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2022-10-31

満員電車での対群衆ノウハウを忘れた鉄道会社

韓国群衆事故を見て「日本満員電車事故が起きないのって凄いんだな」という意見が見られるが、実は「満員電車プロであるはずの電鉄会社も甘い見立てでとんでもない失敗をした事があるんだな。

小田急にドアがデカい変な電車がいるが、あれの話である

自分は鉄オタじゃないからそんなマニアックな話じゃないので安心してくれ。

因みに2014年相模大野駅脱線事故が起きて小田急全線不通になったが、その脱線した電車というのはこれだったんだな。

 

あの電車は混雑解消と遅延防止の為に作られたが、そのせいで小田急線は大混雑と遅延続出とケガ人の走る地獄エクスプレスと化したのだった…。

 

構造的欠陥と転倒事故の続出

以前Wikipedia確認したところ、これは停車駅が多い各駅停車用に作られたと書かれていたが(今は削除)、これは間違いで、混雑が酷い急行に使われていた。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E7%94%B0%E6%80%A51000%E5%BD%A2%E9%9B%BB%E8%BB%8A

ところが混雑と大遅延を惹き起こし乗客に大顰蹙を買って混雑なんて殆どない各駅停車専用に左遷されたのだな。

 

座席を縮小させてドアを広くすれば立客のスペースが増えるから余裕が生まれるじゃん、ドアが広いから乗降も早く終わるじゃん、というのがデカドアのコンセプトだ。

ところが、バカ工業デザイナーはそのドア前の広大な空間につり革も手すりも付けなかったのだ。しかもドアの上もドア自体もまっ平らなデザインにした。

から普通電車の2倍以上、面積と収容されている人数的には4倍以上の広大な空間に、手すりにもつり革にもつかまっていない乗客が詰め込まれることになった。

ラッシュ時に電車が揺れると手すりのない客の揺動というのは手すりにつかまっている客がブロックしている。

でも広大な空間に誰もどこにもつかまっていないのだから、客はずっとつま先で全力で踏ん張り、揺れでよたよたし続ける事になった。強烈な苦痛だ。

 

当然こういう状態から雪崩が頻繁に発生する。普通電車なら一瞬ドドッと動く程度が、この電車場合は人が大勢倒れるまで行ってしまう。

そういうわけで、この電車終点新宿に着いた後というのは悲惨で、千切れた腕時計腕時計金属バンドコマメガネ(踏まれてぐちゃぐちゃ)、千切れたボタンカフスパンプスハイヒールヒール、血痕などが散乱するという状態になっていた。暴動でもあったんですか?

座っていても安心できない。乗客雪崩ロングシートの方に逸れて人が降ってくる事があるからだ。メガネをしていたらイチコロである金属フレームであったら眼窩を大きく切って出血する事を免れない。

吹っ飛んだメガネも拾うのは無理で、向こう側のドア間で苦闘する乗客蹂躙されてグチャグチャになるのを座視するしかない。

雪崩に押し出された小学生座席下のヒーター付近に押し込まれ、降車駅まで男性客の股間に立っていた。

自分場合ペンチでしか開かない鍵束の鉄リングが伸びて6の字になっていた事がある。転倒した誰かの時計バンドが入って引っ張ってしまったのだろう。

また言語学習で支給された頑丈なバインダーが二つに折れ&押されてぐちゃぐちゃになり買い直した。更に誰のだか知らぬ血がカバンや服についていた事もあった。

 

90年代前半は混雑が今より酷く、他の路線でもボタン時計が落ちているという事はままあった。しかしこの電車は頻度が異常というか終点で人が捌けると必ずという頻度であった。

また、ドア前の空間につり革を付けないのというのは当時は当たり前で、他の電車も同じだった。だがこの電車構造特殊なんだから同じように付けないと雪崩が続出するのは当たり前だ。何故こんな事をデザイナーは考えなかったのか?

