はてなキーワード: ピースとは
もう、いいおっさんの年齢なんですが、先日、とあるWEBサービスを公開しました。
5年ほど前からぼーっと考えていたんですが、如何せん、事務職の自分には”創る技術”が無かった。
優れた若い技術者(id:amachangとかうらやましい)や、チャレンジ精神あふれる経営者(id:hiroyukiegamiとか)が出てくる中うつうつとしている自分に嫌気がさし、4か月前の7月頃からHTMLやプログラムの勉強を始めた。
本屋で立ち読みしたら、まずはHTMLを勉強する必要があると、書いてあった。同時にCSSを学んだ。
プログラムを作りたかったので、次にJavascriptをやった。
jQueryがすごい。「プログラムって誰でもできるんだ。」この時そう思った。
検索システムを作りたかったので、本屋に行ったらCGI/Perlの本がいっぱいあったので、Perlを勉強した。
しかし、HTMLテンプレートが使いたかったのでPHP+Smartyを勉強した。
作りたかったWEBサービスは大手サイトのデータの検索サイトだったので、自動でデータを集める必要があった。
PerlのLWPを勉強したが、データを集めた後に加工する必要があった。簡単そうだったRubyとMechanizeを勉強した。
Rubyはものすごくきれいにプログラムがかけることを知った。話し言葉に近い気がする。
プログラムを作っている時、最初は自分のパソコンの中でやっていて気付かなかったが、実際に公開するときはレンタルサーバーを使うというのを知って調べると、Linuxのサーバーが多いということを知った。
だから、今度は自宅のあいているパソコンにLinuxを入れた。
Linuxを入れたはいいものの、全く使い方が分からず四苦八苦してRubyのインストールをした。
世界中でメインで動いているWEBサーバーがApacheということも3か月前に知った。
Apacheの設定がテキストファイルなのも驚いた。cd,ls,vi,mv,cp,chmod等、基本的なUNIXコマンドを覚えた。
例の図書館の事件があったので、クローラーを動かすのをためらったが定期的にちょっとずつなら怒られないんじゃないかと、Crontabを勉強した。
自宅のサーバーが壊れてしまい、構築が大変だったので今度はVPSサーバーを借りた。
同じように構築はしたがかなり苦労した。このとき、始めてmakeというコマンドを使った。コンパイルというらしい。
クローラーが自動的にデータを集めていたが、動かし始めて2カ月目でデータファイルが1GBを超えていることに気がついた。
このとき、テキストファイルでデータを扱おうと思っていたが大きすぎて動かない。
最終的にデータ量は5GBを超えた。
11月も後半、本稼働用のサーバーを探していたら、丁度カゴヤがVPSサーバーのベータ版を募集していた。
すごく、快適です。まだベータ版ですが、本番稼動でも、50GBで900円という激安プランです。
http://www.kagoya.jp/cloud/vps/
ベータ版では、3つまでOSのインストールができます。もちろんそれぞれにIPアドレスが振られます。
このVPSにサーバー管理システムをインストールし、もろもろの環境も作って、11月末についに、公開。
AV女優をスリーサイズから検索できるシステム、「完全に一致」です。
類似検索機能付きで、2次元と3次元をつなげる夢のシステムです。はい。
真剣に作ったんだ。仕事をしながらよく頑張ったと自分をほめてあげたい。
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インターフェース:jQuery+selectToUISlider
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サーバー上にある静的なHTMLは1ページもなく、mod_rewriteですべてPHPが処理しています。
一番大変だった事は、、、
このサイトのデータはDMM社のデータを使わせてもらったのですが、AV女優の顔写真をそのまま使うのは、肖像権的にNGらしく、AV女優の作品の中からその女優の顔が一番大きく写っているパッケージを使うことにしました。
しかし、女優データは約5万件。作品データは12万件。とても手作業でやるわけにもいきませんでした。
結局どうしたかというと、Face.com(http://face.com/)という、画像の顔認識ができるAPIを無料で提供しているサービスを利用しました。
同様のことができる、OpenCVというソフトがあるのですが、最初から付いているパターンデータでは人の正面の写真しか顔として認識しませんでした。
それに比べて、Face.comの認識精度は驚くほど高く、横だろうが斜めだろうがかなりの精度で顔を認識してくれました。
データをJSON形式で返してくれる(JSONもこのとき初めて知った)為、取得したデータを後で加工しやすかったです。
1.このAPIを使い12万件の作品データをすべてスキャンするプログラムを書く※1
2.顔の縦の長さと横の長さを取得
3.縦×横で顔の面積を計算
6.その女優の作品の中で顔面積が一番大きなパッケージ写真をその女優の顔写真として代用しました。※2
※1 APIの制限が1時間1000リクエスト迄だったので、これまたCronで・・・
※2 実際には女優テーブルと作品テーブルを繋ぐ中間テーブルのフラグをONにした。若干の間違いはあるものの、かなり正確に出ました。
長々と書きましたが、ズブの素人から約4ヵ月でここまで出来ました。
勉強する前、SEをやっている友人に話したら、「3年はかかるんじゃないか?」と言われましたが、できたものを見せたら褒めてくれました。
WEBサービスを作りたいと思っていて、技術がないからとあきらめている人は、とりあえずやってみてください。意外に簡単にできますよ。
あと、クローラーが動いていると、全能感を味わえるので楽しいです。
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19:30追記
サーバーソフトからアラートが上がって、見てみてたらなんかすごいアクセス貰ってまして。
>カゴヤの中の人乙wwww VPSといったらさくらかServersManくらいしか選択肢が無いのは現状当然の認識であるはずなのに!
カゴヤの人間じゃないですよー。広告してるつもりもないんですが、ベータ版だからかもしれませんけど、すごい快適ですよ。今は。
何よりタダなので。
本当に月額900円のまま本公開になったら、環境構築もめんどくさいのでそのまま契約しちゃうかもです。
>カゴヤはOpenVZだからなあ。俺としてはより自由度の高いさくらのVPSをお薦めしたい。
そうなんですか。2週間のお試し期間はつかったのですが、正直どっちがいいとかわかりません。
どんな風に自由度が高いんですかね?あと、アダルトOKなんですっけ?
>組み立てるプログラミングは本当に簡単だよ。 みんなで入り口を隠しているだけだよ。 #組み立てるだけじゃなくて、アルゴリズムを練ることが真のプログラミングかもしれない
サンプルプログラムの組み合わせで作ったようなサービスですので、プログラムのソースとかぐっちゃぐちゃです。
もともと、作ろうと思ったきっかけなんですけど、
椎名舞さんがですね、すでに引退しちゃってるんですよ。ずいぶん前に。
それで、検索エンジンで検索したんです。でも、なかなか出ないんですね。
欲望のままにやってたら、次から次に壁にぶち当たって、そしたらいつの間にかできました。
結果、このシステム使って椎名舞さんのプロポーションに似たAV女優を探すと、
雛乃つばめさんとか、果梨さんとか、佐伯さきさんとか既にDVD持っている女優さんばっかりヒットしちゃうんですね。確かに似てるんです。スタイル。
とくに最近の細い子は。
あ。デザインは、某企業をパk、じゃないリスペクトさせてもらいました。
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23:55追記
寝てたらサーバーからアラートメールが携帯に飛んできておこされました!
こんな瞬発的なアクセスを考えていなかったので、とりあえず再起動しました。
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12/4 01:45追記
何度再起動してもサーバーが反応しなくなるので、うぎゃーってなってたのですが、
親切な方が「MySQLサーバーが原因じゃね?デフォルトだろ?query_cache_sizeを設定したらいいよ。」とわざわざお問い合わせからアドバイスくれました。
設定してみたら驚くほどつながりやすくなりました!
同じSQLクエリーを保持してくれるらしく、実際にデータ検索を行わないので高速になるそうです。こんなの知らなかった。ありがとうございました!
プログラムはサンプルがあるからどうにかなるんですが、サーバー周りの事が全然わかりません。。。。ぐうぅぅ。。。。
おやすみなさい。
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ブックマークコメントもらっていた事を別の日記で説明しました。
http://anond.hatelabo.jp/20101206224349
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笑った。
単に「好かれている」「嫌われている」という最終評価のことではなく、
どういう性格で、どういう価値観で、どういう生き方なのか、といった自分に対する理解についてです。
その相手の理解にあわせる形で
「相手の理解」が分かったところで、問題は「相手が理解した『自分(こちら)のイメージ』を好きになるか」であって、それをするためには「相手の理解の方向性」「相手の好意の指向性」を知るほかなく、つまりは「まずは相手のことを知ることが最優先」をやるしかない。
だいたい、
って「パズルのピースのようにはめること」ができればみんな苦労はしないわけでな。
要するに「トータルでうまくやれば相手に好きになってもらえます!」以上のこと言ってないだろ、これ。
書籍「失敗の技術」紹介 (勝間和代が読み解く Book Review http://www.ustream.tv/recorded/9628233 より)
行動経済学でも実験が行われているのだが,エキスパート(専門家)であっても,情報を多く得たからと言って予測精度が上がり続けることはない.ある一定以上の情報を与えても予測精度は頭打ちする.しかし,自信だけが上がってしまう.それが対象分析の目を曇らせてしまう.専門家の過剰な自信というによって,かえって失敗を招くことがある.
アイマスに限った話じゃないけど、「限られた公式情報を頼りに想像力を駆使してゲームの世界観のディティールを深めていく」という楽しみ方があるんよ。パズルのピースを自在に組み合わせていく感じで。
腐女子が楽しむ作品って男性向け作品を素材にするケースが多いし、特に少年漫画の場合は主人公に最初からヒロインが設定されているから抵抗が無いんだろうけど、「アイマス」の場合は違うんだよね。
俺は詳しくないけど、たとえば腐女子向けの「男子校を舞台としたイケメンばかりが登場するゲーム」があったとして、
こんな流れを想像してくれれば良いかと。
心の拠り処とは、もう限界だダメだって思った時に心に思い浮かべて元気が出る対象のことなんだが、それは人だったり音楽だったりゲームだったりする。
この曲がなければ生きていけない!と本気で思ってる状態だ。まあ音楽やゲームにどっぷりつかるのは別にいい。
問題なのは人の場合だ。
ハマってる時は、その人のことで心がいっぱいで来たメールを何度も読み返してしあわせな気分になり、やる気が出るのだけれども、
効果が持続しない。ある日ふっと醒める。あの熱病状態っていったいなんなんだろう。相手からすれば急に温度が下がって戸惑っていると思う。
所詮は自分の心の隙間を埋めるために自分で理想像を作り上げていただけにすぎないのかもしれない。
嵌まらないパズルのピースをぴったり嵌まったと思い込んでいたことに気づく。
みんなそんなものなんだろうか?
人生で一度だけ、浮気をしたことがある。だけど、人によってはそんなのは浮気ではないと言うのかもしれない。私がしたことは、単に彼氏以外の男と一緒に寝たというだけだったから。セックスなんかせずに、文字通り一緒に寝ただけだった。
彼氏と付き合ってからは3か月が過ぎていた。最初は毎日のようにメールが届いたけれど、徐々にその頻度は減っていった。だけど、私の心の平衡を崩すのはその頻度の減少ではなかった。少しずつ、メールの文面に彼の体温が感じられなくなっていくということ。あるいは、別れる間際に特有の、あの他人行儀な距離感。焦燥ははやばやと諦めに変わる。ああ、もう終わったんだ。
さみしい、というのはこういうことなのか、と思った。さみしい、というのは、単にそこに何かが無いからさみしいのではない。そうではなく、自分の手元にあることが想像可能である事物を喪失しているからさみしいのだ。私はさみしかった。だけどそれは固有名詞で表わされる彼氏の不在によるものではなかった。私にとって耐え難かったのは、一般名詞で表わされる彼氏の不在だった。それはさまざまな事象の欠落、たとえば人から気にかけられるということ、人の体温を感じるということ。
そんなとき、男友達と酒を飲む機会があった。彼は人との距離をとるのがうまい、と私は思う。他人が抱える心のすき間に、欠けたピースをさりげなく差し込んでいくような人だ。彼は他人の論理的整合性の欠如には素早く反応するけれど、思想信条の違いについては他人を否定することがない。私は彼のそういうところが好きだった。
すこし過剰な意味を含むような言い方で、私は彼に告げる。たぶん、そろそろ別れると思うよ。そうか、とだけ彼は答える。どうせあんたたち、いずれくっつくんでしょ、と目の前にいる女の子が言った。その言葉を黙殺して、私たちは視線を交錯させる。それはないな、と私は思った。顔は好きだけど、もうちょっとわがままでいてくれないと、私はちょっと、ときめかない。
夜明け近く、ね、ちょっと膝かしてよ、と言って私は人目もはばからずに彼の膝の上で目を閉じた。泊まっていく、と彼が訊ねる。私は無言で同意を示す。これから起こるであろう出来事を考えても、罪悪感は感じられなかった。私と彼氏の関係は、既に私にとっては脳死状態にあったから。定義上は生きていても、実質的によみがえることのない。
彼と一緒のベッドに入る。彼は私を抱いた、けれどそれは社交辞令以上の意味を含んでいなかった。それ以外、彼は私に何もしなかった。ただひとこと、俺、彼氏いる人に手出さないことにしてるから、とだけ彼は言う。それが駆け引きを優位に進めるための言葉なのか、それとも本心から出た言葉なのか、そのとき私にはわからなかった。
結局、彼氏からは、そのあと1週間くらい後に「友達に戻ろう」というメールが届いた。果たして戻る地点などあるのだろうかと思ったものの、それは表に出さず、今まで楽しかっただとか、今まで言えなかったことを後悔の無いように伝えた。
すぐに返事が来た。その文面からは、この人はまだ自分のことが好きなのだということが伝わってきたけれど、それなのになぜ別れようとするのか私には理解ができなかった。そのメールには、返事を返さなかった。返せなかった。
1か月くらい経った後、別れた彼氏から唐突に、会いたい、というメール。後輩の女の子に、これどう思う、と聞くと、さびしくなったんですね、会うなんて言っちゃ駄目ですよ、と返された。いつだって適切なリアクションをする子だと思ったけれど、間抜けな私は既に会おうと返事をしてしまった後だった。結局、付き合っていた頃と何ら変わりのない時間の過ごし方をして、それから終電の無くなった彼を家に泊めた。
同じベッドの中で、私は彼に背を向けて眠る。彼が私に後ろから抱きつく。あのさ、もう別れたんだから、そういうの、やめようよ、と言いかけて、彼が泣いていることに気付く。泣きながら何度もごめんね、ごめんね、と謝っている。それは、聞いているこちらが苦しくなるような、泣き方だった。ごめんね、もう、さみしい思いはさせないから、だから、もう一度。
私を部屋に泊めた彼と、その後、また会う機会があった。そういえば、彼氏とやり直すことになったよ。私がそう切り出すと、そうなんだ、よかったね、と口を開いたのは彼ではなく、別の男友達だった。すこし時間をおいて彼は、俺、お前のこと、すこし好きだったのに、と言う。
すこし、って何だろう、と思った。それがすこしではなくて我慢できないほど好きだったら、彼氏と別れている間に君とくっついていたかもしれないけれど、と思ったけれど、やっぱり言えなかった。
それから半年くらい経った頃、学校から家に向かう途中、彼氏から電話の着信。初めてだった。いつもなら、いま電話していい、とメールで確認をしてから電話をする彼が、何の前触れもなく電話するなんてことは今までになかった。
自転車を降りて、電話に出る。どうしよう、俺、Oの浮気相手と勘違いされてる。そんな内容の言葉を彼は私に伝えた。Oは私と彼の共通の知り合いで、彼氏がいるにもかかわらず手当たり次第に手を出す女として知られていた。どうせあんたたち、いずれくっつくんでしょ、と私に向かって言った女。彼は私の言葉をさえぎるように喋り続ける。でも、俺、本当にやってないから、お願いだから、信じてよ。
ああ、そうだったのか、と私は自分の鈍さをいまいましく思った。今まで理由のわからなかった彼やOの言動の意味が、その瞬間にはっきりとする。たとえばOが私に向かって、何であんたきれいでもないしかわいくもないのに、と吐き捨てたこと。それは単に、彼が体を許しても心まではついにOのものにならなかったことからくる嫉妬だったのだろう。そう思い当たるまでに時間はかからなかった。
私は彼に言う。状況がぜんぜん飲み込めないよ、なんで浮気を疑われる状況になってるかよくわからないし、とりあえず後でOの彼氏に聞いてみるから。彼は、それだけはやめて、と言った。お願いだからそれだけはやめて、もしそうしたら、俺、別れるから。
家に帰り、Oの彼氏にMixiでメッセージを送る。メールアドレスは知らなかった。返ってきたメッセージには、よかったら電話して、と家の電話番号が記されていた。
その電話で、なぜ浮気を疑ったかその根拠を告げられた。彼とセックスしたことを得意気に吹聴していたということ、ご丁寧に手帳にもその記録があったこと。私は訊ねた。いつくらいの出来事だったのかと。彼の回答によれば、それは私が別れを告げられるちょうど1か月前のことだった。
どうするの、Oと別れるの、と私は訊ねる。涙声を装いつつも、それはほとんど尋問に近いやり方だった。どうしようかなって迷ってる。そんな答えが返ってきたことに苛立ち、私は彼らを別れさせようと、たったひとこと言葉を加える。別れた方がいいよ、なんていうものではなく、Oの彼氏が最も強く罪悪感を持つような言葉を、最も彼が傷つくようなタイミングで、私は彼にささやく。
その後、彼氏に会い、隠してること、あるでしょ、と問い詰めた。長い沈黙の後、彼はOとの間にあったことを話す。それにしても、と彼は続ける。君は俺のこと何でも知ってるね、でも俺には君のこと、何にもわからないよ。
私は思う。私は君のことなんて、何も知らない、ただ、知っている振りを装うことができるだけ、だって昔の私のメンタリティーとよく似たものを君は持っているから。けれど、その言葉は口にするには少し重すぎる、と思って口を閉ざす。
私の横で彼が眠る。夜中、目を覚ますと、また彼が泣いていた。だけどそれは、私には聞こえないように声を押し殺し、心の底に沈殿した澱を洗い流すような、そんな泣き方だった。私は彼を許したのに、なぜ泣いているのかわからなかったけれど、それでも彼がいとおしくて後ろからそっと抱きしめる。彼はひとこと、そういうことするから泣けるんだよ、と言って私の手を払いのけようとする。私は、離さないようにと、彼を抱く手に力を込める。
2週間くらいした後、Oの彼氏からメールが届いた。その内容は、Oと別れることにした、私には背中を押してもらって感謝している、という簡潔なものだった。思わず、舌打ちした。確かに私は彼らが別れることを望んだけれど、だけどあまりにもタイミングが悪すぎる、と思った。
次に彼と会ったとき、家に寄っていい、と彼が訊いた。私の部屋で彼は何か言いかけて、それを口に出せずにいる。私は、別れたいんでしょ、と訊ねた。だけど、それは既に疑問文ではなかった。彼は、やっぱり君には何でもお見通しなんだな、と言って唇の端に歪んだ笑みを浮かべる。だけど目は笑っていなかった。
私は彼に理由を訊ねる。だって、俺といると、君の価値が落ちる、なんて意味のわからないことを彼は言う。きっとOに何か言われたのだろう、と思った。だって、そんな語彙は彼の中には無いはずだったから。だけど、何を言われたのかは見当がつかなかった。
何言ってるか、よくわからないんだけど、と私は言う。
もう、罪悪感に耐えられない、と彼は言った。
そっか、じゃあ別れたらいいよ。
引き留めてくれないんだ。
引き留めても戻ってこないことくらい知ってる。
ね、最後にひとつだけ、わがままきいてもらっていいかな。そう言って、彼は私に体を預けた。初めて会ったときに付けていたのと同じ香水の、少し甘い匂いがした。ここで体を離せば、もう、こうやって肌を合わせることもないのだろう。だけど、自分で幕を引かなければいけないのだと思い、もういいよね、と言って私は彼を自分の体から引き離す。
彼は、今までありがとう、と言って部屋のドアを閉める。私は、返事をしなかった。
その後になって知ったところによれば、Oの彼氏にOの浮気を知らせていたのは、私を部屋に泊めたあの男だった。彼は言う。だって、Oの彼氏があまりにもかわいそうだったから。この嘘つき、と私は思った。かわいそうな人間に、より残酷な事実を告げることは、さらにかわいそうなことではないのか。
私はそれ以来、いかなる男の知り合いに対しても「友達」という呼称を与えるのをやめた。だけどごくたまに、「知り合い」と呼ぶにはいささか親密すぎる人間関係に、何という名前を与えようか、すこし悩んで、そして結局口を閉ざす。
(追記 7/30)
そろそろこの文章を新しく目にする人もいないかな、と思って追記してみます。
世間でベストセラーになる小説が自分にはちっとも面白いと思えなくて、そして自分が面白いと思う小説は世間では全く受けなくて、だからきっとこんな文章を書いても目にとめる人なんてほとんどいないだろう、と最初は思っていました。それなのに、被ブックマーク数がいつの間にか自分のブログでも見たことない数字になっていて驚いています。こんな真性かまってちゃんの文章に付き合っていただいて、褒めてくれた方にもdisってくれた方にも、どうも、ありがとうございました。
