2016-05-15

共産音楽趣味者としての共産主義の魅力

私は共産趣味者だ。歳は20代共産主義シンパではあるし、社会主義者ではあるかも知れないが、共産主義者ではないと自己規定している。

共産趣味にもいろいろある。私はソ連音楽が好きだが、映画ポスタースローガンに惹かれる人もいるし、ミリタリー方面が中心の人もいる。地域についても、東ドイツはじめ東欧諸国ユーゴスラビア東南アジア南米などの東側諸国だけではなく、日本西欧などの西側諸国で見られた共産主義の関わる文化活動に惹かれる人など様々だ。

ソ連音楽社会主義者音楽の何が私を惹きつけるのだろうか、と思ったので書いてみる。多少ガチ共産主義者っぽい部分もあるかも知れないし、不勉強なので思想の細かいところは間違っているかも。

こっち側にとって史上最大の敵対相手であったこと

世界の半分で、少なくともその当初は熱狂的に支持された思想であり、いくつかの分野では一時とはい西側を圧倒する成果を生み出しもした。つまり強かった。

その思想

ブルジョアの打倒、プロレタリアートによる平等平和建設!惹かれないわけがない。

対する資本主義陣営自由民主主義を掲げて戦ったし、これも強力な思想だが、その登場はあくま共産主義に対するカウンターしかなかった。資本主義陣営の根幹にある思想あくま資本主義の維持だったからだ。戦う相手社会主義陣営というよりは資本主義陣営労働者階級だった。社会主義陣営が実際に自由民主主義を侵していたからこそ、この主張には効果があった。

感情を揺さぶるように作られたプロパガンダ

プロパガンダ的な作品には共産主義社会への魅力が詰め込まれているのだ。私はプロパガンダに乗せられていると言っても良い。乗せられやす性格なのだ

ソ連中央テレビジョンソ連国歌と一緒に流れるビデオ (https://www.youtube.com/watch?v=rHomETco0MI) なんかは最高で、労働者たる人民労働の喜びに溢れている様子が流れ、十月革命労働者の怒り、ブルジョワジーの打倒の精神が示され、人民の力で支える連邦の強大さが示され、レーニンの党と人民の力が我々を共産主義へと導く!という具合でひょいひょいと感情を揺すられてしまう。

お馴染みのインターナショナル (Интернационал, The Internationale, https://www.youtube.com/watch?v=t8EMx7Y16Vo)、国際学連の歌 (日本語https://www.youtube.com/watch?v=SCdlGH6RhBw) なんかは私の中ではこういう類の歌だ。

こういうこと言うとクラシック畑の人には笑われそうだが、ショスタコーヴィチの5番や11番も大好きだ。

音楽ではないし、およそ普通意味ではプロパガンダでもないが、ソウル五輪体操女子団体メダル授与式 (https://www.youtube.com/watch?v=l7lAZ89Pu_c) がもう最高である彼女らがステートアマ国家に大変な恩義があるというのは確かであるにしても、私の目に映る、エレーナ・シュシュノヴァ選手赤旗を見上げながら国歌の「我らを共産主義への勝利へと導く」という歌詞を口ずさんでいる姿は、紛れもなく共産主義への希望と勝利への確信に溢れたソビエト連邦人民の姿なわけですよ。こんなに晴れ晴れとしたことはないじゃないですか

正直私はかなり危ないと思う。実際に共産主義に走った連中もこんな奴らだったのかも知れない。この先本当に扇情的プロパガンダが私に向けられたときに私は正気で居られるだろうか。

もっとプロパガンダが全てではない。90年代ロシアポップスには体制の変革と自由を喜ぶような歌も多く、味わい深い。こちらは「作り物」ではなく本物だと思う。Комбинация の American Boy (https://www.youtube.com/watch?v=W7hAo28NCXc) とか Наташа Королева の Жёлтые тюльпаны (黄色チューリップhttps://www.youtube.com/watch?v=E57T8XYa7OM) とか。

基層にある、主にロシア文化ウクライナ文化

理想的にはこれを一番の理由に挙げるべきだと思う。ロシア旋律情緒があっていい。アコーディオンバラライカ音色ロシア語自体の響きによく合う。

ウクライナの Розпрягайте коней, хлопці (若者よ馬の軛を外せ、https://www.youtube.com/watch?v=MCuqR4Jz9DU) なんかは民族的でよい。

蛇足: 私が生まれときには共産主義は死んだ思想として扱われており、残虐行為ナチスのそれほど宣伝されないので、擦り込まれ忌避感がない。

ただしそれでも一切忌避しないと言うわけにはいかない。まさに現代冷戦構造がそのままここにあって、新左翼の連中が日本革命を起こそうとしていたら(しているが)、私は反対する。マルクスの主張するように暴力革命によって社会を変革するべきだとは、革命権を行使すべき状況にならない限りは思わない。共産主義建設の名のもとに数千万の命が失われたことは紛れもない事実だし、少なくとも過去ソ連社会主義国家の遺産を消費して楽しむ上でここを批判せずにいることは危険すぎる。

蛇足: それでもまだ共産主義を含む社会主義思想は負けていない。

東側陣営はなぜ冷戦に敗北したか計画経済市場経済に比べ資源配分効率が悪かったので人民生活を維持しつつ経済の発展を続けることができなかったからだ。

西側陣営の掲げた自由民主主義は本当に勝利したのか?東側陣営との対決のために自らもまた市民自由制限し、アメリカドミノ理論を振りかざして世界中開発独裁政権を打ち立て、現地の市民を抑圧した。21世紀紛争の種を撒いたのは紛れもない事実だ。結局のところ西側陣営が実際に対抗勢力に対して振るった武器自由民主主義ではなく資本主義だった。

共産主義にしても、本来人民を抑圧し民主主義否定する思想ではない。

これをもって社会主義喧嘩に負けて勝負に勝ったのだなどと言うつもりはないが、思想的に決着が付いたとは言えないと思う。競争相手がいなくなったか勝敗という言葉が使えなくなっただけで、今我々のいる陣営もまた行き詰まってしまったというのは確かなことではないか

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん