■M-1 2020・ネタ以外の感想その２（本戦〜打ち上げ）

その１（抽選会〜敗者復活戦）はこっち

本戦

最初の30分ほど煽りV→CM→煽りV……の連続

• ちょっとダレるけど奥田の「霜降りとかミルクボーイとか見せられてやる気ならへん奴いないでしょ」とか駐車場でネタ合わせするランジャタイの姿はグッとくる。

煽りVの連続マスク外し

• これは良かった。田辺さんの斜め後ろからのショットかっこいい。たけるがマスク外しながら顎の準備運動してる後ろでスタッフみたいに待機してる下田、その後の九条の後ろでも同じポーズで立ってる。どちらもピントは合わせてもらえてないが、事前PVのほうでコメント使われてたからいいよね。

今年の「俺たちが一番面白い」は盛山

• 年々このフレーズ中に映される芸人の数が増えまくってるが、今年はトキとハインリッヒ映ったのが熱かった。

ナイツ塙「ちょっとなんか、今年調子悪い…」

• 最初の審査員コメントが全員滑ってることを受けて。ていうか2018以降このパートはいっつも滑ってる。あの大会を地獄みたいな空気にした戦犯の一つは間違いなく審査員コメントで、客席は今回は大丈夫かと身構えてるんだよ。そこに塙や冨澤くらいしか気づいてなさそうなんだよなー。初っ端から審査員辞めたい話されたらそりゃ空気は沈むだろ…。

敗者復活組がトップバッター

• 敗者復活会場で受け取った陣内が「コウテイ！」と舞台下に振った途端に笑いが起こる。振られた九条は「悔しいです！」、横で下田がレギュラーの西川くんじゃないほうの動き。
• 敗者復活戦の中継終了から本戦開始までの間に起こった事件はラジオで概要は分かったが、松陰寺は電波に乗せたくなかったようなのでここでは書かない。しかし当事者でもないのに表沙汰にする奥田がまずどうなんだっていうのと、九条の気持ちも分かるがぺこぱの気持ちのほうがもっと分かるわけでなあ。仲良しこよししろとは思わないんで、本人前にして吠えるのは別にいいけどね。正直発表までの間は気が気じゃなかったのは事実だが、それもこれも死ぬほど言われてるとおり、あの出来のぺこぱが３位に入ってしまう仕組みがおかしいんだよ。
• ちなみに今回ぺこぱファンは前々から「面白いと思った組に投票しましょう」と呼びかけあってたのを見かけた。３位になったのは痛いファンが多いからではなく、ただ知ってるからって理由で入れた茶の間の視聴者が多かったんだろうと思ってる。

敗者復活はインディアンス、３位ぺこぱとは10万票差

• なんだかんだで１位はいつも妥当な結果になるよな。インディアンスが屋内に入る直前、舞台から「インディアーーーンス！」と声援を飛ばす松陰寺。

インディアンス田渕「上戸彩さんの反応分かりやすすぎ、でも心の準備ができました」

• ネタ終わり、笑神籤について。それ以外にも「（復活する）自信はありましたか？」に「途中経過を発表してくれるのでドキドキできました」と徹底してポジティブ。

志らく「能天気にバカを演じてるんだけど、そこに彼の人間性が出てきて、見てるうちにちょっとこう、なんかウルッとするんですよね」

• 去年からの進歩を的確に表したコメント。田渕の能天気さが嘘臭く見えなくなって、なんか見ててスカッとするようになってるんだよな。

東京ホテイソン ショーゴの着てるTシャツがHOTEISON

• 松本はボケで着てると思ったんかな？普通に「いいでしょ」的に返されて困惑してたような。

東京ホテイソンたける「久しぶりじゃないですか？こんな前期のM-1みたいな点数出るの」

• たけるはお笑い知らないキャラだったのに勉強したんかな。コメントも上手くなったよなあ。

ニューヨークの出番前、送り出す野田がエレパレポーズ

• お前らがいるから笑顔になれる！

ニューヨーク、マイクの前で出囃子終わるのを待つ

• 打ち上げで言ってて初めて気づいたけど、確かにタイミングが例年と違う。せり上がりの曲が終わってからデケガンガンガンガンガン！に行くまでが長すぎるというか、せり上がってくるのが早すぎるというか。