特に、読みづらい、と思われた方には申し訳なく思っています。普段、読みやすい文章が良い文章だと思っていないため、リーダビリティに気を配らない書き方をしてしまいました。こんなに多くの人の目に触れるのだったら、もう少し気を遣った書き方をすべきだったと反省しています。
なお、トラックバックにも書いたのですが、僕は男で、僕以外の人間も全員、ほんとうは男です。tweeterやブックマークコメントを見る限り、トラックバックはあまり読まれていないようなので、今一度書いておきます。ですが、ブックマークコメントに書かれているような、「おっさん」と呼ばれるほどの年ではありません。おそらく、コメントを残してくださったほとんどの人よりも年下です(僕には理解しがたかったのですが、「女でないのに女の振りをして文章を書く」というのは、社会通念として「おっさん」とみなされるのでしょうか。それとも、僕の文体が学生くさくなかった、ということなのでしょうか)。
僕にとって一番の驚きだったのが、「誰の考えも全く理解できない」というコメントがあったことでした。あるいは、「(僕の)フィルターから見た人間はみんな裏工作をしているんだね」というコメントがあったこと。ある人にこの文章を見せたときにも僕はこう言われました。
「感動したけど、他人の態度に対する過剰な意味付けとか、その反射的態度は僕にはよくわからない」
たとえば数学で方程式を解くのと同じくらいのレベルにあると思っていた行動が、他の人にとっては必ずしもそうでないということが、僕には大きなカルチャーショックでした。もし、そういう人が誰かを好きになったとしたら、どうやってアプローチするのか僕には想像もつきません。
おそらく、ですが、そういう人は、日常で不意に放たれる「自分に好意を持っている(いない)」というサインを必然的に見失うことになると思うのです。そして、自分に好意があるかどうかを些細な行動によって見極められないのだとしたら、いったいどうやって"go or no-go"の判断を下しているのか、僕には理解ができません。もし、「そんなのわからないけれど、好きだから告白するし、それでうまくいく」というのだとしたら、それは人としてものすごくハイスペックだと思うし、不確実性に立ち向かうその精神の強靱さに、僕は賞賛と羨望の眼差しを送らずにはいられないのです。
「ハーァ、なんだか最近、力が入ってこない...。」
どんなに人生経験を積んで成長したとしても、私たちは大失敗をしたり、飽きてしまったり、急にすべてが無意味に思えてしまうことがあります。
そんな時、あなたはどうしていますか?
私は、「ここであきらめるのは、もったいない!」と歯を食いしばってがんばるのですが、クタクタに打ちひしがれて、結果的に逃げるように撤退してしまった経験が多々あります。
まるで、ハエが外を目指して見えないガラスの窓に何度もぶつかり、命を使い切ってしまう、そんな状態です。
このように人生について行き止まりのように感じる時、どうすれば良いのでしょうか?
そんな時は、こう考えてみましょう。
神様が「一旦気持ちをゼロにリフレッシュしてから再スタートしたほうがいいよ」というサインがあなたに送っているのです。
今日は、また走りだすための上手なリセット方法をいくつかお伝えいたします。
1.潔く変化を受け入れよう
「気持ちのやり直し」を自分自身に迫られる。
それはどんな状態なのでしょうか。
あなたはもう、昔のあなたじゃない、ということです。
もう、あなたは同じものや人に惹かれてはいないし、あの時立てたゴールだって今や魅力のないものに変わってしまっているのです。
それは仕方のないことです。人は毎日、成長し変化するからです。
一貫性がないだとか、熱しやすく冷めやすいだとか、自分を責めてはいけません。
昔の気持ちを忘れて(捨てて)、今の気持ちを感じなおしてみましょう。、
はじめは難しいかもしれません。昔ほど、モチベーションが湧いてこない!と焦ることだってあるかもしれません。
潔く変化を受け入れよう。
そうすれば、元の場所に新しい自分がカチッとはまる素早さに驚くことでしょう。
2.思いきって、新しい人の輪に入る
私たちは、無意識のうちに見知らぬ人を避けていることがあります。
それがまさに、あなたを退屈や失望、失敗に陥れているのです。
会う人 会う人を少し見たり話したりしただけで「こういう人だろう」と予想してはいけません。あなた自身が奥深いように、他の人だって数分みただけでどんな人かわかるわけがないのです。
変な気負いや遠慮は思いきって捨て、いつもの自分を出して、流れに委ねてみましょう。
新しく出会う人を、フレッシュな気持ちで受け入れて続けていけば、人生は本当に変化していくはずです。
3.しょうがないけど、負けを受け入れる
仕方がないのです。負けを受け入れましょう。
そして、進みつづけるのです。何かを失ったかも知れないし、大切な人ともう二度と会えなくなったかもしれません。
それを受け入れましょう。その現実、そのデータは紛れなく正しいのです。
はい、だからそこで 自分との戦いはそこで終わりです。
思考の空回りはしっかりストップさせましょう。
その空回りをつづけている内は、同じ場所をグルグルまわっているネズミと同じです。時間の無駄、体力の無駄、お金の無駄です。
戦いが終われば、新しい勝利を手にするチャンスがやってくるのです。
腹をきめて、受け入れましょう。
4.まとまってなくても、誰かに話す。
友達じゃなくても構いません、あなたの話を聞いてくれる人ならば。
自分の今の気持ちを、言葉に変えて 外に出してみるのが目的です。
話しているうちに気分が良くなるかも知れないし、リアルタイムで整理しているうちに出てきた矛盾から新しいアイデアが生まれるかも知れません。
5.思いきって、リスクをとってしまう
自分がオロオロしてしまうような、新しいチャレンジをしてみましょう。
何かを踏み出すのが怖いなら、バンジージャンプをしてみたり、恥ずかしくてできないことがあるならば、人前でのスピーチを買って出るのもひとつの手です。
人は、「安全な場所から出たくない!」という思いがあります。だからといって、安全な場所からでなければいつまでも、その中で過ごさなくてはいけなくなってしまいます。
安全な場所を広げるには、安全な場所から思いきって出てみるのが効果的なのです。自分の怖がっていること以上の場所にいってしまえば、その場所はもう安全地帯になるのです。
6.それまでの事を、ワーッと書き出してみる
小説にしようだとか、あわよくば出版しようだなんて、思わないでください。ただ、飾らずに思いついたままを、あなたの言葉で書き綴っていくのです。そして、「どうして今ここに自分がいるのか」を描いてみましょう。
はしょらなくても大丈夫です。急ぐ必要もありません。
あなたは、ひとつひとつ言葉を書いていくごとに、今の現実を認識していくことでしょう。
何が起きているかがわかれば、問題はほぼ解決したも同然です。
あとはスマートな解法を見つけるのみです。
7.勝ち負けはコインの裏表であると知る
勝つ時もあれば、負ける時もある。ずっと勝ち続けることはできない。
反対に、負ける時もあれば、勝つときもある。
勝ち負けをコインの裏表なのです。次はわからない。
だから、勝ち負けに過剰に反応しつづけている内は、幸せにはなれないのです。
勝ち負けの牢獄を出よう。
積み上げてきたものを、楽しんで、次に進めばいいのです。
8.今ここを生きる
今、生きているこの一瞬を受け入れよう。
なぜなら、その瞬間はもう、二度と訪れないから。
過去にはいけない。
もう過ぎ去ってしまった。
「過去」というのは人間のこしらえた一つの考え方。「未来」も同じ。
今にしか生きれない。
だから、それを受け入れよう。
人は、今をがんばることしか、できない。
その過去につながっているものを、全部 捨ててしまおう。
それが目に付くたびに、あなたは憂鬱な気分を思い出す。
それを思い出すたびに、あなたはグッタリとやる気を失ってしまう。
「捨てる」という行為は、自分自身でない物事を認識する作業です。
つまり、「自分は誰か」という認識の強化につながる大事な作業なのです。
不要なものを捨てれば捨てるほど、あなたは軽くなったり明るくなったりする気分を感じることでしょう。
自分自身でない部分を捨てれば、努力はヒィヒィ言うものではなく、もっと自然に熱中するようなものに変化していくはずです。
10.道具をまっさらに一新する
たとえば、コンピューターを再インストールして、真っさらにしてみましょ。iPhoneを復元して、買った時と同じ状態に戻してみましょう。同じ真っ白の手帳を買い換えてみましょう。
いらないもの・必要なかったものは、そのまま忘れ去られるはずです。
(きっと、いらないものがほとんどのはずです。)
反対に、必要なものは必要にかられて、より適切であなたに調和した形で、再構築されるでしょう。一新する前後で、違ったものになったのだとしたら、あなたはそれが必要だったということです。
そんな思い切ったリセットが必要だったということです。
より身軽になって、スピードもあがるはずです。
11.再設計する
そういう部分は廃止してしまいましょう。
12.「小さな」新しいパターンを取りいれる
大きな変化を起こすというのは、小さないくつかのパターンを変えるということです。
理想の自分が取りうる「小さなパターン」を洗い出してみましょう。
それをどんどん部分的に、取りれていくのです。
やがて古いパターンを断ち切られ、新しい自分をつくる着実な一歩が刻まれていくでしょう。変化とはその積み重ねでしか無いのです。
13.昔の友人に連絡してみる
10年以上 連絡をとっていない友達を探しましょう。そして、連絡をとってみるのです。話を聞いて、その友達がどのように人生を歩んできたか理解しましょう。
あなたとその友人は、途中まで同じ道を歩んでいました。
しかし、あるタイミングやきっかけで別々になっていったのです。
そういった共通点もあり異なる生活を送っている友人の話は、新しい視点をあたえてくれるかもしれません。
14.引っ越す
違う場所へ引っ越してみましょう。自分を取り巻く環境というのは、記憶そのものなのです。環境を変えることで、古い記憶は薄れていくことでしょう。
それが難しいなら、毎日訪れている場所をかえる、道をかえる、それでも効果があるはずです。
はじめは不慣れなことや大変なこともありますが、変化を促してくれることでしょう。
15.熱中しているゲームを変える
「キャリアアップ」というゲーム、「家族」というゲーム、「収入アップ」というゲーム。「恋愛」というゲーム。
あなたは今、どんなゲームに熱中していますか?
