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2021-07-14

信号機倒壊原因は『犬の尿』by科捜研」の記事バカニュースの類か

鈴鹿信号機柱が折れた原因が犬のおしっこだというNHKニュースが人気だけど、この報道ちょっと短絡的なんよ。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210713/k10013135901000.html

 

地中に尿素が沢山検出された→尿に含まれ塩分のせいで腐食が速く進んだって理路だが、この科捜研推理、間違いじゃね?普通こういう場合に一番に疑うのは「近くに電話線が埋設されていないか?」って事なのだ

 

この現場は「玉垣駅東」っていう交差点で折れたのはこの柱。

https://goo.gl/maps/syr4awTVenxKDcHZA

無塗装無被覆の亜鉛メッキ鉄柱だ。

信号構成要素を知って欲しい

信号を動かすには電気必要から電線が引き込まれている。最初期のリレー信号機はこれだけで良かった。

ところが最近、と言っても30年以上前からはそれだけじゃなくて通信線が必要になっている。国道などの信号機はある程度のグループにまとまって連動して動いている。バラバラだと渋滞を惹き起こし旅行時間(到達時間行政用語)をいたずらに長くする。

これは最近進んでいる歩道橋撤去にも絡んでいる。スタンドアロン信号機しかなかった昭和中期では歩行者安全の為に信号機を設置すると渋滞が酷くなってしまう。その為不便で高価な歩道橋を設置するしかない。しか年寄りなどの交通弱者には利用が困難でジェイウォークが頻発して結局事故になる。現在ネットワーク化された連携信号機なら赤と青が連続させられるのでいくら設置しても渋滞悪化しない。

 

更に最近(と言っても30年前から)では警察署中央管制が出来るようにしている。

これには多くの利点がある。まず現場まで行かなくても信号パターンプログラム出来るので柔軟に運用できる。更に大きいのがカーチェイス抑制だ。市街地パトカーの制止を聞かずに逃げるとやがて前方の信号は全て赤になる。追尾の警邏パトカー結構やる気ないような走り方をするがやがて管制室が作り出した渋滞につかまるからそれでいいのである。交差交通の方も赤の全赤にしておけば事故可能性は更に減る。カーチェイス事故警察も悪い、悪くないの論争になる事があるが、警察の肩を持つ余りカーチェイス事故責任をも全面的に免責するのはこういう理由で間違っている。責任があるから予算を組んでこういうシステムを整備するのである

矢印信号デフォルト装備にしておけば災害時に特定地区への進入を阻止する事も可能だ。

 

この為の通信線は「専用線」を使用し、アナログデジタルがある。専用線は何も交通信号だけではなく、銀行ATM企業の支社間、マスコミ企業なども使用していて警察電話などもそうだ。アナログ専用線は要するに専用の電話である

折れた信号柱の近くのこれがその終端装置だ。

https://goo.gl/maps/bdENtmii5Ck6nJ4e6

ボックスへの曲がりが緩いので光ファイバのようだが更新前はアナログだった可能性もある。

たまに電柱を見上げて欲しい

電柱に掛かる線というのは高さによって3つに分かれている。

  • 一番上は高圧線

一番上には3本の線が距離をおいて張られている。これは高圧線でそれぞれ3300Vの電圧がある。3つがそれぞれ電圧の波がずれて送電されているので電線間では6600V。触れると危なすぎるので一番上に張られている。

  • 真ん中は低圧線

柱上変圧器で家庭で使える100Vに変圧された電気は真ん中の線を流れて家に引き込まれる。これも三相で電線間の電圧は200Vだが家庭の電灯契約ではそのうちの一本100Vだけを使用する。

先ほどのストビューで見ると3つの線群に分けられているのが見えると思う。

  1. 黒い箱はメタル端子函で、これがあるのはアナログ電話線(加入者線
  2. 銀色の箱は光端子函でFTTHなど
  3. 端子函がない線群は専用線

となっている。終端装置へは専用線が中継器無しで引き込まれているのが判る。なお、終端装置柱の一番下にあるのは電力メーターだ。警察ちゃん信号機電気代を払わなきゃならない。

また、ストビューで見回すとこの交差点周囲の電柱から電話線が多数地下に引き込まれている事が判る。このアナログ電話線に流れる電気結構特殊だ。「-48Vの直流電流」なのである

中学理科ボル電池陽極酸化現象を思い出して欲しい

電話線が-48Vなんて変な電流を使う理由ボル電池とめっきの原理関係している。

異種金属を導線で繋いで電解液中に置いた場合イオン化傾向が大きい金属の方はイオン化して溶け出し電子が過剰となり、イオン化傾向が小さい方に電子が流れて水素が発生する。

逆に両極に外部から電圧を掛けるとイオン化傾向の差は無視されて陽極の方がイオン化して溶け出し陰極に析出する。これが陽極酸化現象でめっきの仕組みでもある。

アナログ電話では直流電流必要だが、この直流が+電圧だったらどうなるだろうか?土中で漏電して、その漏電箇所ていうのは要するにめっきの陽極と同じだ。電解液である土中に銅イオンを流し続けて、近くに金属があった場合はそれを銅メッキし続けてしまう。その結果電話線はやがて無くなり断線してしまう。

逆に-電圧にすると周りから金属イオンを漏電箇所に集めて析出させるという形になる。つまり断線しない。

だがこの時近くに鉄で出来た構造物が埋設されていたら?

そう、この鉄構造物はめっきの陽極となってどんどん溶け出し、電話線の漏電箇所に鉄めっきされてしまう。埋設電話線は腐食に強いが、周囲の金属犠牲にするシステムなのである

から埋設金属が早く腐食した場合電話線の埋設は真っ先に疑われるのである。この電流はほんの微量で構わない。単三電池でも簡易的なめっきは出来るのだから

犬に濡れ衣着せるには考証不足

から科捜研は折れた柱周囲を掘り返し鉄分分布を取って変な分布傾斜が無いか調べるべきだったし、土中に電位差が無いか調べるべきだった。それ以前に電話線の埋設が無いか過去無かったかNTTに聞くべきだった。何しろ信号自体電話線(専用線)を使うシステムであるし、その端末装置がある柱は折れた柱の直近なのであるから。更に近くの電柱から電話線が地中に引き込まれているのだから

2016年大阪池田市で街灯が倒れて女児の指が切断されるという事故があり、池田市が「犬の尿が原因」という調査結果を出した事があった。それに寄せる為の調査が行われたという気がしてならない。

 

一方、NHK科捜研がそれらの可能性を調べ尽くしたか確認すべきだった。その上で犬の尿という仮説しか残っていないのならニュースバリューがあった。

犬の尿で倒壊っていうのは面白ニュースからその説に飛びついてしまったのだろう。仮令誤報でも問題も起きない類のイシューだ。

しか知的好奇心を途中で放棄してしまっている。犬の尿説で笑ってお仕舞にしたら交通信号の仕組みも個人では馴染みの薄い専用線の事も電話線とめっきの関係も頭に入ってこない。電柱を見てもただの邪魔風景しか映らないままだ。路上観察動機を逃しているのだ。

 

最後散歩時の犬の放尿について愛犬家に尋ねたりして倫理問題にしてしまい、論拠が不十分である事を視聴者に忘れさせる構成だ。この構成効果メディアリテラシー問題でもあるだろう。

から今後も私は散歩最中安心して電柱を見上げながらおしっこを続けるワン。

 
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