ニューヨーク屋敷「一年越しのリベンジやー！！」

• 松本から「ちょっと腹たつんですけど面白かったですねえ」のコメントを引き出しての歓喜の叫び。

嶋佐・屋敷「売れた？今売れた？やったっ」

• 上沼さんの「ほっといても売れますね」を受けて、控えめに小躍り。可愛げを感じさせる。

見取り図盛山「マジでこのまま長髪で通ってまうで僕」

• 今田の「ちょっと黙ってください、今金髪が喋ってるんで」を含め髪型のくだり面白かったんだが、見取り図発のコメントで特にいいのがなかった。瞬発力がないわけじゃないはずだけどなあ。

東京ホテイソンたける「いーや梅干し人間の面構え！」

• 敗退コメント。「これも難しいですか？」は巨人にネタが難しいと言われたことへの反発なのか？

おいでやす小田「もう２本目やる体力残ってないです」

• ネタ終わりで息も絶え絶えに。

おいでやす小田「やってきた２０年どうなるんすか！！！」

• 上沼から「一人と一人でやってたらあかんよ」と言われて絶叫。

インディアンス田渕「せーの、また来年ー！」

• おいでやすこがの採点時も後ろのモニタでずっと笑顔のインディアンス。今年は本当にぶっちぎりで空気を作れてた。敗者復活の国民最高ー！から最後のこのコメントまでブレることなく貫きとおした。

マヂラブ野田「早くあの人の声が聞きたいです」

• ネタ終わりの採点前コメント。ちなみに「あの人」の第一声は「待って、三年前？何も覚えてない」

マヂラブ野田「何人にもあんなことしてるんだ、だから覚えてないんだ」

• 捨てられた女のようなことを言い出す野田。こういう部分でも意識的に空気を作ろうとしてたはずで、ものすごくクレバーな戦略家なのが分かる。

マヂラブ点数発表

• 松本信者の野田だが、松本の点数発表時より上沼さんの時のほうがリアクションが大きい。

ニューヨーク嶋佐「バスケがしたいです……」

• 敗退コメント。その横でひたすら無表情の屋敷。これは屋敷も含めて画面に収めてもらうことを見越してのボケだったんだろうが、カメラが嶋佐だけに寄っちゃって変な感じに。

オズワルド伊藤、採点後コメントで声量調整

• 松本に声がうるさいと言われ小声に、巨人からもっと大きい声でと言われ急に大声に。そして最後には「これぐらいの声でいいですかね？」と中途半端な声量に。

おいでやす小田「誰を一位にしとんねん！！！」

• アキナの点数発表後、最終決戦進出を決めるおいでやすこが。客席もアキナの点数よりおいこがが決勝進出したことのほうにざわついて笑いが起こってる。「嬉しい、２本目に全てをぶつけます。……何がおかしいねん」もう小田が普通に喋っても笑う雰囲気に。

アキナ秋山「おいでやすこがさんのをやってる間、お客さんの前に立ってるのが恥ずかしい」

• アキナのここはどう立ち回るのが正解だったのかね。少なくとも反省会で指摘されてた通り、恥ずい漫談に移行するのが早すぎたよなあ。
• 見取り図もそうなんだが、「俺らのノリ」を多用しすぎる大阪吉本特有の悪癖があるんだよな。かまいたちはM-1では抑えてたし和牛はそういうのやるタイプじゃないから大阪吉本全体ではないが。こういう場面にはこのパターンってのが決まってるのは見慣れた客にはいいんだが実質は手癖でもあるわけで、流してるように見えてしまう。今回のアキナの場合は「これこれの状況（自分語り）」→「恥ずい（オチ）」って構造だからそもそもアキナに興味薄い人はまずハマらない。尺も取る。去年の屋敷の「最悪や！」が見せたキレには遠く及ばない。
• あと細かいことだが、まだ二組残ってるのに「後半のほうに出てきてこの点数めっちゃ恥ずかしい」は言うべきじゃないわな。実際にこの後ウエストランドが出てアキナより下位になってる。仲良い先輩が残り二組にいたとしたらそれ言ったか？