あなたのゲームの得点は何で、100点満点中 何点を稼いでいますか?
よくよく考えたら無意味なゲーム、退屈なゲーム、自分が死んでいるように感じるゲームは、考えなおしてみましょう。そのゲームであなたが稼ごうとしているスコアは意味がありますか?本当は、どのスコアが欲しいですか?
16.よく笑う・笑いを見つける・笑いを作る
厳しい現実や、退屈な毎日を目の当たりにしているときでも、あなたは毎日の生活の中に「笑い」を取りいれるようにしていますか?
「あんなつまらないことで笑うなんて」と他人をさげすむのはやめましょう。笑っている人はエライのです。
日々の生活に、笑いを見つけるようにする。笑いを作るようにする。
そして、声に出して顔や体全体で笑うようにする。
これだけでも、毎日に大きな違いがでてきます。
それを持つのも大事ですが、行き過ぎると逆効果になることがあります。もしかすると、今の状態も 真面目すぎた逆効果かもしれません。
心から笑えば、心は解き放たれるし、笑いを通して 凝り固まっていた考え方が溶け出すことだってあります。
きっと、周りの人もこわばったあなたより、笑顔のあなたに手を差し伸べるに違いありません。
よく笑うように心がけましょう。
17.他の誰かに、教えてみる
誰にでも才能があります。特別な能力や、面白い考え方、モノの見え方があるのです。それを、友人や家族に教えてあげましょう。
必ずしもそれが、ずば抜けたレベルである必要はありません。
他人に教えるという行為は、自分に教えることに直結しますし、知識の整理や強化、体系化に大きな役割を果たすのです。
そんな時間を共有する中で、あなたは反応や発見を得ることができます。
相互作用こそ、インスピレーションを生み出すカギなのです。
18.「Yes」を言いに行く
新しいことへの抵抗をしている限り、新しい変化は訪れることがありません。
本質的な変化というのは、Yesをいう余裕によって 創りだされていきます。Yesと言いたいのに、Yesが口から出てこない。Yesを言いに行きたいのに、足が動かない。
それはきっと、能力以上のことをやる恐ろしさがあるからだと思います。
世の中には、何の保証もないことが溢れています。保証のないところからスタートして物事を成し遂げる事が求められているし、保証があると思っていても、刻一刻と変化する状況の中で、その保証が無意味になってしまうことだってあるのです。
やりたいのならYesと言って、今 この瞬間にベストを尽くすしかないのです。
19.キッパリと「No」を言う
注力すると決めたもの以外は、キッパリとNoを言いましょう。
不必要なものにYesを言えば、あなたの中に、また「自分ではない部分」が作られていきます。それが足枷となり、あなたのフットワークを奪い、気持ちを暗くし、時間を浪費させるのです。
また、そういった無責任でベストでない状態で、物事を受け入れても頼んだ相手はガッカリ失望するだけでしょう。
責任の質を向上させましょう。けして量を増やしてはいけません。
上手なNo、合理的なNo、思いやりのあるNoをいえるようになりましょう。
20.「バカ」になってみる
失敗の恐怖。これこそが、私たちが新しいチャレンジを阻害する大敵です。笑われたらどうしよう、他人の目が気になる、そんなことが頭の中をグルグル回り始めてしまうのです。
振り返ると、「無知だからこそできた」バカなチャレンジと成功はありませんでしたか?それも今の自分を形作っている大事なチャレンジが。
当たり前の話ですが、はじめる前に全ての道すじや結果を知ることは、できません。
普段、私たちはバカにならないことに意識を集中していますが、もし 新鮮な気持ちで再スタートを切るのならば、「バカ」になってみるのも大事なことなのです。
あなたは、みんながその人気の秘密を知りたがるスターだったとしましょう。この世界を光で照らす、英雄なのです。
栄光をふりかえって、心を開いて 本当のことを正直に、話してみるのです。そして、それを読み返してみましょう。きっと、発見があるはずです。
22.レンズの焦点を調節する
人生を正しく見るためのレンズが曇っていると、大切なことを見過ごしがちです。それは、何を撮ったらいいのか、はたまたどこに焦点をあてたらいいのかがわからないカメラに似ています。
少し焦点をひいてみたり、近づけてみたりして、何を見るべきかしっかりと調整しましょう。
23.一日を「反応 < 行動」にする。
私たちの日々の生活は、何かへの「反応」がほとんどです。
仕事に反応したり、上司やお客さんに反応したり、自分の役割に反応したり、家族に反応したり、広告に反応したり。
何か起きたことに反応をつづけている限り、人生への意識の感度はどんどん鈍っていき、フレッシュな気持ちで再スタートをきることはとてもむずかしくなってしまいます。
反応がメインになると、何かに追われるだけの しんどくて退屈な毎日に飲み込まれてしまうからです。
けして恐怖や拒絶にまけることなく。
一日の時間が、反応 < 行動に変わったら、新しい道が開けるに違いありません。
24.意味のない問題を解きつづけるのをやめる
本当に、本当に、大事で意味があることに集中しましょう。
誰かに言われたことや、対抗心、意地の張り合い、そういうものに囚われるのは無意味です。
目の前に はまりやすい問題が転がっていると、私たちはそれを解きたくなってしまいますが、それが「本当に、本当に、大事で意味があるのか?」しっかりと再考しましょう。
25.「できること」よりも「やること(意志)」を言い聞かせる
それが私たちを形作り、ひいては現在の人生を構成していくのです。
「できること」を言い聞かせ続けていても、変化はありません。
それよりも、自分のやりたい事、そしてやること(意志)を自分自身に言い聞かせましょう。
変化とは、自己との対話です。
生産的な対話が、素晴らしい結果を生み出すのです。
26.完璧主義をやめて、肩の荷を下ろして取りくむ
不完全を避けて、ものごとをやり切ることができなかったり、世に発表できなかったとしたら、それは不完全以下の「無意味」です。
ゼロです。
世界は全体として、助け合って成り立っています。
不完全さを表に出すことで、あなたを補完してくれる何かが集まってくることを信頼しましょう。
1:読者の想像力をかきたてる
ト書きのような説明文。
勿論、読者が雲をつかむような場面ばかりではダメだ。(演出上の理由でなければ)
状況を全てお膳立てして、台詞を並べたてるのではなく
必要最低限の状況説明を徐々に積み上げていけばよい。
積み上げる事で、読者は想像力を膨らませ、
豊かな人であれば漫画・アニメ以上の物を作り上げる事が出来るだろう。
時に読者を立ち止まらせ、ページを戻させるのも手法として悪くはない。
2:神である事を名乗ってはいけない
書き手は、物語の顛末を知っている。
登場人物の思惑、見る物を全て知っている。
だが、読者はそうではない。
今まで表現してきた文章以上の事は知らないし、文章に書かれた事だけが真となる。
また、一人称(もしくは二人称)で進める場合は、他の登場人物の思惑や見聞きした物を主人公は全て知らないはずだ。
三人称の場合は余計に、神の目や耳を駆使しすぎると1の過ちを犯す事となる。
書き手は、読者、そして登場人物の目や耳を意識し、
彼らがその時点で知っている事、知らない事、あるいは隠し、誤解しているであろう事を
詳細に把握しつつ、それを彼らに悟られてはいけない。
小説とは、物語や登場人物が書き手が読み手の感性をくすぐり、その興味と意識に潜り込んで初めて生きるものだ。
完全無欠な記述や起承転結は、時にその物語をつまらない物にさえする。
読者がそれを手にし、組み立て、最後にひとつの絵になるのだ。
勿論、完成された絵が素晴らしく、読者の納得のいくもので、
その過程も楽しめたのであればよいだろう。
だが、ひとつ、ふたつとはめるべき場所を悩むピースがあればどうだろう?
ひとつ向きを変えるだけで、完成された絵が全く意味の異なるものになる事もあるだろう。
それは手法として実に面白い。
また、読者は書き手の人物像に興味を持って、それを求めている訳ではない。
なんらかの思想哲学を小説に盛り込み、読者をその思想に引き入れる目的がある場合を除き、
http://anond.hatelabo.jp/20100513103940
前回の続き。
とりあえず、いろんな人に話をしてみている。
女性店員さん曰く
「元彼の事を出すのは、振るのに簡単だからね」
課長曰く
「忘れろ、いや、忘れなくてもいい。次に行け。」
「本物なら後から、向こうから戻ってくる。」
「でも戻ってくるのを待ってる必要はない。」
「今、かけたピースは次のもので埋めてればいい。」
「次の、次の、その次くらいまで行けば、大丈夫になる。」
「そして、次に行ってても本物なら自分も戻れる。」
部長曰く
「引きずるわな。俺もそのタイプだ。」
「落ち込むだけ落ち込んだら、次のターゲットを早期に立てろ。」
「俺も3月に好きだった(お店の)娘が孕んだと聞いたときは落ちた。」
「でも、次を見つけてがんばれば2週間で戻った。」
「次に行き始めれば、落ち込んでる暇は無い。」
このアドバイスは二人だから出るのでは?と。
ブサメン、の俺は思っていた。
とりあえず、拒食と不眠と深酒が続いてる。
まぁ、ダイエットにはいいかな?
さて、自分はどうするべきだろう・・・。
っつか、出会いそのものが極端にない俺はどうすれば・・・?
出会い系にでも登録すればいいのか?
