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2022-08-08

anond:20220807191637

からこそ平野ができるんだよな

そもそも低地での河川というのは思いっきり出鱈目に蛇行したり枝分かれしたり三日月湖が残って沼になったりと無茶苦茶な流れ方をするもんである

2022-08-07

霞提越水洪水と思えないのは現代常識のため

長浜市高時川が氾濫した航空写真の件で「あれは遊水地だから洪水じゃない」と言ってる人が多いのだが、あれも洪水です。

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/twitter.com/kentaoki/status/1555648450955735040

 

洪水っていうのは普通水が流れない場所に水が流れてる事をいうので、河川敷河原が水没しているのも洪水なのだ

から記事の「河川敷も水没」っていう記述文句言うのもおかしいのである

 

川と人間活動地が堤防で仕切られているという常識最近のもの

そもそも河川堤防の向こう側=人間の営み無しの地というのは今は常識になっているが、この常識は精々50~100年程度の歴史しかない。

人類文明有史以来水と戦ってきたが、それは必ずしも堤防で川を閉じ込めるという意味ではなかった。氾濫が頻発する箇所は氾濫するに任せておき、水が少ない季節に洪水で肥沃になった土で農業をするという方法もあった。

田んぼというのはこの最たるもので、田んぼに適した土地というのは要するに河川の氾濫原だ。水も引きやすいし度たびの洪水でぐちゃぐちゃで栄養豊かな土のある平地。

そもそも低地での河川というのは思いっきり出鱈目に蛇行したり枝分かれしたり三日月湖が残って沼になったりと無茶苦茶な流れ方をするもんである

例えばこれは熊谷の昔の河川状況を地質から推定した地図だが、見よ!この荒川の出鱈目ぶりを!

https://maps.gsi.go.jp/#13/36.175990/139.352903/&base=std&ls=std%7Clcmfc2&blend=0&disp=11&lcd=lcmfc2&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1&d=m

 

そもそも真っすぐな箇所なんて皆無だったのだ。真っすぐな箇所は全て明治以降工事したもんだ。

そのままじゃしょうがいからこのうちのある程度真っすぐな河道を選んで繋げたのが今の荒川だ。しか江戸初期まで元荒川を流れて幸手とかをぐちゃぐちゃにしていて開拓邪魔なので切り替えられたのだな。

それでも蛇行しまくりで氾濫起こしてばかりの川から田んぼ集落をを防御しなきゃならない。

そこで河道から1km近く離れた箇所に低い堤防を築き、その堤防の中の田んぼや家の人は洪水の際は泣いてくれやとしたのである。これを「堤外地」と云う。堤防の中が堤外なんだな。

こうすると水の流れが弱まるし遊水地効果で水位の上昇も抑えられるから堤防に対する攻撃性が低くなる。

で、この広い堤外地があってそこが浸水すると当然泣く人も多く出るというのが当たり前の状態だったのを近代治水で無くして来た、というのが今の状態なのだ

 

から外地浸水するのを「洪水じゃない」と考えるのは現代治水が頭にあるからなのだ

一方で霞提というのは近世からある訳で、こっちは「堤防で全てが守られるのが当たり前」じゃない時代のものなので、そのせいで水没した土地を見て「これは洪水じゃない」と言っちゃうわけだ。

現代のものを見て現代価値観を援用するので、被害が出て泣く人もいる状況を「洪水じゃないし問題ない」と処理しちゃうのだ。

という訳であれもちゃん洪水です。

以上の理由から河川敷が水没するのも洪水であるのはお分かり頂けるかと思う。堤外地があるのが当然だったし今も残るので「洪水」は堤防の向こうこっちを隔てないのでありますよ。

 

地役権近代制度

地役権の事を書いてる人もいるが、これは河川工事で誰かの田んぼを遊水地にする時に設定するものだ。

例えば先の荒川でいうと、熊谷彩湖までの河川敷というのはとても広い。特に鴻巣の辺りは河川敷が2km以上あるのだな。広すぎ!

これはこの広い河川敷洪水時の遊水地にする為で、大正工事がされた。

すると当然この中の家の人は田んぼ洪水時に水没しちゃうし、家を建ててもパーになるから建てられない。

こういう時に地役権設定がされるのだ。

地役権は元々、あんたの土地を使わせてほしいから金出すよ、でも工作物とか建てないでくれよって時に、登記簿に設定する民事契約の事だ。水路引かせてとか通路引かせてっていうのが多い。

河川場合は「この土地洪水で水没するって使い方させてくれ」っていう国と地主契約だな。

一方、霞提は近世の仕組みだから、わざわざ地役権設定する動機っていうのがないので、補償を受けらるようにはなっていない可能性が高い。(農協共済で救済されるが)

 