錦鯉の紹介パートでヒロドアナ「ボケの長谷川さんは4回も目が覚めてしまい、もう歳かなとおっしゃっていました」

• 今年は紹介パートやキャッチコピーでも笑いが起きてたが、この部分が一番ウケた。内容はごく普通なので、もはやまさのりに言及するだけでウケる空気ということ。

マヂラブ村上「最高に嬉しい気持ちです。ありがとうございます」

• 最終決戦進出決定を受けてのコメント。普通すぎる内容なのに妙に爽やかな声質と、劇団ひまわりみたいな嘘くさい抑揚のせいでなぜかサイコな雰囲気に。ニューヨークの「やったっ」もそうだが、音楽でいう転調みたいな異質さを出せると内容が普通でもやたら笑える。

錦鯉まさのり「僕のパチンコ台も出ますかね？」

• 素朴な野心。渡辺は長谷川の歯の情報だけお伝えしてM-1を去った。

ウエストランド井口　CM前に太田のプシュー

• 決勝進出者発表でもやってたが、熱い。

今田「無理しなくていいからね」　ウエラン河本「はい、すいません」

• 喋るなと言われていたためコメントを考えていなかった河本。素直。

ウエラン井口「いやそうですよ、そう考えたらすごいことですよね」

• 初出場にしてはよくやったと上沼に褒められての返し。ウケてる。井口の小物感いいよね。

最終決戦の出番順はファーストの順位逆順

• ３時間半もあるんだから今までの選ばせる演出してもいいと思うけどね。毎年変わらないとしても念の為。

マヂラブ２本目終わりにハンカチで涙ぬぐう今田

• 他にはウエランでもハンカチ今田が出てた。

上戸「今年もCMの後です！」

• 最終審査結果発表前のいつものコケ、今年は野田だけ電車乗ってる。もうこの時点で王者の風格。

マヂラブ野田「M-1最高ー！」

• 最終審査結果発表前のコメント。野田が意識してたかは分からないが、田渕の「国民最高ー！」を引き継ぐような流れ。

おいでやす小田「こんなネタしてますけど、僕決して怖い人間じゃないので」

• なんかもう小田が無表情で直立してるだけで面白い。横でこがけんがフラフラしてるの気になる。

マヂラブ優勝

• 野田は男泣き、村上は女の子のように口に手を当てて驚く。後ろの屋敷ニッコニコ。久しぶりの東京吉本からの王者だもんな。お前らがいるから笑顔になれる！

マヂラブ野田「最下位獲っても優勝できることあるんで、諦めないでください皆さん！」

• 野田のいいところは自分が地下芸人だった頃のことを常に忘れず、今その状態にいる奴らを気遣ってやれるとこ。事務所の枠を気にしないどころか吉本内に仲良しいるんか？ってくらいなのにどの事務所の芸人からも尊敬され愛されている。

上沼「覚えとらへんけど、ごめんねえ」に野田「やめてください」

• 久保田と武智は野田の立ち居振る舞いを無限リピートして勉強すべき。

志らく「あれだけ喋らずに笑いを取るのは、漫才を超えて喜劇なんですよね」

• 今回の志らくは採点もコメントも納得感高かった。野田の喜劇に村上が場外からツッコむことで漫才になるって指摘はさすが。

松本「漫才やることの幸せと漫才見ることの幸せを今回特に感じました」

• 今年は劇場も閉まったり演るほうも見るほうも厳しかった中、M-1開催できたのは確かに幸せだった。

マヂラブ野田「えみちゃん辞めないでー！」

• 野田の平場コメントを抜き出してて思ったのは、おそらくどのコメントもかなり練られて発言されてるということ。今回のM-1全体を「マヂラブによる上沼リベンジ」という劇に仕立てている。普通こういうことすると現場の流れとズレてコメントが浮くんだが、そうならないのは野田が元々コントっぽい喋り方なのもあるが何より戦略眼が優れてるから。ゲームのシナリオを書くように賞レース内の雑魚キャラ（元・最下位）が王者となるまでの道筋を描き、その通りに「演じて」みせている。国民最高を受けてのM-1最高、えみちゃん待っててねーからのえみちゃんありがとう（R-1）、そしてえみちゃん辞めないでー！このシナリオに沿わない言動は一切しない潔さ。３年越しの伏線回収、素晴らしかった。

