はてなキーワード: ツツカナとは
第1期叡王戦を勝ち抜いた山崎隆之叡王と、第3回電王トーナメント優勝ソフト「PONANZA」による2番勝負、「第1期電王戦」の第1局が一週間後の4月9日・10日に行われるので、勝敗予想を書いてみた。
2014年の第3回電王戦から、ソフトの事前貸出・改良修正不可・マシン統一などが義務化された。このルールは今回の電王戦までずっと変わらない。
ではこのハンディ有りルールでのプロ棋士と将棋ソフトとのレーティング差はどのくらいか?
プロ棋士の発言をもとに結構てきとーに計算してみた。
年月日 | ソフト推定レート | 前年との差 |
---|---|---|
2013.4.6 | 1650 | - |
2013.11.11 | 1735 | +85 |
2014.12.7 | 1800~1850 | +65~115 |
2015.12.23 | ? | ? |
年月日 | ソフト推定レート | 前年との差 |
---|---|---|
2013.11.11 | 2020以上 | - |
2014.12.7 | 2100以上 | +80 |
2015.12.23 | ? | ? |
だいたい1年につき、プロ棋士側から見てソフトがR80~100程度上昇している、と言えそう。
また、先手番と後手番では事前に研究しなければならないゲームツリーの量が大幅に違うことから、勝率がかなり変わるようである。
永瀬六段の発言を真に受けるとすると、本来勝率約52%の先手番と後手番の差が約80%(R300)もの差になっている。
昨年(2014.12.7)の時点でAperyとSeleneがプロ棋士先手でR1825くらいとして、昨年の時点でPonanzaが半年分リードしていて+40~50、この一年で+80~100と考えると、
今年のPONANZA(2015.12.23ver)は先手番でR1945~1975程度、後手番は+300としてR2245~2275ぐらいなのではないだろうか。
使用されるPCが去年より弱体化(5960x→6700k,メモリ64GB→32GB)しているが、それでもせいぜいR30くらい下がる程度だろう。
プロ棋士側の現在のレーティングは山崎叡王がR1766。(ちなみに羽生四冠はR1923)
数字の上では山崎叡王の先手番期待勝率は約23~26%、後手番は約5~6%。なので山崎叡王が後手番である第1局については、どうも勝てる確率は絶望的に低いと思われる。
一方で先手番の第2局については一発入る可能性も否定出来ない。
しかし、二日制になり局面誘導の練習がやりずらくなったこと、PONANZAはSelene等他ソフトに比べて事前研究対策が上手であること、
今回のPONANZAが相当強いという情報があることなどを考えると、すんなりと勝たせてはもらえないだろう。
もちろんソフト側にバグや、かなり有効なハメ手が存在すればもっと差は縮まると思われるが、山崎叡王の発言から推察するに、今回のPONANZAにはそれもなさそう。
以上を踏まえて
本命 山崎叡王 0-2 PONANZA
対抗 山崎叡王 1-1 PONANZA
と予想する。
個人的には、事前貸出有りで、かつ先手で勝利したとしても、それは駒落ちしてさらに下手側が先手になるようなものだと思っているので、別に感動したりはしなさそうだなぁ。
まあそれでも山崎叡王が1勝でもすれば、あまり深く考えない将棋ファンは喜ぶだろうし、興行としてはありかもね。
日本将棋連盟とドワンゴは、一般人が平等でないと気付いてしまいそうなルール(駒落ち、森下ルール、持ち時間に差をつけるetc…)を避ける傾向にあるようなので、
これ以上プロ棋士側に有利なルールを制定するとなると、使用するPCのスペックをさらに下げるしかないだろう。
しかし、例えばCPUをXeon4個から6700k1個に変えても、一般人にはスペックダウンしたことがよくわからないが、
デスクトップPCから、ノートPCやタブレットに変わるとさすがにハンディがあるという印象を拭えない。
また、スポンサーであり対局PCを提供しているガレリアは一応ハイスペックPCが売りのブランドなので、
これ以上スペックを落とすことはブランドイメージに傷がつきかねないだろう。
よって、「プロ棋士は将棋ソフトにもう勝てないのか」という問いについては
「『多くの一般人から見て公平に見えるルール』で七番勝負を行う場合、名人でさえも(バグやかなり有効なハメ手等を見つけないかぎり)勝ち越すことはかなり難しい」
と言えそう。
ちなみに、事前貸出なし(レート+400以上、角落ちくらい?)、PCのスペック制限をしない(クラスタ化でレート+400)と仮定すると、1945+800=R2745となる。
2013年の第2回電王戦ルールでは、もはや1勝も出来ないだろう。
ということで、これまでの4局を振り返ってみた。
