2021-06-25

ベンチャー企業で働くということ

ベンチャー企業で働いているとよく思うこと、巷でよく言われている事をまとめておく。

カオスを楽しめる人」が向いているとよく言われるベンチャーだが、具体的にどういう状況がカオスなのかを一度見直してみたくて書いた。

ヒアリング対象は主にエンジニアで、多分に主観的です。

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給料が上がらない

会社お金評価制度もないため、こんだけ成果出してるんだから給料上げてみたいな話にそもそもならないし、なっても通らない。創業メンバー業務領域が被らない場合特に大変。

創業メンバーとうまくやれることが大事

評価制度がないため、周りからどう思われるかが一番大事特に創業メンバー個人的つながりのある人(大学の同期など)から構成されている場合情報格差や居心地の悪さなどを抱えないためにもコミュニケーションを密に取るか、もしくは可視化できる圧倒的な成果を出す必要がある。一方で、そういう「お友達的なコミュニケーション」を「風通しの良い会社」と表現するのもまた特徴。

難しいのは、ベンチャー企業創業メンバー活躍している人たちというのは、大企業に不満があって会社を作っていたりすることが多いということ。「自分がやりたいことをやるために」大企業キャリアを捨ててそこにいることがよくあるので、ついていけない人は馴染みづらい。結果として組織としてのあり方について考える人がいることは稀で、縁の下の力持ち的な人はいいか、いてもすぐにやめていくことが多い。これは「マネージャー」のポジションで人を採用し始めたフェーズでもあまり変わらず、初期に「マネージャー」というポジションを作っても、社員モチベーションを上げる事に対する情熱がある人が入ってくることは稀。おそらく今後の市場価値を上げるために組織を作る経験をしてみたいとか、肩書きとかSOみたいな条件面とか、何か自分のためになる他の条件を考えてのことなのだろう。実際に組織が中長期に渡って有機的にワークするよう全体を見ようとする人が現れ始めるのは、人がやめまくって会社が本当に困ったとき

最初10人以内くらいで参画しない限り、SOを期待するとツラい事になりがち

社員1%とかもらえるわけではないので、結局のところどんだけ早くても10年勤めて多くて数千万円もらえるかもらえないかそもそも大半のベンチャー上場しないので、その場合SOは1円にもならない。社内では「監査法人既存投資家と話してる」などそれっぽいことを言っているが、なんやかんや状況が変わらないまま5年が経過みたいなことも普通にある。

長期的な視点犠牲にしたスピード重視

初期であればあるほど事業が流動的なため。

この要素があるために、小さいアプリを作ったり大企業パクリみたいな制度を作ったような初期メンバーものすごく実績を出したように見えることもよくある。本来ベンチャーは小回りが効いて浅く広いスキルを持つ人の方が重宝されやすく、会社が大きくなるにつれて徐々にスキルの深さを持つ人が入社する。特にビジネス職に関しては、大してその職種経験もない社員が、新卒もしくは学生突撃営業雑用っぽいことをやらせて「成長」とか「裁量」とか言ってたり、そういう会社社長クラスの人がミートアップで学生アピールしている風景もよく目にする。

体力勝負になりがち

タスク無限にあり、職種を超えて降ってくる (エンジニア採用イベント企画もやる、バックオフィス業務全般を一人でやるなど)。

言ったもん勝ち

良くいえばチャンスはたくさんある。が、逆に大企業に慣れている人から見ると明らかに間違っていると感じることがすんなり通ることも多い。それをチャンスの模索がゆえの行動だと捉えて賛同できない場合しんどい

また、誰かが会社ビジョンミッションバリューを持ち出して自分意見正当化する場面に少なからず遭遇しがち。結局のところそれらは会社の一体感を醸成するためのものなので、理屈として正しいかどうかは関係なく割と思考停止して周りを納得させるために使われる。結果としてビジョンミッションバリューの意味現場レベルにおいては流動的で、形骸化しがち。

優秀な人が多いわけではない

社員地頭が良いとか優秀とか言ってる会社でも、実際にはそうでもないことがよくある (上述の通り、求められるスキル大企業と異なることも影響しているかもしれない)。優秀云々の前に、ミーティング時間を守れなかったり、準備しないで参加する人もたくさんいる。さらに、多様性とか実力主義とか主張していても、実際には超有名企業出身キラキラした経歴の人を採用するとなるとSlackがざわつき、日頃の言動は憧れの裏返しなのかと思えるほど態度を変えてくる人が見られる場合も多い。結局のところ、ベンチャー企業はいかに社員モチベーションを (低い給料で) 高く保ち続けるか、そういう虚構世界だと考えると色々と辻褄が合う場面がチラホラある。

例えばその会社のコアとなる技術を担っているエンジニアなど、一部のスタープレイヤーがずば抜けている場合などは特にスタープレイヤースタープレイヤーを崇拝する普通の人、みたいな構図になることもある。この場合厄介なのは、「普通の人」が入社した場合業務内容が事業から離れていったり、業務が流動的であるがゆえに本来やりたかたことができなくなったりすることもある。その場合、一度モチベーションを下げてしまうと上げることが難しいのも特徴。組織が小さいため異動などがしづらく、また異動できたとしてもどこのチームでも状況は変わらない場合が多い。

  • 会社は成長してるのに、人がどんどん辞めていくっていうのがありますね

  • おれがベンチャーで過ごした日々が思い出される内容だな。最終的には社内でのプレゼンス拡大とミッション達成のために、オフィスの壁を拳でぶち破って退職したけどね。「これで風...

  • 結局のところベンチャーに雇われるスタープレイヤー以外の人はマンパワーを提供する労働力だよね

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