1.はじめに
私は、新卒で入社した会社で6年働いておりましたが、長時間残業や退職勧奨の結果、うつを患って退職した者です。現在は、健康保険組合から傷病手当金を受給しつつ、療養しております。
今回色々と役立った知見を他の方にも知ってもらいたく、増田に記させていただきました。本来であればミニサイトなどを作ればいいのですが、そこまで気力がないので、取り急ぎ増田にて公開させていただきます。
うろ覚えの部分もありますので、正確な情報をお知りになりたい方は、グーグル先生にお尋ねください。
2.うつで退職したらすぐに行った方がいいこと(ほぼ全員向け)
勤続1年以上の方が、(業務外の)病気やケガで働けなくなった場合、加入している健康保険組合から、過去の給与の2/3相当額が、最大1.5年支給されます。これは休職中はもちろん、退職後も対象となります。一応審査等はありますが、ちゃんと通院していたり、薬局で薬を処方してもらっていれば、ほぼほぼ受給できると思います。
休職中の申請は、あなた→勤務先→健保、という流れですが、退職後はあなた→健保、となります。ただし退職前に一度も申請していなかった場合、健保があなたの給与を把握する必要があるので、初回だけ、あなた→元勤務先→健保、という流れになります。申請から概ね1か月で支払われると思います。
具体的な申請方法は、「(あなたが加入している健保名)+傷病手当金」というキーワードで検索してください。
傷病手当金を受給していると、失業保険を受給することができません。傷病手当金は「働けない人」のためのものであり、失業保険は「働けるけど、働き先が見つからない人」のためのものだからです。しかしハローワークはあなたが病気であることをしらないため、受給延長申請をしないと「働けるけど、失業保険の申請をしてしない人」と判断されてしまい、傷病手当金の支給が終わった(快復した、または1.5年が経過した)段階で貰える失業保険が少なくなってしまったり、もらえなくなってしまうこともあります。
具体的には一度ハローワークに離職票等を持参のうえで、相談にいらしてください。おそらく申請書を渡され、診断書を用意するよう言われますので、申込書に記入し、医師に診断書を書いてもらったうえで、それらを持参するか、郵送にて送る形になると思います。
なお私の健保では、傷病手当金との二重申請を避けるために、失業保険の受給延長申請の承認書の原本を定期的に送付するよう要求されました。
事前に地方自治体などに申し出ることにより、うつなどの精神疾患を患っている方の通院費、薬剤費が1割負担となる制度です。制約としては、病院、薬局がしていされてしまい、勝手に変更できない、という点があります。
手続きには、医師の診断書が必要ですので、うつの診断をされた方は、診断書を発行してもらったうえで、各自治体の保健福祉課等にお尋ねいただくか、「(あなたの居住する自治体名)+自立支援医療」というキーワードで検索してください。
退職した場合、基本的には国民健康保険に移行することとなります。しかし、国保の保険料は前年の収入によって決まるため、前年フルタイムで働いていると、意外と高くなってしまうことがあります。
そのような人には、従来加入していた健保に引き続き加入し続けることをお薦めします。健保の場合も、前年の収入によって決まるという点は同様ですが、上限が設けられているため、人によっては国保より安くなることもあります。ただし今まで勤務先が負担していた分も、自費で負担することになりますので、概ね2倍になります。
こちらも詳細は健保のホームページに載っておりますので、ご自身の収入等と比較してご検討ください。
3.会社と戦っても良いと思う人向け
この項目は正直人によります。会社という組織と戦うことは、あなたにとって大きなストレスとなります。お金をもらえてもストレスでさらに病んでしまっては元も子もありません。
ですが、もしあなたがそれでも戦いたいというのであれば、会社が正しいかどうかを社会という場で評価してもらうとともに、残された他の従業員のためにも、ぜひ戦ってもらいたいと思っております。社労士や弁護士、労働基準監督署の職員の方は、適切にお願いすれば、きっとあなたの味方になってくれます。
(1)労働審判を起こす
うつになった原因がパワハラや長時間労働であれば、それの損害賠償請求を行いましょう。まずは証拠や申し立てをまとめて、元勤務先に送付することです。おそらく無視するでしょうから、弁護士に頼むのがお勧めです。
無視された場合、労働審判を起こしましょう。労働審判とは裁判所が行う話し合いを軸とした紛争解決の仕組みです。裁判所で行われ、申立人(あなたと弁護士)、相手方(元勤務先と(いれば)弁護士)が裁判官を挟んで円卓に座り、証拠を出し合いながらそれぞれ意見を主張するというものです。「相手方の顔を見ることもストレスだ」という場合は、事前に裁判所に「うつを患っており病状悪化につながるため、個別に進める形にしてほしい」と申し出ることで、一方が主張するときはもう一方が席を外す形式にしてくれることもあります(確実ではありません)。
通常の裁判だと数か月にわたって何回も行われますが、労働審判の場合、3回以内で解決させるという決まりがありますので、概ね2~3か月で解決します。基本的に一方的に負けることは少なく、最低請求額の2~3割は取れることが多いとのことです。この和解内容で双方が納得できなければ裁判に移行する形になります。
ちなみに弁護士報酬は自由化されていますが、今でも過去の流れに従って、着手金として請求額の8%、成功報酬として和解金の16%とされている方が多いようです。中には、着手金0%、成功報酬24%など、成果報酬型でされている弁護士も多いので、インターネット等で探してみてください。
余談ですが、未払い残業代がある場合は、ここで合わせて請求することも可能です。損害賠償は金額がブレることが多いのですが、未払い残業代は、証拠があればそこまでブレることは無いと聞いています。
労災保険とは、業務上の理由によりケガや病気で働けなくなった場合、治療費、薬剤費、働けない期間の保証(過去の給与の8割)がされる制度です。勤務中のケガなど、誰がどう見ても業務に関係しているものについては、会社が申請を出しますが、精神疾患の場合など業務だけか原因か分からないものについては、会社としては嫌がる傾向があります。
退職後に申請を行う場合、まず労働基準監督署を訪問し、必要な書類等々を受け取るところから始まります。インターネット上に申請書はありますが、労基窓口でしか配布していない書類もありますので、一度訪問して説明を受けた方が良いと思います。こちらも場合によっては、社労士や弁護士に資料作成を依頼するとスムーズに進みます。特に昔のことを思い出すことも嫌でしょうから。なお労働審判を行っている場合、同じ弁護士に頼むと資料を流用できますので、とてもスムーズに進めることができます。
申請書には勤務先記入欄がありますので、まずは自分で記入できるところすべてに記入し、勤務先記入欄に記入してもらうよう依頼文を送りましょう。これも社労士や弁護士に頼むのがお勧めです。「そのような事実はない」との返答が来るでしょうから、これを記入拒否された証拠として申請書とともに労基に提出します。
あとは書かれた内容を元に、労基があなたと元勤務先のそれぞれにヒアリングを行い、客観的な観点から労災保険が下りるかどうか判断します。認定までは半年から1年近くかかっているそうですので、できる限り早めの申請をお勧めします。
なお傷病手当金との同時申請は可能ですが、どちらか一方しか受給できませんので、労災保険が下りた段階で傷病手当金は返却することになります。
4.おわりに
色々な制度がありますが、知らなければ、そして、申請しなければ1銭も得ることはできません。健康に療養するためにはお金が必要ですし、お金の不安を克服することがストレス解消の1つにもなります。
はあ。そんな制度を土壇場で駆使できるような奴はまず間違いなく鬱ではないかと。
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