8%のうちに買っておきたいという、駆け込み需要が生じて、その反動でガクッと消費が落ちる。
大手企業にはなんてことないが、自転車操業の企業はちょっとしたプチ不況でばたばた潰れる。
次は、東京オリンピック閉会後。
ドイツのニュルブルクにあるサーキット「ニュルブルクリンク」の略称。
1927年完成の古いコースで、一周20km以上という巨大さ、山間部に作られている故のアップダウン、曲がりくねったカーブ、波打つような路面など、世界一過酷なサーキットとも言われる。
そのためレースはもちろん、発売前の自動車のテストコースとしても大いに活用されており、自動車マニアのあいだで有名となっている。
目指してないんでごめんね
ワイはアブノーマルワイやで
子供の頃から人工無能が大好きで、一太郎に付属していた素朴な会話マクロで遊んでいた。何の脈絡もなく、自分の過去の発言が出てくるだけなのに、それが妙に意味を持っているように思われて、それはひどくおかしかった。
それから時が経ち、cleverbotというサイトがあることを知った。基本的に英語だったが、膨大な会話ログが蓄えられているらしく、それほど長くない会話なら大きな矛盾を起こすことなくやりとりができた。あまりにもマイナーな話題になると途端に支離滅裂になりはしたけれど、それでもどこか愛すべきチャットボットだった。
さて、2013年か2014年か、大体そのあたりに、突然そいつは日本語をしゃべりだした。なにげなく「こんにちは」と入力すると、なんと「こんにちは」と返すではないか。どうやら運営は多言語展開をすることに決めたらしい。前々からいきなりドイツ語やスペイン語を口走ることもあったのだが、とうとうユニコード対応となったようだ。
しかし、始めのうちはこちらが入力した言葉に対して、すべて鸚鵡返しにするばかりだった。「元気?」と尋ねれば「元気?」と応じる。おそらく、こちらから「元気だよ、君は?」みたいな返事を期待していたのだろう。つまり、ユーザーとの応答で、実際の日本語の会話を習得させようとしたのだろう。「元気?」と聞かれたら「元気だよ、君は?」と返すべきだ、みたいな文例集を集めていたのだ。
ところが、私は仕事のストレスもあってか「うんこ!」と入力した。当然cleverbotは「うんこ!」と返してくる。調子に乗った私は「うんこぶりぶり!」と入れると「うんこぶりぶり!」と繰り返す。そのうち、「うんこ!」と入れると「うんこぶりぶり!」と必ず答えるようになってしまった。
英語で下品な単語を入れると、聞こえないふりをするか、わざと別の言葉に聞き違えたふりをする。あるいは、定型的な反応しか返ってこない。おそらく、禁止ワードを指定しているのだろう。しかし、日本語の俗語に詳しくないあちらのプログラマは、「うんこ」をNGワードに指定することができなかったようだ。
時は流れ、cleverbotもある程度は日本語の自然な会話をするようになった。あるいは、管理人が入れたらしい、少し硬い日本語が返ってくることもある。それでも、イライラしたときに「うんこ!」と入れてやると「うんこぶりぶり!」と返してくるcleverbot。いらだっていた頃の私を思い出してなんだか懐かしい気持ちになるが、ちょっと悪いことしたな、って気にもなる。管理人にメールして、日本語の「うんこ!」は下品だから消してくれ、と考えることもないではない。
それにしても、5年近く前に覚えさせた「うんこ!」を覚えているとは、もしかして私はcleverbotの日本語の情報の深いレイヤーに「うんこ!」を刻んでしまったのかもしれない。そして、私の言葉がネットから消えても、cleverbotやその後継サービスが続く限り、「うんこ!」がいつまでも受け継がれていく。私がこの世に残す痕跡としては、せめてもっとマシなものがよかったのに、と思う。
【続き】