50年近くひとりで生きてきた私が、自分の家族を持ちたいと思った。
金もなく独り身の私がニナにできることといったら、配偶者ビザを与えることくらいだった。そのお礼と言ってニナは裸になったが、私が彼女を抱くことはなかった。ニナにしてみればこれはビジネスライクな契約だったのだろう。しかし私は対価としての体を拒むことで、そこにビジネスではない情を差し挟もうとしたのだ。それはニナにとって負担だったかもしれない。だが私はわずかでもニナに負い目を感じさせたかったのだ。
ニナは母国に家族がいた。親兄弟、祖父母、叔父叔母、従兄弟。あらゆる血縁が、中には血縁のないものまで、ニナの収入にぶらさがっていた。別にアジアの貧困を憂う気持ちはない。彼らがいたからこそ私はニナと出会い、法律上の夫、そして法律上の父になることができたのだから。
ニナには16歳になる娘がいた。名前はティナ。日本人とのハーフでありもちろん私生児だった。父親の行方は知れないらしい。手足が長く整った顔立ちのティナを見ると、おそらくティナの父親も容姿の整った男だったのだろう。ティナは案外に義理堅く、私のことをお父さんと呼んだ。若く美しい娘にそう呼ばれると、さえない自分が申し訳なくなる。ニナも40歳前だったが美しい女だった。若さとは違う魅力が年を重ねるごとに増していくように思えた。そんなふたりが働く「ルカルカ」はいつも客で賑わっていた。16歳のティナがそういった店で働くことはもちろん認められていないが、ティナは20歳と偽って働いていた。ニナとティナはまるで仲の良い姉妹のようだった。
私たちは婚姻後も一緒に暮らすことはなかった。ニナとティナはパトロンが与えたマンションに住んでおり、私の住むアパートを訪れることは滅多になかった。寂しくないと言ったら嘘になるだろう。嫉妬に身を焦がすことも少なくなかった。私は都合の良い男であることを自覚しながら、心のうちではそれに抵抗していたのだ。そんなときニナとティナは私のアパートにひょっこり顔を出す。「お父さん元気だった?」 それは水商売に身をおく人間特有の愛想の良さだった。それでも私は嬉しさを隠せなかった。私たちは家族なのだ。不遜にもそんなことを考えてしまうのだった。
孤独にさいなまれた夜、私はひとりチェリーパイを作る。私はそれをチェリーパイの夜と呼んでいた。菓子職人だった頃の記憶を呼び起こしながら黙々と作っていると、どうしようもない孤独が少しだけ和らぐような気がした。まだ腕は衰えていない。しかし私はもう菓子職人ではなかった。薄汚れた作業着、黒ずんだ爪、日焼けした肌、軋む身体、生気を失った目。今の私は限りなく底辺に近い場所で働いていた。憤りも諦めも通り越し、あらゆる感情が削ぎ落とされ、疲労だけを身体に積み重ねる毎日を過ごしていた。私はチェリーパイを1ピースだけ口に放り込むと、残り7ピースをそのままにして床についた。ひとりで始めてひとりで終わる。チェリーパイの夜とは、ありていに言えばそういうものだった。
しかし翌朝目覚めると、そこにはニナとティナがいた。私が寝ているうちに来たのだろう。よほど疲れていたのか、台所の床にそのまま寝転がっていた。ふとテーブルの上のチェリーパイを見ると6ピースに減っていた。背中を嫌な汗が伝った。
仕事場からその薬剤を持ち出すのは容易いことだった。耳かきひとさじで致死量のそれを、私はいつもチェリーパイの1ピースに混ぜ込んでいた。そしてロシアンルーレットの要領で皿をぐるりと回し、ひとつだけ口に放り込むのだ。確率8分の1の命をかけたルーレット。これは運試しだった。ただ私はいつも運が悪かった。運悪く生き残っていた。
ニナとティナは甘いものに目がなかった。特に私のチェリーパイは好物だと言ってくれた。時間は深夜、体重を気にする年頃のティナはきっと、ひとつのチェリーパイをニナと分け合ったのだろう。姉妹のようによく似たふたりは、床に寝転がったままぴくりとも動かない。もちろん寝ているわけではないだろう。そろそろ私は目の前の現実を受け入れなければならない。ふたりはもう死んでいる。チェリーパイの夜、私は生き残り、その代わり法律上の家族を失ったのだ。
それから何時間経っただろうか。今私の目の前では美味しそうなミートパイが焼きあがっていた。ひとりきりの部屋で私はミートパイを口に運ぶ。噛む度に口の中に肉汁があふれ、ほどよい塩気と豊かな甘みが広がっていく。そしてゆっくりとミートパイを飲み込んだとき、私たちはようやく本当の家族になれた気がした。
その1 http://anond.hatelabo.jp/20100318123002
その3 http://anond.hatelabo.jp/20100318200421
タイトルマッチを戦うときは
ゴングはいらないセコンド一人
すぐに呼びましょチャンピオンを
コントの流れが止まったときは
ボディアタックくらわせてきても
ここも最後の方まで決まらず、行き場に困ってたジャンポケ投入。決まらなかったのは「悪霊退散!」的なネタってぜったい誰かやってるよなあと思ったから。その人たちいれたいけど私わからない!みたいな。
同級生 二十年前からつるんでる
麗しの何千年昔の王女様
その名をお貸しください 僕らのネタに魅惑の色気ください
タイトルにかぶせられそうだし、コンビ名が「何千年前」とかあながち間違いでもないしクレパトファンが最近周りに多いし、彼らにするにはさほど迷いはなかったんだけど、決めてからが長かった。
ネタがわからんのでニコニコで見始めたら面白くって一時間近くぐるぐる回っちゃったり、結局それは歌詞に一ミリも生きてなかったり(笑)
きらいきらいめくらないで 真赤になっちゃうから
とろけるような言葉 耳元で言わないで
すきすき君の事が 世界で一番だから
そばにいるだけで私 バニラビーンズ増えちゃう
「どの面下げてそんなこと言えるのよ ブス!」
「ひどい!そんなこというなんて!」
「だって本当のことだもーん。ブタ柄……ぷぷ」
「縦読みドコー」的なコメントがきてたのですが、やっぱり元歌縦読みあるの?歌詞作るとき気になってぱっと見た感じ調べてみた感じ、見当たらなかったからスルーしてしまったのですが……
おどろぉ 周太 ケンちゃん
これで決めるぜ
俺たち すべり知らず
だまにゃんダンス
ノーコメントである。
…あ、前回の「ガッチャ」気づいてもらえてとても嬉しいです(笑)
京浜東北線伸ばす あなたが憎らしい
跪いてお嘗めよ つぶれた東京タワー
そうだおそれないで みんなの岡部
ゆけ みんなの岡部 まもるため
ここも本来歌詞ない。でも尺長くてもったいないので、歌ってた人の歌詞参考に替え歌。前半は「禁じられた遊び」、後半はアンパンマンか。
おちゃだんせっかくAGEAGEだし入れたくって、アメリカンアンパンマンのネタがあるから後半にしようと思ったのだけどいつのまにかこんなことに?
カメラは寄らないでください
じじじ自虐はもうしません 追いかけたいのは
仲良しアイツらじゃないから
たどこおさんは「北関東あたりのゲーマー」ってことに今はなってるけど、文字数の都合上。カメラはシチサントーク中の話!
後半は一ライスファンとしてのただの希望。でもきっとそうだよね。
漫才愛する想い 一つだけ叶えたら
誰も目立ったキャラのいない 三組が揃ってしまったよ
タモンズとか井下好井とか入れたい人たちだったんだけど、それぞれ単独ではうまく入るとこがなかったので。
まさかのITIですよねー
うまうまうまうま……
(あの馬のお面のやつ)
原曲も「ウサウサウサウサ……」ってずっと言ってるだけだった。
ボイフレはもっとテンション高いとこでテンション高くいれたかったなあとはちょっと思う。元歌詞がなんか純粋無垢なんだもの…いじりにくい!
どこまでも俺らはゆくよ
連続で難易度たかかったよー。素直に頭文字をとってノンスモさん。
好きなんだけど、むずかしいなあ。
図書室さ隠れて 女子のふりして 告白するんだ
私が生で見たことあるのってこのネタくらいしかないから素直にそのまま行ってしまったんだけど、反応見るにメジャーじゃない?なんてこったい\(^o^)/
綾部さんが「女の子とドラマみたいな出会い方したい!」とか言って、「図書室で偶然同じ本に手をのばして触れ合ってドッキリ」をやろうとなり、「あなた…私のことが見えるの?」と又吉さんが図書室の幽霊かと思いきや「教頭です」で終わった記憶があるのだけどー
つるっと・すべって・おっこって
つるっと・すべって・おっこって
つるっと・すべって・おっこって
アゲサゲライブもやっちゃった
つるっと・すべって・おっこって
つるっと・すべって・おっこって
つるっと・すべって・おっこって
アゲサゲライブでやったった!
YATTA! YATTA! チョットトレイン
YATTA! YATTA! サファリパークだ
YATTA! YATTA! ポンコツ二人
YATTA! YATTA! ツッコミ一人
スリッパ片方あればいい エブリバディセイ! YATTA!
今はわからないことばかりだけど
信じるこの道を進むだけさ
タンクトップも芸名も構わない
笑いを逃すもんか
何期だかわからん、先輩なの後輩なのどっち?感を出したかったんだけど、国語力のなさにて挫折。替え歌むずかしい。ここにきて思い知る。
こっちはボーボー ぼくボーノです
吉村がんばる ラメにも負けず
寝起きダメなボーノさんはライスシチサン「起こしまSHOW」のネタです。
吉村パラソル好きだからまた使っちゃった。
これいい?だめ?
やーなんか文字数しっくりきたからさあ……
合いの手いいなあー「長田 長田 かたはばおばけ!」
裏9期の中で 存在感あげたい
なんか喜んでもらえたぽくて嬉しい。
もうちょっと人生に格好良さを求めてください。
要求だけ飲めというのは取引になっていません。
その要求を飲んだら、あなたはどういった利益を提供できますか?
ギブアンドテイク。
ラブアンドピース。
オーイェー!