そんな野田に国民最高ー！で（多分）アシストする形になったインディアンスが本戦のネタ以外のMVP。田渕の明るさが素なのが浸透してきて、いつどこで見ても機嫌よく周囲に分け隔てなく接する人の良さが大会を明るくしたと思う。事前PVでハハハと笑った直後に「敗者復活見てろよクソッ」と涙声で建物を出る姿も印象深かった。今回の敗者復活、そしてトップバッターはインディアンスが間違いなく適任だった。

大反省会

小藪「恥ずい漫談仕上がりすぎてる」

• アキナが延々と恥ずい連呼する様子について。達者ではあるんだろうが不自然なんだよな。

アキナ　中継トークに慣れてる

• 質問を待つのではなくタイムラグを考慮して自分から話し始めたり、トーク中に空白を置いて小藪が何か言ってないか待つ時間を作ったり。ここらへんはさすが。

正直この反省会、来年から後回しにしようかなと思ってる。笑い飯や川島、土屋に一人ずつ小藪が振っていく構成なのでディスカッションにはならず広がらない。講評の内容も正直そこまで深くないし。ファイナリストのインタビューも小藪じゃなくてミルクボーイと話してるほうが見たいし、中継のラグもないのに。各組の時間も短すぎて内容薄い。福徳が泣いたり川瀬が死にそうになってた時はめちゃくちゃ面白かったが、今の形式ならもういいや。MVPもなし。

ストゼロ打ち上げ

大悟「面白いことなんて言わんでいいからね」

• 最初のホテイソンとウエランを呼び込む途中に一言さらっと。もう十分戦ったということで。他の賞レースでも事後の打ち上げ番組やるようになったが、千鳥は数多くあるM-1関連番組の中でこの打ち上げがどういう立ち位置でどういう色にしたいかをよく理解してる。

ウエラン河本　マスクしたままストゼロ飲もうとするボケ

• トーク中におもむろにマスクつけ始めるとこからガッツリ映ってるのに気にしてない。河本って無言でボケるほうが面白いな。

インディアンスの応援ツイートの投稿者名が「トット推しが止まらない」

• 一昨年のニューヨーク応援ツイート主の名前「悪人」と同じくらいキレてる。

インディアンスきむ「髪の毛あるなんかダメって、それ聞いて僕、全上げで」

• ノブにツッコミとは？を聞いたら「顔」と言われた話。今回はきむもすごく楽しそうにやってた。しくじり先生も影響したのかね。

見取り図リリー「もしエントリーするなら、第２位です」

• エントリーするかどうか決めかねてる感じだな。まあきついよなあ。

見取り図リリー「メッセンジャーの黒田さんからLINE来て、ほんまにかっこよかったんですけど、『漫才師としては優勝です』って」

• これ言わないほうがいいだろ。純粋に嬉しかったんだろうけど。千鳥は気づいてそれとなくフォローしてるな。

マヂラブ野田「俺、お笑い王になりたいんす」

• 土下座でせり上がっていく途中に客の笑い顔が見えてきたという話、ゾクゾクするような臨場感。一本目をフレンチで行くのはおいでやすこが終わりのCM中に決めたとか。シナリオは直前まで更新され続けていたんだな。野田は間違いなくお笑い王になる男だ。村上はそのズッ友だ。

今年はソーシャルディスタンスのためにスタジオなのもあってワイワイ感が少なく、そのぶんガッツリ掘り下げるようなトークが多かったかも。

みんな良かったけど本戦だけでなくその後に漫才の定義いるのかいらんのか問題に巻き込まれてアホの攻撃道具にされた見取り図にお疲れ様の意味でMVPをあげたい。全組漫才ですといち早く宣言したのカッコよかった。

M-1が「４分の中にできるだけ多くのボケを詰め込み終盤に伏線回収とかして盛り上げる漫才」だけを漫才だと定義するような大会だったらここまで人気は出てない。邪道と呼ばれるものを堂々と評価してきたからこそM-1は面白いのだ。そんな妖怪大戦争だった今回のメンツで冷静に戦略を練り淡々とコマを進めたマヂラブが最終的に披露したネタが床を転がり回るっていうカオスなのが最高すぎた。今年は野田脚本による壮大なミュージカルに知らぬ間に全員が巻き込まれてたんだろうな。運命を味方につけるってのは実はこういうことなのかもしれない。本当に凄いものを見せてもらった。

MVPとか偉そうでごめんね。マヂラブおめでとう！

Permalink | 記事への反応(2) | 15:17

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