2019-12-09

現代ビジネス「負の性欲」記事への疑問

現代ビジネス記事 「負の性欲」はなぜバズったのか? そのヤバすぎる「本当の意味」(御田寺 圭)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69024

について、読んでいて多少飛躍があるなと思ったところ、疑問が残るところ、検討したいところを引用コメントをつけていますTwitterでやろうと思ったけど長くてむりだった。

 

【オスの性欲は「交渉権の行使であるのに対して、メスの性欲は「拒否権行使であるともいえる。

積極的能動的にパートナーを探し、あわよくば複数のメスとたくさんの子孫を残そうとするオスと、受動的・消極的パートナーを選ぶことで子孫の生存確率を高めようとするメス──前者の行動を「正」の性欲に基づく行動とするならば、後者の行動はまさしく「負」の性欲に基づく行動といえる。 】

→筆者はこれが負の性欲の定義としている。受動的・消極的が「負」というのはなぜ?

そもそもパートナー選びは非常に能動的な行動では? メスはオスを選んでいる。「選択権の行使」ではないか

→これは人から聞いたのだが生態学進化心理学には「正」「負」という概念はないのだそう。あるのは適応度。優劣を持ち出しているのはスペンサー社会進化論適者生存)で批判されている――とのこと(この辺は自分不勉強)。

 

【異性に「生理的嫌悪感」を内心で抱くぶんには自由であるしかしそこを踏み越えて「キモい」「消えろ」「ゴキブリ」「ウイルス」などと対象に言明することは侮辱侮蔑であり、まぎれもなく加害性のともなう行為である。】

→「拒否権行使」は「キモい」「消えろ」「ゴキブリ」「ウイルス」と言うことを示しているのか?

→「拒否権行使」することと、「キモい」という言葉をもって相手を拒絶することは、イコールではないのでは? 相手を選ぶ権利は誰にでもあるが、選ぶ際に相手を加害する権利はない、という主張には納得する。

→どれくらい「キモい」って拒絶されているの? その拒絶の仕方は女性特有なの?(これは後段にもあるが、男性女性を「キモい」「ブス」といって振るケースもたくさんある。ならばこれはオス・メスに分けて考えるべき問題なのか?)

 

【「異性に対する加害性をもつのは男性だけではない」──とする、いわゆる「反転可能テスト」のひとつである。】

→ここは同意です。

 

【性淘汰はホモサピエンスにも働いていることについて】

→そう。ただ、動物よりも淘汰が働くスピードは遅いのでは。また文化が変化しているため、なんの特質評価されているのかはわからない

→性淘汰=「負の性欲」なのか?(ではなくない?) むしろこの原稿主題は「負の性欲」から発生する「キモ」言説の加害性ではないか

 

【人びとは「新自由主義的」なパートナーシップ市場で「よりよい相手」を巡って際限のないえり好みを続けている。厳選すれば厳選するほどに、よりよい相手と巡り合える可能性が高まるのだ。つまり「負の性欲」の効用が最大化される時代である。】

→これは効用は最大化されない。なぜなら男性女性を年齢で選ぶ傾向があるため、厳選すれば厳選するほどに(=時間がかかればかかるほど)よりよい男性が遠ざかっていく。そのため女性はどこかで妥協せざるをえない。妥協しない場合、「よりよい相手」すら出会うことはできない。ちなみにこの「新自由主義的な市場における際限ないえり好み」は女性だけの問題ではない。この文章男性側の方がむしろ当てはまる(なぜなら男性のほうが年齢による減点がゆるやかで年収の上昇のほうが効果的な段階があるため。一定までいくと年齢による大きな減点が発生することがほとんどだが、女性の方がその影響の発生がはやい)。

 

【「自分に接近し、性的アプローチしてきた男性拒否(厳選)する」という枠を超えて、特にSNS上では「自分に向けられているわけでもない、無関係他人の性欲を発見したさいに、まるで自分のことのように被害者意識を持ち、これを断罪しようとする過剰反応」が頻繁に起きている。それこそが、「負の性欲」が問題化される局面である。】

→「頻繁に起きている」データがない文章。「それこそが」~とあるが、「自分に向けられているわけでもない、無関係他人の性欲を発見したさいに、まるで自分のことのように被害者意識を持ち、これを断罪しようとする過剰反応」というより、筆者は「キモいと言うことの加害性」一本でいったほうが筋は通っているのでは。

 

【先日SNSユーザーたちが、ネットの片隅で「1020代結婚したい」と望み活動する40代男性に対して、「キモい」「加害者」という非難ニュアンスを多分に含んだコメントスクラムを炸裂させたことは、自他の境界を見失わせる「負の性欲」の暴走如実に示す実例だったといえるだろう。】

→例えばこれが、18歳の子供をもつ40歳の母の発言だったとしたら筆者は「負の性欲」という表現を使うだろうか?(※でもこれはちょっと家父長制的な考え方だからこの問いかけは危険な部分をはらんでいる)

 

現代社会はふたたび「一夫多妻制」への道を歩もうとしているのかもしれない。「キモい存在排除してもよいという「先進的な倫理観」に基礎付けられた、新たな一夫多妻制──すなわち、一生のあいだに多数の女性性的関係もつ男性たちと、一生生殖の機会が得られない男性たちに分かれる「非同期型一夫多妻制」の実現へと。】

→すごい飛躍であるのでこれ以降は特に読まなくていいかなという感じ。ただ一人の男性複数結婚している(再婚)疑似一夫多妻現在日本でも存在している(でもこれって近年増えているものなんだっけ? その辺のデータはどっかで見たことがある気もする)。SF的なIFを許容して話を進めると、現代避妊技術が向上しており、アルファ男性といえども複数女性とその子供を養うお金は十分ではないので、子どもは「正妻しか持てないくらいの数に減り、社会崩壊する。ヤッター!

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん