会社としては、ウンコ漏らしたくらいでクビにすることは一切ないが、
君の部下も上司も同僚も君に安心して仕事を任せられないと言っている。
他の社員との信頼関係が失われたいま、君がうちに残って仕事をしていても
もし、君が今すぐ自己都合退職すると申し出てくれるなら、人事部長として出来る限り
君に有利な条件で退職できるように尽力したいと思っているのだがどうだろう。
もちろん君は今まで通りに仕事してくれても構わないが、
仕事というのは一人でこなせるものではないし、チームワークが不可欠な場面ってあるからねぇ。
しばらく仕事を続けてから判断するというのであれば、通常の自己都合退職扱いということで、
その点も含めて、じっくり考えてみてくれたまえ。
みたいに言われる。
大体、感じたことは多くの人と一緒だろう。つらく、悲しく、恐ろしい。
アニメーション会社としてとても評価されているところだし、会社は立ち直れるかもしれない。(まだわからないけど)
でも……生き残った社員は?
事件の原因は、火だそうだ。
放火、というのは何かピンとくる言葉じゃない気がする。明らかに人を狙った事件だからだ。
焼き殺した、というのが一番近いのだろう。でも二字熟語じゃないからちょっとデジタルでタイプするには言葉がモゴモゴする。
グーグルで検索したら焼殺、とか焚殺とかが出てきた。うーん、これはこれで馴染みない。
完全鎮火が午後3時20分頃とのこと。
多分それからきちんと現場の状況を確認できるようになって、時間が経つに連れ続々と死者の確認数が増えていった。
焼けて死ぬのは苦しい。
死ぬのは大抵辛くて苦しいが、焼け死ぬのはその中でもかなり苦しい方だ。
なんとか逃げてきた人の中に、ガソリンのようなものをかけられた人が居たそうだ。
体の上をごうごうと焼き尽くす。すごく痛いし、苦しい。実際に見たことはないけど、気道が焼けるなんてこともあるらしい。
料理で火を使ったことがある人は分かるだろうけど、意外と、料理って中々奥まで焼けない。なんか頭の中のイメージより焼けないんだよな。
まだ中の大事なところまで焼けないのに、ずっと体の上が焼けて痛いのは相当、苦しい。
他にもいろいろ。
全員ではないだろうが、そんな死に方をしてしまった人も居て、それを見てしまった人がいる。
一緒に働いて、仕事の相談したり、作業を頼んだりしていた相手が。
そんなショックな状況が、アニメーションという仕事と結びついてしまう。
社員の中にはこの会社を続けられないだけではなく、アニメーションという仕事自体を続けられない人も出るのではないかと思う。
自分たちが作り上げてきた作品をどこかで目にして、苦しんでしまう人が。
勿論、ただの不安からくる過剰な心配かもしれない。そうだったらただオレが心配性のバカなだけだしな!
でも、渦中の人たちは我々、ニュースを見て案じる人間とは「別の苦しみ」を感じているのは何となく心に留めて置いたほうが良いと思う。
「もっとつらい」という言葉選びはピンと来ない。間違ってるとかじゃなく、なんか言いたい意味が伝わりづらいなと思う。
ニュースを見る人たちの不安も悲しみもホンモノだし、それを安く感じてしまうような言葉選びはよくない気がする。
だから「別の苦しみ」と言うようにする。
我々の感じてる苦しみとは、また別の苦しみを感じている彼らのことを想っておくと、なんか今後の行動への自戒になるんじゃないかな。
怒ったり、悲しんだり、不安になると、つい変な発言をポロっとしがちだ。時には当事者や他の悲しんでる人のためにならないようなことも。
つらい気持ちを抑えたり、コントロールするのはすごく大変だけど、頑張りたい。
具体的に、こうした方が良いとかこういう発言をネットに乗せるのはやめたほうがいい、とか言えたら良かったんだけど、うまく思いつかない。ごめんな。
たぶんはっきり言えたほうがみんな安心すると思うんだけど。悪いけど、個々人で、善いと思うことをやっていってほしい。
亡くなった方に対して、なんと祈ればいいのか分からないところがある。
だって想像するだけでとんでもなく怖くてつらい死に方だ。考えただけで怖気づく。なんて言えばいんだろう。
せめて、生き残った人の怖さや苦しみが早くやわらぎますように。
ボウルにいっぱいのポテトサラダが?