阿部光瑠(こーる)は訛りがかわいらしい18歳。プロ棋士チームでは三浦、船江に次ぐ三番手の実力の持ち主で、船江に次いで勝つ可能性が高いと目されていたが(三浦は相手が強いので……)、それでも率直に言って彼が勝つと本気で予想していた将棋ファンは多くはないだろう。
つまり、プロ棋士チームは5連敗か、よくて1勝4敗だろうと思われていた。そのくらいの圧倒的な実力を、コンピュータはインターネット上の対局サイト将棋倶楽部24などにおいて見せつけていたのだ。
そんな下馬評を、こーるはこれ以上ないくらい鮮やかに覆した。習甦の桂跳ねからの無理攻めを誘い、圧勝。
局後のインタビューによれば、こーるは提供された習甦での事前の練習将棋をかなり入念に行っており、今回の将棋も練習で発見したコンピュータの穴のようなものを突いた、という側面もあったようだ。そのため、純粋な実力でなくバグを利用しただけ、という評価もないわけではない。
しかしともあれ、(少なくとも団体戦としては)勝敗は見えていると考えていた将棋ファンの横っ面を思いっきりひっぱたくような衝撃的な圧勝であり、これによって一気に電王戦が盛り上がったことは間違いがないだろう。
第1局の圧勝で、軽薄なる我々将棋ファンはあっさり手のひらを返し、意外とコンピュータはたいしたことないのではないか、という空気も生まれつつあった。
電王戦開幕前にはほとんど勝ち目がないだろうと考えられていた佐藤慎一(サトシン)だが、対局当日には案外あっさりサトシンが勝つのではないか、という声もそれなりにあったように記憶している。ここで実際サトシンがあっさり勝ってしまえば、それはそれで電王戦は盛り上がりに欠けるものとなっていただろう。
しかしponanzaは、忘れっぽい将棋ファンにコンピュータの強さをしっかりと再認識させてくれた。少々拙い序盤ながら決して形勢に大きな差をつけられることなく追走してゆき、圧倒的な終盤力できっちり差し勝つ。ponanzaの将棋は、我々が見てきた「強いコンピュータ」の将棋そのものであった。
この対局で、現役プロ棋士はコンピュータに初の黒星を喫することとなった。歴史的な一敗。そして序盤の拙さも含めあらゆる意味でコンピュータらしいponanzaの将棋は、この一敗をもたらすに相応しいものであった。
1勝1敗で迎えた第3局。既に述べたとおり船江恒平は三浦に次ぐ実力者で、人間・コンピュータ双方ともに力を尽くした戦いとなることが期待されていたが、はたして本局はそうした期待にたがわぬ名局となった。
上位棋士の実力を発揮して優位を築く船江。傍目にはかなりの大差と見えたのだが、68手目△2二金打がコンピュータの面目躍如たる一手だった。
受け100パーセント。
将棋では、こうした反撃の味を含まない手を指すようでは基本形勢が悪いとしたものであり、実際厳密には船江の方が良いのかもしれない。だが(プロ棋士も含む)観戦者の多くが楽観していたほどの大差でなかったことは明らかであり、人間の盲点を突く74手目△5五香以下ツツカナが逆転した点をとってみても、コンピュータの読みの確かさが改めて裏づけられた形である。
さらにこの後、いわゆる水平線効果(コンピュータは特定の手数で読みを打ち切るため、打ち切り後に好手がある場合にそれを考慮に入れられず悪手を指してしまう現象)でツツカナは敗勢に陥るものの、粘り強い指し手を続けて再逆転を果たす。
コンピュータのこれでもかという程の中終盤の強さと、それに追随できるだけの船江の高い実力があってはじめて実現した、まさに名局であった。
第2局・第3局とコンピュータが連勝したことで、将棋ファンの空気は再び「コンピュータ強し」へと変わっていった(まったく調子のいいものである)。そしてその強いコンピュータに対し塚田では勝てないだろう、との見方が大勢を占めていた。
対局はそんな大方の予想どおりに推移した。Puella αが攻めをうまくつなげ、塚田は74手目△1五と以下入玉をめざすもののその代償として飛車角を失う。相入玉となった場合(Puella αが入玉できることは確実な情勢であった)大駒(飛車角)各5点、小駒(それ以外)各1点として24点に達しないと負けとなるが、10点分の大駒を失った塚田が24点に達することは絶望的であり、つまり将棋としてはこのあたりで終わったと言ってよい。
ところが塚田はその「終わった」ところから約150手も指し続け、なんと最終的には引き分けに持ち込んでしまうのである。これは入玉将棋に十分対応できないコンピュータの自滅によるものであり、この約150手はバグ探しのような将棋とは別のゲームであったと評さざるを得ないだろう。
将棋としては大変微妙な部分もあったのだが、なんとしても大将につなげたいという塚田の執念が胸を打ち、特に将棋になじみのない一般人を中心に大きな話題となった一戦であった。
こうして見ると、どの対局も盤上にせよ盤外にせよ何らかの見所があってなかなか面白かったな。
で、数々のドラマを生み出してきた電王戦も、いよいよ最終第5局。