VR用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の三強と呼んで差し支えない製品が全て2016年に発売されたのが主な理由でしょう。
折角なので、VRに興味のある増田も、そうでない増田にも一増田からVR元年の概要を簡潔にお伝えできたらと思います。
※この記事はVRそのものの紹介よりもVR業界動向の振り返りが中心です。VRって何?という増田は自分で調べたり周囲の詳しい人に尋ねてみて下さいね。
2016年には有力視されているHMDのFacebook社のOculus Rift、HTC社のHTC Vive、Sony Interactive Entertainment社のPlaystation VRの三つが揃いました。
一般にVRと聞いて想像されるのはこの3つのうちのどれかです。
製品としてはPC専用のRift・Viveと、PS4専用のPSVRに分類されます。
3月下旬にFacebookがRiftを、4月上旬にHTCがViveを発売しましたが、Riftの出荷が大幅に遅れたためにViveが思わぬ形で差をつける展開となりました。PSVRは10月に発売されました。
あまり正確な数字は分かりませんが、Superdataという調査会社によると
2016年の各HMDの売り上げはPSVR(~75万台)、Vive(45万台)、Rift(35.5万台)と予想されています。特にPSVRは予想より低いと言われています。PC専用のVRがPC代+HMD代で費用が25~30万円かかるのに対してPSVRはPS4代+HMD代の費用が10万円程度で比較的安価なのですが、PS4の全世界での販売台数が5000万台という普及率に対してPSVRの数十万台という生産台数が少なすぎるという批判があります。高性能なPCは多く見積もっても1000万台…あるのか私個人としては疑わしいです。詳しい情報を知っている方、お待ちしております。
また、いずれものHMDもVR専用コンテンツが乏しいと言われています。PC向けVRはSteamなどのプラットフォームや独自配布によって企業から個人までほとんど自由に発売できるのに対して、PSVRは家庭用独特の品質維持やリリースへのハードルの高さのせいでどうしてもコンテンツ量が少なくなってしまいます。諸事情でアダルト分野もPSVRは苦手かと思われます。SIEがどのようにコンテンツ量をカバーしていくのかが気になるところです。
いずれにせよ、個人の買い物で10万円単位の買い物は簡単にできるものではありませんが企業となると話は別です。企業では圧倒的にViveがシェアを伸ばしています。特に日本国内で見かけるのは圧倒的にViveです。それもそのはず、日本国内で小売による販売が行われれているのはViveのみで、Oculusは公式サイト上での注文のみしかないからです。他にも、Viveはビジネス用途向けの販売や店頭での試遊、貸出などを積極的に行なっています。シリコンバレーのIT企業のOculus VR(Facebook)と台湾の電機メーカーのHTCの違いが出てきているようで面白いです。
また、VRのHMDにはモーションコントローラ(VR内でWiiリモコンのように実際の手の動きを反映させるもの)とトラッキングセンサー(VR内で一つの部屋の広さの中のプレイヤーの動きを丸ごとVR反映させるもの)が欠かせないのですが、Viveには両者ともに最初から同梱されていたのに対して、Riftはコントローラが約八ヶ月遅れて12月に別売りで発売された上にルームスケールのためにセンサーを追加購入する必要があるなど、そういった点も業務用の需要などで差がつきました。
日本国内では大手からベンチャーまで様々なゲーム企業がアーケードゲーム形式のVRアミューズメントを展開しており、それらのほとんどがViveを使っています。もう少し待てばゲーム企業以外の店頭での業務用の活用方法が現れるかもしれません。
主にスマホを用いたVRを指します。単体で動作するスタンドアロンHMDもモバイルVRですが、そちらは今現在まだ発売されていません。
スマホを装填することで擬似的にHMDを再現するゴーグルは現在SamsungのGear VR、GoogleのDaydreamがメジャーですが、Galaxyシリーズは日本で人気でないことやDaydream対応スマホは日本国内で発売未定です。加えて日本で人気のiPhoneシリーズ抱えるAppleはVRに消極的なために日本におけるスマホ用VRゴーグルの展望は個人的には不安です。
ただ、専用のゴーグルがなくても1000円~3000円で購入できる段ボール製の簡易ゴーグルは普及する可能性があります。今スマホでは360度動画が熱くて、YoutubeやFacebook、Twitterが360度の動画や生放送に既に対応しており、アーティストのコンサートやスポーツ中継、報道を中心として360度映像の配信が盛んになったり360度対応カメラがヒットしたりすればモバイルVRが盛り上がると思います。
2016年は、役者は揃いましたがまだ最初の一歩でしかないという感じです。2017年にはVR事業から撤退したり倒産する企業が多く出てきてVRへの失望の年となる可能性もあると思います。ただ、VRは最も有望な技術、業界の一つであり、メディアやデバイスの次元を一つ引き上げるポテンシャルを秘めています。
中国やアメリカが莫大な投資していますし、東南アジアやインドなどもVRを機にコンピュータ産業を発展させようと投資しています。日本国内でも東京オリンピックに合わせて様々なVRの技術やサービスが出揃うことになるでしょう。