 

遅延防止のつもりが大遅延続出

混雑時に大きな駅に電車が到着すると、下りる客の邪魔になるのでドアの前の客は一旦ホームに降りなきゃいけない。この下りる人数というのは普通電車なら2~4人程度だ。

だがデカドア電車ではこれが6~10人程度になってしまう。するとこれが邪魔になって降車がなかなか進まない。

更に、小田急には下北沢登戸という、乗降客が多くてホームが狭い駅があった。(現在は建て替えで両方とも解消)

下北では狭いホーム井の頭線の橋脚がそびえるという無茶な構造登戸南武線乗り換え駅なのに駅が鉄橋の上にあるという造りでホームが狭い。客が多いので階段を大きくせざるをえず階段ケース横のホームがとても狭い。

ここで「一旦降り」客が多いと橋脚の向こうや階段ケースの裏側から階段にくる客の流れが詰まってしまっていつまでも降車が終わらないという事になった。

そして電車が出て行った後にも乗客の移動が続き、そこに次の電車が入ってくるので大変危険である

 

更に乗車忌避問題が発生した。

デカドア電車では頻繁に乗客雪崩が発生して、転倒に至る事も多い。それ以外の時間ではずっと何にもつまれずに乗客の大きな揺動に耐えて踏ん張る事になるので非常に苦痛だ。

特にヒールパンプス女性苦痛は余りある。更にヒールのある靴では転倒したりヒールがもげるリスクが大きくなる。ヒールがもげたら百貨店の靴修理店が開く時間まで待たねばならないから出勤できるかという問題にもなる。

その為にデカドア電車が来ても乗車を見送る客が続出したのだ。

この客らは降車客の移動の邪魔にもなるし、次の急行にまとめて乗るので次の急行が大混雑になる。混雑が酷いと乗降に時間が掛かるので遅れてしまう。遅れるとホームにその分乗客が溜まるので更に混雑→遅延というフィードバックが加速されてしまう。

 

こういう感じで、デカドア電車を先頭に遅延が常態化してしまった。「次の電車は5分遅れです」とアナウンスがあると果たしてデカドア電車で、その電車に乗って数十分デカドアサーフィンエクササイズ(転倒出血付き)するか、その後の急行で大混雑&遅刻するかを選択せねばならない。

たこの為に途中駅では入場制限もしばしばしかれるようになった。

 

You are fired

こうして多くの乗客、駅員に怨嗟絶望遅刻を、ミスターミニッツには靴底修理の商売繁盛を齎したカサンドラエクスプレスことデカドア電車だが、終わりは突然にやってきた。

ある日を境に急行デカドア電車が来なくなったのだ。戦力外通知、三行半である。彼は各駅停車専属に転属となっていた。小田急では各駅停車全然混まないので、使えねー奴でも何でもいいのだ。新規投入から半年も経っていない。

 

小田急では大混雑する急行対策が全てであって、そんな路線各停しか使えない縛りの資材を抱え込んでしまった同社の悩みは幾ばくかとも思うが、見立てが甘かったのだから仕方がない。怪我したりメガネや服や時計破壊された人の身にもなってみろと言いたい。

混雑対策にはノウハウの蓄積とその参照が必要なのに銀の弾丸求めてコンセプト優先で足元をおろそかにした工業デザイナーのせいである。3日占領目指して引っ込みつかなくなった頭プーチンかよ。

 

その後この思い付きだけで出来た愚劣な電車はずっと各停だけで使われていたのだが、今どうなってるのかというと、つり革を付けてドアがあまり開かない改造をされて走っているようなのだ阿呆である。完全に最初からコンセプトが破綻していたってこった。最初からやるな。

 

デザイナーリサーチ不足のせいで多くのケガ人と憤怒と遅刻ふくらはぎの筋力とミスターミニッツインカム各停しか使えない不良資産を産んだのがこのデカドア騒動だった。

だが我々の社会はまた過去ノウハウの蓄積を軽視するようになっているように思える。失敗データベースなどにこの失敗は収録されて参照されるようにもなっていない。

ゆえにまたいつ次のデカドア電車が現れるやも知れぬ。

そういう時我々は声を大にしてこう言うべきである

「おめぇヒールはいてこれに乗ってみろ」

 
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