池田さんのついーとより
客観的に見て、週刊朝日の民主党寄りの報道は異常。「検察の狂気」という特集の中身は、既知の噂と、上杉隆氏の憶測だらけの記事だけ。マスメディアの常識をはずれて捜査妨害に近い。
山口編集長は「裸の王様」になってるみたいだけど、この前、週刊朝日の記者が「あまり党派色が強いと売れないので、池田さんの民主党批判を・・・」といってインタビューにきた。
明日の夜、上杉隆氏と「検察リークと記者クラブ報道にマジレス」。あまり気乗りしないけど、ネット上に実情を知らない検察・マスコミ批判があふれているので、1度ぐらいいいでしょう。
検察のリーク(意図的な情報操作)なんかないので、ないものを論じる意味はないが、結果としての捜査情報の漏洩はある。それと報道の自由のバランスをどう考えるかは重要な問題で、これには簡単な答はない。
結果としての捜査情報の漏洩は存在する。これも明らかなので、議論してもしょうがない。それを防ぐために記者を逮捕しろというのなら議論は成り立つが、そういうことをいっているのはミラーマンぐらいじゃないの。
捜査情報の漏洩を「広義のリーク」と呼ぶとすれば、事件報道のほとんどは広義のリークによるもの。それを防ぐには、記者発表以外の情報の報道をすべて禁止しなければならない。それはそれで一つの意見だけど、誰がそういうことを望んでいるのか。
リークという言葉を勘違いしている人が多い。政治家が人事を決まる前にリークしてつぶすといったことはよくあるが、検察の場合は起訴したらすべて明らかになるんだから、事前にリークする意味がない。ほとんどが記者の推測。
リークという業界用語を誤用している人が多いが、これは普通は単なる「情報漏洩」のことではなく、状況を変えるために「情報操作」すること。最近では、ブッシュ政権がNYTに「大量破壊兵器」の情報をリークして開戦の理由にした。検察は自分で起訴できるので、リークする必要がない。
そもそも検察は何のためにリーク=情報操作をするのか。たとえば水谷建設の話は「隠し球」としてもっているほうが得で、裁判の前に手の内を明かす理由がない。「小沢はクロだ」という情報操作をすると不起訴のとき批判を浴びるだけで、何の得にもならない。
要するに問題は「検察の情報操作」じゃなくて「マスコミの推測による過剰報道」なんですよ。だから彼らは、上杉氏のピンぼけの話なんか相手にしない。週刊朝日の山口編集長も『ゴルフダイジェスト』出身の素人でしょ。
念のため、今回の事件を取材している記者にもきいてみたけど、「リーク批判?上杉?あぁそういうの一部にはあるみたいですね」。まったく実情を知らない「批判」なので、相手にもされていない。
・・・というわけで、検察リーク問題なるものは、上杉氏や一部のオタクの脳内だけに存在するnon-problemなんだけど、彼らは納得してないみたいだから、気乗りしないけど話をします。
リーク問題が無駄に盛り上がってるけど、かりに「情報操作」があるとして何が問題なの?イラクのWMDをめぐる事件では、世界の批判を浴びたのはリークしたチャラビじゃなく、それに引っかかったNYTの記者。最後はメディアの判断力の問題。
http://www.ustream.tv/recorded/4745416
司会:みなさんこんばんは。ケツダンポトフのソラノ(?)です。ブログス特別討論番組「検察リークと記者クラブ報道にマジレス」第4の放送を始めます。早速ですが、本日の出演者の方のご紹介をさせて頂きます。鳩山邦夫議員の公設第一秘書、ニューヨークタイムズトウキョウ支局取材記者を経て、フリーランスジャーナリストとして活動中の上杉隆さんです。
上杉:三流ジャーナリスト上杉です(笑)(カメラ位置を確認。どこ見てしゃべればいいのかな、的な)安倍晋三元総理に、ちゃんとクレジット付きで、三流ジャーナリストという名誉ある称号を頂きまして、この場をお借りして御礼申し上げます。よろしくお願いします。
司会:ご本人のブログや、アゴラでおなじみの経済学者の池田信夫さんです。
池田:よろしくお願いします。私はさっぱりわからないことを、上杉さんに教えて頂くつもりで参りましたので、はっはっはっはっは(としゃべりながら笑いだす)
司会:はい、では早速でありますが、今回の討論会のテーマは「検察リークと記者クラブ報道にマジレス」というテーマで進めさせて頂きます。民主党の小沢一郎幹事長の政治資金規正法違反事件を巡る、検察側の動きをいち早く入手して報道した問題など、特定の報道機関の記者だけで構成している記者クラブについて、熱い討論を交わして頂こうと思っております。そして今回はインタビューの取材現場やイベント会場からライブ中継をし、ツイッターで視聴者から受け付けた質問を取材相手に投げかけるダダモレ放送でおなじみの、私、株式会社ソラノモト(?)ケツタンポトフのソラノが司会を務めさせて頂きます。よろしくお願いいたします。
それでは、早速討論に入らさせて頂きますが、今回は私が参加しておりますので放送中に放送を見て、みなさんがツイッターにポストした内容、ハッシュタグ「マジレス」で呟いて頂いた内容を随時、放送中に上杉さん、池田さんに投げかけてみたいと思いますので、みなさん、どしどしご質問よろしくお願いいたします。(ぺこり)それでは、私が早速最初のフリだけさせて頂きます。まず、池田さん。(カメラが司会から池田の方を向く)今回の上杉さんの検察リークの報道の一連の発言について、何が最も問題だと思われていらっしゃいますか。
池田:問題って言うよりね、さっきも言ったように、この問題はリークっていう言葉の定義がはっきりしないままに、リークはけしからん、みたいな話があちこちに飛びかっているような気がするので、まあ今日はその問題をはっきりさせるところからスタートさせた方がいいと思うんですよ。そもそもがリークっていうのが何を意味するのかっていうのをきちっと定義して話をした方がいいと思うんですね。上杉さんとツイッター上でやりとりをしていっていると、おそらく僕の印象では二つ、リークっていう言葉の意味を二つの意味で使ってる方が多い。それがこの問題の混乱の原因かなと思っています。
一つは、文字通り、情報が漏れるという意味。漏らしたか、引っ張り出したかは別として、結果として捜査情報が漏れるっていう、一番広い意味でのリークというのと、もう一つは業界用語でいうリーク。役所とかが意図的にマスコミを使って都合のいい情報を流す、これが普通にマスコミでいう場合のリーク。ところがそれを二ついっしょくたにすると、リークあるじゃないか、国家公務員なのに、って話がすぐに違法行為をマスコミが手助けしている、ていうふうに話がとんでいくんだけど、問題は、僕はまず二つの問題を区別する必要がある。で、僕と上杉さんの意見が違わないのは、広い意味でのリークっていうのは明らかに存在する。捜査情報の漏えいが結果としてあることは疑うことができない。実際のところ。これはいいですよね(上杉の方を見て、確認をとるそぶりをする)
上杉:そうですね(カメラが上杉の方を向く)今、言っていいのかな。本当、検察リークに関して、私自身検察リークがけしからんって言ったことは一回もないんですけど。(池田の笑い声に聞こえる声が入る)たぶん。というのも、自分も検察に取材をしていて、検察から情報をもらっているんで、リークじゃなくて、検察のリークと思われる情報をそのまま一方的に報じるメディアがいけないってずっと言っているんですよ。だから、一昨日ですよね。グリンピースのシンポジウムでも言ったんですけど、勝手にそういうふうに解釈されているので、リークくるのは当たり前にありますよね。だって情報操作して、リークっていうかスピン、完全なスピンコントロールなんですけど、検察がすることによって、検察という官僚組織の利益を守るということに関して、そのまんま、だだもれじゃないけど、情報操作に乗っかってしまっている記者クラブメディアが問題だとずっと言っているわけで、リークがあるかないかっていったら、そんなのあるに決まっているわけで…
池田:でしょう!だからね、僕はまずそこがわからなくて、リークをするのがけしからんみたいな話が山のようにくるわけですよ。
上杉:どこの立場にいるかが問題なんじゃないんですか。ジャーナリストの立場からするとリークはありがたい。これはだいぶ前にもう書いていますけどありがたい。公務員からするとリークはけしからん。国家公務員法違反で過去にも罰せられていますから。西山太吉さんの例にもいえるように。そのへんを逆に池田先生の方がごっちゃにされていませんか。
池田:ううん。僕は最初から広い意味でのリークは存在すると言ってるでしょ、これを僕は言ってるでしょ、何度も。(上杉が何が言っているが続ける)検察官、検事から情報が漏れた事実もそう多くはないけども、まああると。誰しもが認めていることであって、別に議論にしてもしょうがない。だから今の上杉さんの話を聞いて、僕も事実認識そんなに違わないよと思ったんです。
上杉:(おそらくPC画面を見ながら)池田さんがこのツイッターで言っているのは、「意図的な情報操作のリーク…」
池田(上杉の発言をさえぎって)だから、そっちのほうについては、ありませんが…
上杉:(続けて)「…なんかないので、ないものを論じる意味はない。結果としては捜査情報の漏えいはある」(池田「ある」と発言し、うなづく)と書いてらっしゃいますよね。これは、前のツイートかな。っていうことは…
池田:だからまずね、あの意見の一致しているところから始めた方がいいと思うんですけど、ようするに結果としての捜査情報のリョウユウ(漏えい?流用?)が存在するっていうのは疑う余地もないことで、議論してもしょうがないでしょ。だから問題は、意図的に検事、あるいは検察の上層部が報道を操作しようとして、そのー、なんていうかな、情報を流して、なんかこう民主党政権を倒そうとしているとかね。なんかそういう人いるじゃないですか。そういうことがあるのかどうかっていうのことが問題ですよね。
上杉:基本的に検察が民主党政権を倒すことより、検察っていっても行政組織なわけですから、自ら組織を守るための自己防衛だとか、そのための情報操作の意味のリークっていうのは当然あると思うんですけれど、それはないってことですか?
池田:だからね、それは情報操作をどう定義するかっていう話ですけれど、今、上杉さんがおっしゃたように、それこそ検察の方からだだもれで、こういうこともあるよっていうふうに、どんどん情報が出てくるっていうことは、普通ないわけですよね。これは○×△…わかるように。(聞き取れませんでした。ごめんなさい)普通の役所と警察、検察が非常に違うのは、普通の検察は狭い意味でも広い意味でもリークっていうのはあるわけなんですよ。ようするに例えば概算要求の時なんかになると、いろんな役所を、ちょっとこう各省呼んで、(ほんにゃらにゃんらら)教えてやるからなんて言ってね、こう集めている前に、その省の要求している項目について、この政策明日発表するんだけど、それをどっか書いてくんないかって情報便宜を図ってる。それを業界ではリークっていうんですね。そういう意味でのリークを警察、検察していることは僕の知っている限りある。内部で。でしょ。
上杉:んー、まあ今回の件に関しては色々取材していると、未だかつてないほど、いわゆるそういう意味でのリークも。これまでは書けっていうほどはなかったんですけど。
池田:そこね、僕、実は聞いてみたんですよ。今回取材している記者に。
上杉:それを取材してる記者ですよね?それはどの記者ですか。記者クラブの記者…?
