、オーナー理想にも反する。

・予約して入店した常連客が、ナポリタンなど注文していたが。客数は減ったのだから、客がもっと高額な料理を注文してくれないと、客単価が上がらず、営業利益が減少するのではないか

→あの常連客は、サイドメニュー2品と、食後のコーヒーも注文している。サイドメニュードリンクは、粗利率が高いものであるメニューの斯様な構成によって客単価を上げる手法存在するのである

なお、あの常連客には、塩分控えめというきめ細やかな対応も行なっている。数を熟す慌ただしい店では困難なサービスである

・店側の対応能力向上の為、人手を増やせばどうか

→常時混雑しているなら兎も角、新幹線需要一見客は、新幹線時間に応じて波状に押しかける。

細かくシフトを組むと、多分、その管理が極めて煩雑になる。

だが、従業員に一日中居て貰ったら、一日全体から見ると、費用対効果的に、無駄になってしまうかも知れない。

また、少数でどうにかしてくれる優秀な人材など、そうそう都合良く確保出来る訳が無い。創真や秘書子級の、修羅場を少数で何とかしてくれる人材は、滅多に居ない。

数だけを増やせば、当然更に人件費が嵩む(料理人場合はなおの事であろう)。機材の増強も要される。売り上げが増えれば増える程、経費も嵩み、営業利益が減り、赤字となる理不尽な状況すら有り得る。

なお、創真や秘書子らは、遠月茶寮学園の教育課程である「スタジエール」の制度によって派遣された人材であり、おそらく給料不要である

・来店客数が、店側の対応能力を超え掛けたら、席が余っていても、満席の札を出し、入店制限を掛ければどうか

→それは、席数を減らす手と、あまり変わらない。

入店制御を行うなら、完全予約制の方が、より万全である

・客が多くて困るなら、いっそ引っ越せばどうか

→立地の良さは、完全予約制であっても有意である宣伝面での負担も激減する。

また、引っ越しは、相応の費用と手間が必要

店舗を、三田村オーナーが所有しているとして、それを売却するか賃貸に出し、もう少し地価の低い所へ、新店舗を買うか借りるかして移転するなら(適切な飲食店向けの建物を居抜きで確保出来るなら、なおの事)、賄えるやもだが。

場所が変わる事による、常連利便性低下の問題も出る筈。

もし、現在地からごく近い場所なら、地価もさして変わらない。或いは、居抜きで移転可能な適切な建物が無いかも知れない。然るべき改装も伴い、一大出費になりかねない。

常連や、評判を聞いて来た新規客は、空いてる時間帯に来て貰えばどうか

→客にも、それぞれの都合が有る筈。客が合わせろという態度は、ホスピタリティ無視している。それはオーナー理想から外れる。

ずっと店を支えてきた、一番固い常連客の軽視は、営業的にも悪手。

・完全予約制ではなく、予約優先制ならどうか

→結果として、大量の客(特に新幹線需要一見客)の波状殺到が店側の対応能力を超えるならば、現状とさして変わらない。

・そもそも、一見客の切り捨ては損ではないのか

対応が困難ならば、上述の理由により、絞るのが合理。

そして、オーナー理想は、討論によって再確認されたが、常連客の重視である

洋食三田村』の苦境の本質は、三田村オーナーが、どの客層を対象とし、どの様な店にするかを決めかね、見失って居た事に起因する。

オーナー常連客こそが重要と改めて認識した事により、あの店の最大の問題点は、「新幹線需要一見客を捌きかねていた事」ではなく、「常連客が寛ぐどころか入店も困難となり、折角の常連客・固定客・リピーターが離れていきかねない状況になって居た事」となったのである

よって、店が対応しかねる大量の一見客は、商機ではなく、むしろノイズの様なものとなったのである

それに、作中の改善は、一見客の完全な切り捨てではない。美味いという評判を聞いて、予約してでも来たがる、新しく常連客に成ってくれるかも知れない客も居る筈(作中明記はされていないが、予約即入店も、余裕が有るなら可能かも知れない)。

また、現在新幹線需要一見客激増は、バブル的なものかも知れない。

先々、駅周辺が更に栄え、飲食店が更に増える可能性は高い。

その時は当然、新幹線需要一見客は、相対的に減少するかも知れない。

また、大手チェーン店が出店すれば、其の方が、大量客を手際良く捌く方向には向いているであろうから、勝機は薄い。

その事態において、常連客が、もし粗末にされ、離れていたら、営業的にも不都合

なお、上述したが、飛び込みの客(及び、待ち時間が無い客)への、テイクアウトでの対応は、アリかも知れない。

・繁忙時においては、時間が掛かる旨の告知を行えばどうか

→それは、実質、待ち時間が限られている新幹線需要一見客、或いは長時間待つだけの熱意の無い準常連客への、切り捨てに近い。その意味では、完全予約制への対案には成り辛い。常連客の利便性の面でも万全ではない。

半年間無策で通したあの無能達が、完全予約制にしたところで、上手く経営出来るのか

→「洋食三田村」の面々は、料理面では無能ではない。

以前は、新幹線需要一見客増加という要素無しでも、常連客が付いていて、経営を支えていた。

また、相応の数の従業員を抱えていた事象が、その必要性(相応の来客の存在)を示している。

この半年間の宜しからざる状況でも経営出来てきた事象も、店の評判や経営的な体力の存在を示してる。

遠月茶寮料理学園が生徒のスタジエール先に選んだという事象も、料理面では優れているという状況証拠になるかも知れない。

特に料理の美味さについて、作中の設定的に絶対の信用が置ける感覚を持つ創真・秘書子らも認めている。

新幹線需要発生以降において、駅周辺に飲食店複数有る中で、あの店に客が殺到する事象も、あの店は美味いという評判が立っている証拠かも知れない。

料理が美味いなら、客は来る。

客が来るならば、完全予約制の方が、サービスホスピタリティの強化なども含め(上述したが、完全予約制故に可能サービス存在する)、状況を制御し易い。

完全予約制は、仕入れなどでの無駄が出辛く、従業員休みを取り易くなるなど、客が来る自信が有るなら、経営面でも好都合である

料理の腕以外は頼りないオーナーには、その意味でも向いているかも知れない。

なお、今後更にオーナーの思案に余る問題が発生すれば、外食コンサル問題解決外注すれば良い(特にこの作品世界では、遠月グループが、その部門も備えている筈。そもそも、創真らに助言を仰ぐ手も有ろう)。

要するに。

・「洋食三田村」の料理は美味い

三田村オーナーには、貫きたい理想が有る。創真達は其れ尊重せねばならない

洋食三田村」の改善について、これらの要素の無視は、NGである



追記

洋食三田村』は、完全予約制移行後、客の減少により(従来の常連客が、速やかに復帰するとは限らない)、従業員リストラ必要になるのではという意見が有るが。

完全予約制移行より後の『洋食三田村』においては、従来の常連客の或る程度の復帰のみならず、リピーターになるかも知れない新規客の微増も見込まれる。

あれだけ大量に来ていた一見客の流れが完全に絶無になる事は、考え辛いかである

美味いという評判も有ったが故に来店していた新規の客も居た筈だからである

故に、そこまでせねばならない営業利益経常利益の低下は起こり得ないのではないか

ただし、あの従業員達が、新幹線需要一見客の殺到していた時期以前からあの人数だった訳ではなく、一見客の激増後、それに対応すべく多少は増員していたなら、また別かも知れない。

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