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はてなキーワード: 物理的実在とは

2024-09-20

数学宇宙仮説の定式化

マックス・テグマーク数学宇宙仮説は、物理的実在数学構造のものであると主張する。これを厳密かつ抽象的な数学の枠組みで表現する。

1. 基礎設定

1.1 数学構造クラス
1.2 物理的実在カテゴリ

2. 数学構造物理的実在関係

2.1 関手定義
2.2 関手性質

3. 数学宇宙仮説の定式化

定義数学宇宙仮説)

数学宇宙仮説は、以下の主張を含む。

1. 存在論同一性Ob(Str) ≅ Ob(Phys) すなわち、数学構造対象物理的実在対象が一対一に対応する。

2. 構造保存性:∀ S₁, S₂ ∈ Str, Mor_{Str}(S₁, S₂) ≅ Mor_{Phys}(F(S₁), F(S₂)) すなわち、数学構造間の射は物理的実在間の射と対応する。

4. トポス理論による高度な抽象

4.1 トポスの導入
4.2 トポス間の同値

5. 論理的側面からアプローチ

5.1 モデル理論適用
5.2 物理法則数学理論の同一視

6. カテゴリ同値の具体的な定式化

6.1 双対性
6.2 アジャント関手存在

7. まとめ

以上の抽象数学的枠組みを用いて、テグマーク数学宇宙仮説を次のように定式化できる。

解説

この定式化では、集合論カテゴリ論、トポス理論モデル理論などの抽象数学を用いて、数学宇宙仮説を表現した。

特に数学構造物理的実在の間の圏同値トポス同値を強調することで、両者が数学的に同一視できることを示している。

また、関手アジャント関手概念を導入することで、数学構造から物理的実在への情報対応関係形式的に捉えている。

これにより、テグマークが主張する「宇宙数学のもの」という考えを抽象数学表現した。

2024-08-30

科学的実在論検討

科学的実在論の中核的主張は、成熟した科学理論記述する観測不可能実体過程実在するというものだ。この立場の具体的な論拠を詳細に検討する。

奇跡論法精緻

Putnam と Boyd によって提唱された無奇跡論法は、科学予測成功説明する最良の方法は、理論が真理に近いと考えることだと主張する。

具体例:一般相対性理論による水星の近日点移動の予測

1. ニュートン力学では説明できなかった水星軌道の異常を、アインシュタイン一般相対性理論が高精度で予測した。

2. この予測成功は、時空の曲率という観測不可能概念実在性を示唆する。

批判:Laudan の悲観的帰納法

1. 過去成功理論フロギストン説エーテル理論など)が誤りだったことを指摘。

2. 理論経験成功と真理性の相関関係に疑問を投げかける。

構造実在論の発展

Worrall によって提唱された構造実在論は、理論数学構造のみが実在を反映すると主張する。

具体例:Maxwell電磁気学からEinstein特殊相対性理論への移行

1. エーテルという実体否定されたが、Maxwell 方程式数学構造は保持された。

2. この構造連続性が、より深い実在の反映だと解釈できる。

発展:Ontic Structural Realism (Ladyman, French)

1. 物理対象関係の束として捉え、実体概念を完全に放棄

2. 量子力学における粒子の非個体性や、一般相対性理論における点事象の背景独立性と整合的。

量子力学解釈問題の深掘り

量子力学解釈は、客観的現実存在に関する議論の核心だ。主要な解釈とその含意を詳細に検討する。

コペンハーゲン解釈再考

Bohr と Heisenberg によって提唱されたこ解釈は、測定問題を中心に据える。

1. 波動関数確率解釈:|ψ|^2 は粒子の位置確率密度を表す。

2. 補完性原理:粒子性と波動性は相補的な性質であり、同時に観測できない。

問題点:

多世界解釈の詳細

Everett によって提唱されたこ解釈は、波動関数客観的実在性を主張する。

1. 分岐する宇宙:測定のたびに宇宙分岐し、全ての可能な測定結果が実現する。

2. 相対状態形式主義観測者の状態波動関数の一部として扱う。

利点:

問題点:

デコヒーレンス理論重要

Zeh と Zurek らによって発展したデコヒーレンス理論は、量子から古典への移行を説明する。

1. 環境との相互作用により、量子的重ね合わせが急速に古典的な混合状態に移行。

2. 選択された基底(ポインター基底)のみが安定して観測される。

含意:

情報理論アプローチの最新の展開

情報を基礎とする物理学の構築は、客観的現実本質に新たな視点提供する。

量子情報理論ER=EPR 対応

Susskind と Maldacena による ER=EPR 対応は、量子エンタングルメントと時空の構造を結びつける。

1. Einstein-Rosen ブリッジワームホール)と Einstein-Podolsky-Rosen 対(量子もつれ)の等価性を示唆

2. 量子情報と時空構造の深い関係示唆し、量子重力理論への新たなアプローチ提供

計算複雑性と時空の創発

Susskind らによる計算複雑性と時空の関係研究

1. ブラックホール内部の時空の成長が、量子回路の計算複雑性の増大と対応

2. 時空そのものが、より基本的な量子情報処理から創発する可能性を示唆

結論

客観的現実存在問題は、現代物理学の最先端問題と密接に結びついている。量子力学の基礎的解釈構造実在論、情報理論アプローチなど、様々な視点からの探求が進んでいるが、決定的な答えは得られていない。

今後の研究方向性としては、量子重力理論の完成、意識物理実在関係の解明、そして情報理論物理学の更なる融合が重要になるだろう。これらの進展により、客観的現実本質に関する我々の理解が大きく変わる可能性がある。

現時点では、客観的現実存在を単純に肯定または否定するのではなく、我々の認識独立した実在可能性を探求しつつ、同時に観測者の役割情報本質重要性を考慮に入れた、より洗練された存在論的枠組みの構築が必要だ。

2023-11-22

anond:20231122163001

別にそんな主流ないから。波動関数から無理やり物理的描像を描こうとしたらそう解釈できるといってる人がいるだけであってそもそもパラレルワールドというのを物理実在として信じてるやつはまっとうな物理学者ではいない。

ホーキングの言った虚時間と同じ。虚時間なんて実在があると思ってる物理学者はいない。

 
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