■ネットワークオペレーションセンター（NOC）の自由に関する宣言

ネットワークオペレーションセンター（以下、NOCとする）は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、コンテンツと通信基盤を提供することをもっとも重要な任務とする。

1. 日本国憲法は主権が国民に存するとの原理にもとづいており、この国民主権の原理を維持し発展させるためには、国民ひとりひとりが思想・意見を自由に発表し交換すること、すなわち表現の自由の保障が不可欠である
2. 知る自由は、表現の送り手に対して保障されるべき自由と表裏一体をなすものであり、知る自由の保障があってこそ表現の自由は成立する。
3. 知る自由は、また、思想・良心の自由をはじめとして、いっさいの基本的人権と密接にかかわり、それらの保障を実現するための基礎的な要件である。それは、憲法が示すように、国民の不断の努力によって保持されなければならない。
4. すべての国民は、いつでもその必要とするコンテンツを入手し利用する権利を有する。この権利を社会的に保障することは、すなわち知る自由を保障することである。NOCは、まさにこのことに責任を負う機関である。
5. NOCは、権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、自らの責任にもとづき、NOC間の相互協力をふくむNOCの総力をあげて、公開されたコンテンツと整備された通信基盤を国民の利用に供するものである。
6. 他国においては、NOCが国民の知る自由を保障するのではなく、国民に対する「思想善導」の機関として、国民の知る自由を妨げる役割さえ果たしている事実があることを忘れてはならない。NOCは、これを他山の石とし、国民の知る自由を守り、ひろげていく責任を果たすことが必要である。
7. すべての国民は、NOC利用に公平な権利をもっており、人種、信条、性別、年齢やそのおかれている条件等によっていかなる差別もあってはならない。
   外国人も、その権利は保障される。
8. ここに掲げる「NOCの自由」に関する原則は、国民の知る自由を保障するためであって、すべてのNOCに基本的に妥当するものである。

この任務を果たすため、NOCは次のことを確認し実践する。

第１　NOCはコンテンツ収集の自由を保障する

1. NOCは、国民の知る自由を保障する機関として、国民のあらゆるコンテンツ要求にこたえなければならない。
2. NOCは、コンテンツの選択やアクセス制限を行わない。特に、
   • （１）　多様な、対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つコンテンツを幅広くアクセス可能にする。
   • （２）　コンテンツ提供者の思想的、宗教的、党派的立場にとらわれて、その公開コンテンツを排除することはしない。
   • （３）　NOC構成員の個人的な関心や好みによって選択をしない。
   • （４）　個人・組織・団体からの圧力や干渉によってアクセスの自由を阻害したり、紛糾をおそれて自己規制したりはしない。
   • （５）　NOC内からのコンテンツの公開にあたっても同様である。
     公開されたコンテンツがどのような思想や主張をもっていようとも、それをNOCおよび全てのNOC構成員が支持することを意味するものではない。
3. NOCは、成文化されたコンテンツアクセス方針を公開して、広く社会からの批判と協力を得るようにつとめる。

第２　NOCはコンテンツ提供の自由を保障する

1. 国民の知る自由を保障するため、すべてのNOC内に配されたコンテンツは、原則として国民の自由な利用に供されるべきである。
   NOCは、正当な理由がないかぎり、ある種のコンテンツを特別扱いしたり、コンテンツの内容に手を加えたり、NOC内から撤去したり、廃棄したりはしない。
   提供の自由は、次の場合にかぎって制限されることがある。これらの制限は、極力限定して適用し、時期を経て再検討されるべきものである。
   • （１）　人権またはプライバシーを侵害するもの
   • （２）　わいせつなコンテンツであるとの判決が確定したもの
   • （３）　コンテンツのうち、設置者が公開を否とする非公刊公開コンテンツ
2. NOCは、将来にわたる利用に備えるため、コンテンツを保存する責任を負う。NOCの保存するコンテンツは、一時的な社会的要請、個人・組織・団体からの圧力や干渉によって廃棄されることはない。
3. NOCの掲示板等は、国民の自主的な学習や創造を援助するために、身近にいつでも利用できる豊富なコンテンツが組織されている場にあるという特徴を持っている。
4. NOCは、掲示板等のアプリケーションを、営利を目的とする場合を除いて、個人、団体を問わず公平な利用に供する。
5. NOCの企画する集会や行事等が、個人・組織・団体からの圧力や干渉によってゆがめられてはならない。

第３　NOCは利用者の秘密を守る

1. 利用者が何を閲覧するかはその人のプライバシーに属することであり、NOCは、利用者のアクセス事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第３５条にもとづく令状を確認した場合は例外とする。
2. NOCは、アクセス記録以外のNOCの利用事実に関しても、利用者のプライバシーを侵さない。
3. 利用者のアクセス事実、利用事実は、NOCが業務上知り得た秘密であって、NOC活動に従事するすべての人びとは、この秘密を守らなければならない。

第４　NOCはすべての検閲に反対する

1. 検閲は、権力が国民の思想・言論の自由を抑圧する手段として常用してきたものであって、国民の知る自由を基盤とする民主主義とは相容れない。
2. 検閲が、NOCにおけるコンテンツアクセスを事前に制約し、さらに、コンテンツの撤去、廃棄に及ぶことは、内外の苦渋にみちた歴史と経験により明らかである。
   したがって、NOCはすべての検閲に反対する。
3. 検閲と同様の結果をもたらすものとして、個人・組織・団体からの圧力や干渉がある。NOCは、これらの思想・言論の抑圧に対しても反対する。
4. それらの抑圧は、NOCにおける自己規制を生みやすい。しかしNOCは、そうした自己規制におちいることなく、国民の知る自由を守る。

NOCの自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

1. NOCの自由の状況は、一国の民主主義の進展をはかる重要な指標である。NOCの自由が侵されようとするとき、われわれNOCにかかわるものは、その侵害を排除する行動を起こす。このためには、NOCの民主的な運営とNOC構成員の連帯の強化を欠かすことができない。
2. NOCの自由を守る行動は、自由と人権を守る国民のたたかいの一環である。われわれは、NOCの自由を守ることで共通の立場に立つ団体・機関・人びとと提携して、NOCの自由を守りぬく責任をもつ。
3. NOCの自由に対する国民の支持と協力は、国民が、NOC活動を通じてNOCの自由の尊さを体験している場合にのみ得られる。われわれは、NOCの自由を守る努力を不断に続けるものである。
4. NOCの自由を守る行動において、これにかかわったNOC構成員が不利益をうけることがあってはならない。これを未然に防止し、万一そのような事態が生じた場合にその救済につとめることは、全てのNOCおよびNOC構成員が果たすべき重要な責務である。

（２０２３．１１．１　決議）

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