という訳で、堤外地と遊水地、地役権といった概念時代背景がごっちゃになって、古いものを見るのに現代基準を拡大しているのが誤解の原因と思われる。

色々トリビア

これだけじゃなんなので細かいトリビア開陳すると

 

古い堤防の跡は結構残っている

昔は河川から離れた個所に堤防を作ったと書いたけど、その跡は住宅地の中の一段高い土地として残ってる事が多い。

宅地化すると土地を均す事が難しくなるのでちょっと高い土地っていうのが残り易いのだな。~~曽根なんて名前地名があるところはあやしいぞ。

こういう土地ゲリラ豪雨の時にも浸水しにくくてお得なんだけど、その近傍は水がせき止められるので水位が上がりやすく注意が必要だ。

 

外地は実はあまり浸水しないが…

外地であっても浸水しにくい箇所と水位が上がりやすい箇所がある。

例えば荒川彩湖下流の笹目橋付近が狭いのでその下流は水位が上がり難い。また熊谷彩湖中流域の堤外地に家やサーキット教習所がある所もあまり浸水しない。40年くらい水没しなかった箇所が殆どだ。

それで当初は水没して困るものは置かなかったのだが、段々とエアコンとか高価な家電設備とかを置くようになってしまい…

そこへ台風19号ですよ。当然電気モノは全滅で結構な損害を出したと聞きます

 

横提を電車が走る

近世の霞提に対して、近代治水では横提というのを使う。

広い河川敷普通堤防と直角の堤防を築いて、洪水時に河川敷の方の流れが連続しないようにする。遊水地機能をアップさせて下流の水位が上がるのを遅らせるようになってるわけだ。

例えば荒川を渡る川越線は鉄橋を渡る前に土手を走るが、実はこの土手、新たに作ったものじゃなくて横提の上を走っているのである

 

江戸川区、洪水警報が発令されてからじゃ逃げられない

江戸川区の殆ど荒川破堤時には浸水地域になると区が警告して話題になったことがあったが、荒川上記構造により豪雨発生時から水位が最大となるのに1日以上余裕がある。

荒川堤防のかさ上げ工事を行っているが、ネックになるのが鉄道の鉄橋で、鉄橋の部分だけ堤防が低い状態になっている。

まり水位が上がると一番危険なのが鉄橋であり、越水破堤する場合は必ず鉄橋付近から起こる。

以上の為に、水位が上がると鉄道が不通となるので、サイレンがなってからでは電車で逃げる事が出来ないのである

必ず前日に決断せねばならない。

 

最近まで二子玉川には堤外地住宅地堤防の切れ目があった

多摩川二子玉川駅の真下から南に掛けて、堤防住宅地の外側にある箇所があった。

たここには煉瓦造りの堤防の切れ目があった。

元々ここは料亭芸者屋敷などがある地域で、大正近代的な堤防工事をする事になったら「堤防で川が見えなくなる、商売あがったりだ」と反対されたのである

そこでここを堤外地として堤防を築造して、交通の為に堤防に切れ目を入れた。洪水時になりそうなときは2枚の板を入れてその間に土嚢を投入する(角落しという)。

角落しが間に合わない場合ニコタマ全域洪水である。堤外地料亭群は全部水没して流されてしまうが契約なので仕方がない。

ところがこの料亭群は戦争で早々に潰れて宅地として売りに出されてしまい、危ない住宅地が出来てしまった。

この為に10数年前から新たな連続堤を作っている。つまりこれまでずっとニコタマは水害的に危険地域だったのだ。

 

信玄提あまり残ってない

霞提の代表格は信玄提なんだが、甲府盆地河川近代化が進んで殆ど連続堤に改修されてしまっている。土地利用が制限されるので発展の障害なっちゃうので仕方がないな。

支流に幾つか残すのみである

2019-01-13

多々良川支流にある長谷ダム

多々良川支流長谷(ながたに)川にあるダムhttps://yahoo.jp/oIWSVr

多々良川増田に影響されてYahoo!地図多々良川水系を眺めていたら違和感を感じる大きなダム湖があった。四方住宅地に囲まれ標高が200m無い里山の谷に作られた長谷ダムダム湖の名前三日月湖(みかづきのうみ)。

そこそこ大きなダム湖なのにどの方向からも流れ込む川がない。その谷に降る雨を漏らさずせき止めたとしても、年1,2mしかまら無さそうな地形である

ググる長谷ダム多々良川の水をポンプで汲み上げて水を溜めているダムなのだという。ダム目的水道水の確保のみ。福岡はしばしば夏場の渇水ニュースになるものな。こんなすごい対策も取られているんだな。

去年は九州電力電気が余ったと騒いでいたけど、ここに揚水するのに使えないだろうか。

 
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