池田:んまあ、かなり上の方、ですよ。
上杉:上か下かは関係ない(苦笑)
上杉:というと、取材してないですよね?
池田:ま、まあ指揮している人だから。
上杉:そうすると間接の間接になっちゃいますよね。この情報は。三次情報。
池田:まあ、そう。まあ、まあ。
上杉:私は検事に近い人に直接聞いているんで。むしろ池田さんは確か私のことを(PC見ながら)「検察取材したことのない素人」とお書きになられてますけど、えー、池田さんよりはしていると思いますけど、そこらへんは?
池田:ぼ、ぼう、僕はしたって書いてないでしょ。僕が間接的に○×△(聞き取れません……)持っていないから。
上杉:私がしてない素人というのは、ぜひ取り消して頂きたい。この取っちゃってください。
池田:(何か言おうとして息をして、一瞬呼吸を止めた後、早口で)じゃあ、いいよ、じゃあそれは取り消します。それは取り消すとして、問題はその今の狭い意味でのリークが現に存在するかどうかなんですよね。まあいま非常にスペシビフィック(?)に検事総長が情報ばらまいているって話がありましたよね。えー、そういう話っていうのはなんか具体的にちゃんと裏が取れた話なんですか。
上杉:検事総長、特に検事…、えー、特捜の部長ですね。東京地検特捜部長の、基本的にこれは体験という形の、内輪のインナーサークルだけのまあ、いわゆる発表をやっているんです。そこにはカメラも入れられない。
上杉:いや毎回やっています。ほぼ毎日のように。
上杉:記者コンもそうですし、そのいわゆる懇談も含めて。それは基本的には一部そこで情報を投げるという時に。正式な記者会見じゃないですよね、当然ながらそれは。クローズド、で、しかも検察と名前も出さない、佐久間特捜部長、佐久間達也特捜部長という名前どころか、検察という名前も書いてはいけないということは、形を変えたらリークですよね、それは。堂々と発表してない。
池田:じゃあ、そこんところは僕は確認してみたけれど、昔に比べてね、激しくなったというふうに、今の上杉さんがおっしゃったように、検事総長と特捜部長が○△□なんかと記者が言ってるようですね、って言ったら、まあ、最近の人からみたらそうかもしれないけれど、昔はもっとひどかったよ、と言ってましたよ。
上杉:でも現時点ではあるってことですよね。そういう形で。
池田:まあ、ようするにその、最近特にひどくなったということではない。彼の言い方だとね。
上杉:私は別に、最近も過去もないとは言っていないですし、特に先程言ったのは別の意味での話ですね。非公式な形、懇談がやや公式だとしたら、もっと非公式な形、いわゆる夜討ち、朝がけ、夜回りだとかで、かつてどんなにいってもやっぱり検事は口を割らないわけですよ。当然文部省も法務官も口堅いですし。ところが相手側から今回の小沢の一連の流れでいうと、途中からこういうの書けと、特に5月の天の声報道以降は特に激しさを増してきたと。
池田:だから、そういう話もね、色々週刊誌業界ではとんでるみたいですけど、僕が聞いた感じでは、そんなに激しくリークしてるっていうふうには聞いてないよ。
上杉:まあそれは、リークされてるっていうのを認めると困る人ですよね。それは新聞社やテレビの記者とかですよね。それはだって自分たちが仕事をしたってことがいいたいわけですから。当然ながら、やー、お気楽に優先的にそれをもらったとか、そんなことは言えないわけですから。脚で稼いだ、どうのこうのって言いたいわけですよ。脚で稼いでないにしろ、なんにしろ、懇談会形式の記者会見、匿名性の中に隠れた記者会見にしろ、情報が出ていることは間違いないんで。
池田:出てることは間違いないよ。
上杉:それをまったく検察の、広義の意味のリークはないっていうその方針は全然違う。その考えは違うって意味ですよね。
池田:いや、広義のリークはあるっていうふうに僕は思う。それはね、そこんところは若干各社の公式見解は違ってて、まあ例えばNHKなんかね、リークはあるっていった視聴室センターのおじさんをクビにしたとかね。あれっておそらくは狭義のリークも広義のリークもないっていう公式見解ですね。つまり捜査官からいっさい情報が漏れていないという。
上杉:リークないってどうやって取材してるんですかね。
池田:そんな、それはありえない。まったく間違ってる。それはリークがないと明らかに知り得ない情報ってあるわけで、それは僕はあると思うんですよ。で、東京新聞の社会部長、まあ暗に認めていますよね。僕はそれは正直だと思いますよ。
上杉:毎日新聞でしたっけ?リークはないと。阿吽の呼吸と壁の向こう側で話した、あーとか、うーとか、そういう呼吸をとって記事にしたっていうなら、それって記事の捏造じゃないですか。
池田:それはありえる。で、それはおかしい。
上杉:例えば鈴木宗男さんが、(以下略、てか「広義」「狭義」言ってループ)
疲れたから終わりにする。このあとも名シーンたくさんあるんだけど、おなかいっぱい。要するに、ぐだぐだだった。
圧倒的に負けます。
30回ぐらい出しますと、だいたい3回くらい勝てます。
つまり27回近く負けます。
勝率で言うと一割程度です。
もちろん、僕だって負ける為に社長をやっているわけではありません。
27回も負ける前に下請けに転向すればいいのに、という声があるかもしれませんが、
いつか逆転の瞬間を信じて、30回は頭を下げてリリースします。
27敗に至るまでの心理の流れは以下の通りです。
3敗して、まず自分自身の頭を疑います。
11敗して、海外に勝ったからなんだっていうんだ、ガラパゴス万歳。と自分を優位に立たせる思考に切り替えます。
13敗して、それでも負けたら悔しい自分に気付きます。
15敗して、Googleに憎しみを覚えます。
しかし、ここで会社を畳むわけにはいきません。
必死に頭を下げます。おべっかを使います。
「プログラミングうまいなぁ。もっと参考にしたいから一緒に働こうよ」
本当は憎しみでいっぱいです。
19敗して、こんなに負けるのは、おまえのせいではないのかと、社員を疑います。
20敗して、急に変なサービスを出して、相手を惑わせる作戦を思い付きます。
21敗して、変なサービスを出すのに夢中になってユーザーを減らした事に気付きます。
22敗して、起業を後悔しだします。
23敗して、「後一回だけ、本当お願いします」と深々と頭を下げます。場合によっては土下座します。
24敗して、ベンチャーが大成功するなんてこの日本に存在しないことを実感します。
26敗して、生まれてきたことを後悔します。
こうして27敗目を迎えるわけですが、27敗目にしてある心境の変化が訪れます。
心の中の憎悪が消え、とても晴れやかな気持ちになります。
2chの罵倒レス、はてブのネガコメが優しく聞こえるようになります。
自分が負けた事で、誰かが勝つ事が出来た。
これって幸せな事だと思いませんか。
勝者の裏には、いつもみじめな敗者がいる、この汚れてしまった競争社会。
僕が、皆の代わりに負けたのです。
人類の代わりに、罪を背負ったのです。
そう考えれば、27敗なんて、何て事無いです。
27敗して気付きました。生きているのは素晴らしいって事を。
みんなも、是非ウェブサービスで27敗しましょう。
そうすれば、憎しみの無いネット社会が作られるのです。
負けた直後、こういう日記を書いて、その日は眠りについたのですが、
深夜2時位にこっそりTwitterを訪れて、低レベルなサーバーをF5連打とかでバッタバッタなぎ倒し
と呟いてました。
そら、起きるわ、戦争。
改変しやすそうなのでやってみた。
ぷよぷよで妻に勝てません。
圧倒的に負けます。
30戦ぐらいしますと、だいたい3回くらい勝てます。
つまり27回近く負けます。
勝率で言うと一割程度です。
もちろん、僕だって負ける為にぷよぷよをやっているわけではありません。
27回も負ける前にやめればいいのに、という声があるかもしれませんが、
いつか逆転の瞬間を信じて、30戦は頭を下げてプレイします。
27敗に至るまでの心理の流れは以下の通りです。
3敗して、まず自分自身の親指を疑います。
5敗して、自分の体調を疑います。
11敗して、ゲームに勝ったからなんだっていうんだ、ばかばかしい。と自分を優位に立たせる思考に切り替えます。
13敗して、それでも負けたら悔しい自分に気付きます。
15敗して、妻に憎しみを覚えます。
17敗して、ここらへんで、妻がぷよぷよに飽きてきます。
しかし、ここでぷよぷよを終わるわけにはいきません。
必死に頭を下げます。おべっかを使います。
本当は憎しみでいっぱいです。
19敗して、こんなに負けるのは、バグではないのかと、プログラムを疑います。
20敗して、急に怖い話をして、相手を惑わせる作戦を思い付きます。
21敗して、怖い話をするのに夢中になって負けた事に気付きます。
22敗して、結婚を後悔しだします。
23敗して、「後一回だけ、本当お願いします」と深々と頭を下げます。場合によっては土下座します。
24敗して、神様なんてこの世に存在しないことを実感します。
26敗して、生まれてきたことを後悔します。
こうして27敗目を迎えるわけですが、27敗目にしてある心境の変化が訪れます。
心の中の憎悪が消え、とても晴れやかな気持ちになります。
「小鳥さん、おはよ。今日は良い天気だね」
だって僕らは宇宙船地球号の乗員です。
自分が負けた事で、誰かが勝つ事が出来た。
これって幸せな事だと思いませんか。
勝者の裏には、いつもみじめな敗者がいる、この汚れてしまった競争社会。
僕が、皆の代わりに負けたのです。
人類の代わりに、罪を背負ったのです。
そう考えれば、27敗なんて、何て事無いです。
27敗して気付きました。生きているのは素晴らしいって事を。
みんなも、是非ぷよぷよで27敗しましょう。
そうすれば、憎しみの無い社会が作られるのです。
ラブアンドピース!!
負けた直後、こういう日記を書いて、その日は眠りについたのですが、
深夜2時位にこっそりぷよぷよをプレイして、低レベルな敵達を6連鎖とかでバッタバッタなぎ倒し
と呟いてました。
そら、起きるわ、戦争。
2010/1/31 追記
妻が日記を書いてくれました。
http://anond.hatelabo.jp/20100131004717
※追記の日付を間違えてました。恥ずかしい。
kommunityさんに心から感謝します。ありがとうございました。
大学生だった頃、ぼくはかなりとんがったやつだったと思う。
とんがるといってもとても格好いいとはいえないとんがりかたで、世界を敵にまわしているような、一人で戦争をしているような、敵意を剥き出しにして斜に構えるような、そんな生意気ながきだった。
自分の好きなものだけに触れて、世の中間違っていると言い張った。
作り出される自分のアイデアが、とても素晴らしいもののように思えて、それだけに夢中になってあれこれと作った。
ハードボイルドの主人公のように両肩で風を切って、ギャングのように何か面白いものはないかと物色しているような、そんなたぶん二十歳ぐらいの自分を思い出すとなにか冷や汗が出るような気がし、その一方で、なかなかに冴えていたなとも思う。一切を閉ざしてしまって、自分だけの世界に閉じこもって、世の中のものをせっせと自分の世界に取り込んでいたような気がする。
ほとんど誰とも話さずに過ごし、たぶん話していてもかなり機械的な反応しかできなかったと思う。その頃のメールの下書きのテキストが残っていて、それを読むと、官僚的というかガチガチな隙のない文章を書いていて、なんだこいつはサイボーグみたいな文章を書くやつだと、なつかしくなって笑ってしまう。
その文章の中にいる二十歳のぼくはいつも完全武装なのだ。
そんなことになってしまったのは大学一年の頃に起こった事故のせいで、ある事件をきっかけにぼくは人間というものが信じられなくなり、社会を敵にまわすようになった。数ヶ月は立ち直れず、それでも本を読んでいるうちにだいぶ立ち直っていき、読書欲に駆られながら読みふけるうちに、復帰していた。
好んで読んだのはハードボイルド。
チャンドラーとか、ジャック・ヒンギスとか、ギャビン・ライアルとか。
ハードボイルドを読む人なら、この手の小説が汚れきった社会を渡り歩く勇気(社会に絶望していたのでそういう勇気を必要としていた)をもたらしたこともわかりやすいと思う。ぼくはあろう事か、ギャングや、探偵や、元軍人や、スパイに社会との渡り合いかたを教わってしまい、いつも鞄のなかには拳銃が入っているようなそんな心地で、復帰していったのだ。
それは今からしてみれば、常時戦場にいるような緊張感で、そんな状態でまともな会話など出来るはずもないし、たぶんしても鋭すぎる態度で、相手を居心地悪くさせてしまっただろううと思う。それでもギャングだが、探偵だか、スパイだか、元軍人気取りのぼくは、そんな完全武装であちこちを歩き回り、あれこれと色々作って、仲間に見せたりしていた。
それは今から見ても、あの頃に作ったものはすごかったと思うほどで、錯覚ではあるのだけど、本当にたったひとりで世界を相手に戦っていたのだと思うし、シャープで甘えがなく、手を切りそうなほどの切れ味あるものたちを作っていたのだと思う。
だから、こう言いたい。
完全武装の時代もそんなに悪い時代じゃなかったって。
その当時にどのように世の中と接していたかと言われて、ふと思い出した言葉がある。
著名なSF小説「ニューロマンサー」の続編「モナリザ・オーバードライブ」の解説にその言葉はあって、それらの作品を評して「鏡に覆われた(ミラーシャーデッド)表層」と言っている。
この感覚。
ガラス越しという言葉があるのだけど、それよりもシャープな感じで、こちらの表情が見えないようにスモークガラスで覆っている感覚。そして、社会もスモークガラスに覆われていて、お互いが冷たく冷淡で、それが日々すれ違っているのだけど、完全に別け隔てられている。
あちこちのバイトを短期でまわって、世の中のいろいろな風景をスパイしながら(そういうつもりだった)、いろいろに世の中の仕組みを知っていくようになった。会話をしなければならないところでは当たり障りのない、そしておそらくかなり素っ気ない会話を交わし、とても冷淡にその体験だけを盗んでいくスパイのように働いていた。
もちろん、その短期バイトをあちこち回ったことが、のちのちまともに社会に出て、効率的な現場のまわしかたみたいなところでとても大きく効いてくることになったのだけれども、誰もが短期なだけにコミュニケーションらしいものは皆無で、煙草を吸いにいってせっかく話す機会があっても、他の誰かがはなしているのを聞いているだけという、なんという非コミュ。
あの当時のぼくはとてもプライドが高く、口を開くにしてもなにか高級な事を言わなければと思っていたように思う。例えばハードボイルドの主人公のようなセリフなど、いま思えば、現場にまったく必要のない言葉以外話したくなかったのであるが、結局の所それは自分の我が儘で、自分の価値観以外のコミュニケーションを仕事場でさえしたくない、もしくはそれをしなくて良いようアンドロイドのように、時間貸しのロボットのように、ただ効率的に現場をまわすにはどう動けばいいか、だけを考えていたように思えてくる。
ボトルネックを事前に発見して、誰も気づかないうちにそれを埋めていく、それで今日の作業は30%ぐらい効率化できたと悦にいる。そんな毎日。それはリアルシュミレーションゲームのように思えていたし、コミュニケーションなどなくとも、出来る遊びではあった(そしてこの経験はのちのち凄まじい威力を誇った)。
しかし、その当時のぼくはやはりゲーム感覚で、いつでもスイッチを切ってさよならできる現場でしかなく、ミラーシャーデッドどころか、液晶パネルの中の駒でしかなかったのかもしれないと思ってしまう。
そんな事をしているうちに、交通誘導の仕事をやってみることにした。
これは簡単に言えば、工事現場に立っている警備員で、たぶんやってみないとわからないが世の中の潤滑油的な仕事である。仮設の信号機でいいのではないかと言われれば、まあ、そうかもなのだけど、ぼくはその辺の議論はどうでもいいし、もう交通誘導をするはずもないので、あんまり関係がない。
で、いきなりやってくるのは、研修。
法定で4日だったかの研修が義務づけられているとかで、ひたすらに、交通誘導がどんな仕事かをたたき込まれる。そこで言われるのは、ひたすらに危機対応、そして、顧客である工事現場の人たちを守るか。酔っぱらい運転で工事現場につっこんでくる車から顧客を守るのが、交通誘導の第一の責務だとか何とか。まあ、ねえ、顧客だからねえ。
そうやって始めてみるしょっぱなに言われた。
「あれさ、お互い遠くに立ってるじゃない。互いに孤独で。8時間とか、12時間とか。そうするとね、話せないから、上手くいかないと不満がたまってどんどん上手くいかなくなるんだ。そうするとたいへんだよ。向こうはぷりぷり怒ってさ」
これはチームワークなのだと、コミュニケーションなのだと、ぼくはあなたのことを信頼していますと伝える事が重要なのだ。あなたが怒らないように、要らぬ誤解を抱かないように、あなたがぼくが心配ないというシグナリングをしなければならないんだって、あの赤く光る棒を振りながら、ずっと伝えなければならないんだと、それはプレッシャーだったのではあるのだけど、それまでの自分とは違うことが価値があるのだということを、思い知らされた事ではある。
交通誘導に業務効率化する要素などなく、どうやってチームワークをよくしていくか以外に改善点はない。そういう意味では完全コミュな仕事であり、ぼくはあんまり自信がなかった。
それが初めての集合で、煙草を吸っていて結構くせがありそうな人に言われた。
ぼくは、どれだけハードボイルドな世界でショートピースが標準か語りたかった。
「香りがいいんです。それでくせになっちゃって」
「どれ、吸わせてよ。うわ、きつ、なにこれ」
その人は笑う。
「缶で吸ってたときもあるんです。あのときは肺に穴が開いたのがわかりました」
ぼくはきっと「ショートピース野郎」と記憶されたことだろう。それでもその瞬間に、ミラーシャーデッドが融けたのを感じた。ぼくの世界に入ってくる人がいた。確かにさりげないのだけれども、それで勇気づけられたのは確かだ。
そういう感じ。
その瞬間に、一緒に仕事をする人々の世界観もわからないとと思って、一瞬にしてぼくのミラーグラスは破壊された。
同じ人と同じ現場になって、その頃はきつい両切り(ショートピース)はやめていて、もうすこし穏健なロングピースになっていたけれども、その人は、仕事が終わってヘルメットを長時間かぶっていたせいで髪型がめちゃくちゃになっていたけれども帽子をかぶって、自転車に乗る。
そういって、現場から明るくたちさる。
あの職場で、いろいろな人々と、その職場を暖かくする事にどれだけ尽くしただろうか。誰もがその底辺で生活しているわけだし、いつの間にか、それは自分の片足だけつっこんだ居場所になりかけていた。世界がガラス越しではなくなったのこの職場だったし、それはなにか守らなければならない暖かいチームワークの場所だった。
底辺などというべからず。
その後の十年近いキャリアを通しても、素晴らしいチームワークだったと断言できるし、この1/5000ぐらいの荒涼とした、無生産な現場は大量に見てるし、基本的に言えるのは底辺ほど効率的で、上層ほど無能であるということだ。のぼるほど無能になっていく。
機能不全とすべての罪は上層にあるのだけど、わかっているか。
ちょっと言い過ぎた。
ぼくが言いたいのは、底辺を経験してすばらしく暖かく機能的で、ここは問題がまったくない、ということなのだ。ここには何の問題もない。すばらしい経験だった。ぼくの非コミュも解けた。
貴族趣味なぼくは結局ほぐされて、そして紹介で別の職場に入ることになる。
本格的な就職に近い形で、人事のトップに笑われる。
「いや、こんな真っ白な履歴書を見るのは初めて」
その履歴書は真っ白だろうか?
数こと話すと人事の最高責任者は頷く。
じゃあ、採用するけど、明日からちゃんときてね。
配属されたのは実務の最精鋭部隊が集まっている部署で、そこで、笑い合いながら、冗談を言いながら、学びながら、いろいろ効率的なオペレーションを学んだ気がする。それで、特別なプロジェクトが立ち上がって、それにたったひとりで派遣されて、その現場監督(ただし、実権はまったくなし。不安にさせるな)で、まったく見知らぬコミュニティーにぶち込まれる。
「山崎まさよしさんに似てますよね、雰囲気だけ」
「あー、そう言われたのは初めてで」
(ブルースは好きなんだけどねえ…)
そうやって、あ、これで大丈夫なんだ、これで上手くいくのだと、そう安心した。