2020-07-17

就活生が、キッズライン選考を辞退した話

エントリー後に事件を知る

私は就職活動をしている。教育を学ぶ大学生であり、子ども関連の企業をみている。

そのような折、採用サイトで「キッズライン株式会社」を知った。

ベビーシッターマッチングプラットフォーム運営する会社で、女性子育てをしながら活躍できる社会を目指しているようだ。

私の目指す社会と近い部分を感じ、面談を申し込んだ。

その後キッズラインについて調べていると、衝撃の事件が私の目に飛び込んできた。

キッズラインシッター2人目、わいせつ容疑で逮捕

内閣府補助対象コロナで休園中に母在宅勤務の隣室で』

https://news.yahoo.co.jp/byline/nakanomadoka/20200612-00182683/

事件の全容はこちらにも詳しくまとめられている→https://note.com/komazaki/n/n080bd2efa2d4

子どもを狙った性犯罪が保育の現場で起こってしまたこ自体が、とてつもなく悲しい。

実際に被害に遭われたお子様やご家族心中を思うと、胸が苦しい。

しかしこの事件が大きく報道されることとなったのは、キッズライン側に不審な点が多々あったからだ。

(この件については各メディアで詳しく報道されているので割愛する)

面談を予定していた会社がこのような事態になり、私は辞退しようか悩みに悩んだ。

しか判断するのは直接話を聞いてみてからでも遅くはないと思い、面談を受けることにした。

実際に社員の方はこの問題をどう受け止めているのか、聞きたくなったのだ。

面談で、率直に聞いてみた

私は面談で、一番気になっていたことを聞いてみた。今回問題になっている「統計的差別」についてだ。

キッズライン男性シッター二人が逮捕されたことを踏まえ、「専門家から性犯罪男性により発生する傾向が高いことを指摘されたことなどを鑑み」た結果、「男性シッターによるサポート一時停止」を発表した。(https://kidsline.me/contents/news_detail/605

例えば出産結婚を機に離職する可能性が高いことを理由女性採用しない、といったものは、典型的統計的差別一種だ。

個々人がどう生きたいか、どんな能力や思いを持っているか、といったことを抜きにし、「女性」というラベルのみで判断をすることは無論あってはならない。

もちろん、男性も同じだ。

キッズラインは、女性統計的差別を受けることなく一人ひとりが活躍できる社会を目指し、ベビーシッターサービスを展開してきたと私は認識していた。

しかし今回キッズラインしたことは、男性に対する統計的差別だった。

これに対し面談担当者は、「子ども安全を考えた上で今すぐにできる対応として、男性シッター活動停止をやむなく決断した。これから安心安全運営ができる体制が整い次第、活動を再開したいと考えている」と話した。

この回答自体は、「今回の対応統計的差別に当たることについてどう考えるか」という私の質問に対する答えにはなっていないのだが、担当者は「今すぐにできる対応」の部分を強調していた。果たして差別にあたるのではないかといった議論は社内で出てこなかったのだろうか。

活動停止を受け、多くの男性シッターが突然職を失った。

また虚偽のレビュー会社側が書いていたことや、事件発覚の知らせがきちんと利用者に届くようなされていなかったことなど、会社として不審な部分が明るみに出た。

そのことに対し、代表自ら表に出て説明責任を果たすといったことは一切していない。

私にはそのような会社を信用できるはずもなく、面談後、選考を辞退することにした。

就活の難しさ

私もそうだが、多くの就活生は、企業理念ビジョン、実現したい社会に注目する。その方向性自分共感するか、一緒に同じ社会を目指していきたいかといった指標は、重要な軸となる。しか就職活動において、キラキラとした理念ビジョンと、企業実態が合っているか否かを判断することは、非常に難しい。

これはキッズラインに限ったことではない。すべての組織において、実際に中に入ってみないとわからないことは多いだろう。

今回はたまたま選考中の企業報道されたために、内部事情を知ることができ、辞退という判断に至ることができた。

しかし、就職したあとに、自分共感した部分と乖離したやり方を目の当たりにしたとすると、相当大きなショックを受けるに違いない。社会に出ればそんな理不尽いくらでもあると言う人もいるだろうが、限りある人生の中で、心をすり減らして働き続ける時間ほど無駄ものはない。

キッズラインは、「子どもにとって優しい社会」を目指しているように見えた。少なくとも私の目には。

だが実態を知ってからは、利益を重視しすぎたあまり、歪んでしまったようにしか思えなかった。すべての責任キッズラインにあるとは思わないが、組織の歪みがさらなる被害を招いたとも言えるだろう。だからこそ、悲しかった。

また、統計的差別とは別にもう一つ質問をした。

私のように、ビジョン実態乖離について疑問視している社員はいないのか、と。「あれ、これって私たちが目指しているものに向かう上で正しいことだっけ?」と気づけなかったのか、と。

これに対しては、「会社方針個人の思いはどこの組織でも大なり小なりあるものだ」という前置きののち、「社員もやもやには社長経営陣が直接答え、それぞれが落とし所を見つけた上で業務に励んでいる」との答えが帰ってきた。

その上、「これは私たちのように小さな会社からできることであって、大きな会社だとそうもいかないでしょう」とのアドバイスもいただいた。

あっけにとられてしまった。これだけ歪んだことを、納得しておこなっていたというのか。本当だとすれば、もはや洗脳に近い。組織とはおそろしいものだと痛感した。

キッズラインに求めること

就活生の視点からキッズラインの件について書いてきたが、やはり利用者シッター登録者就活生などかかわる人すべてが求めていることは、代表自らが説明責任を果たした上で、適切にサービス組織体制改善していくことだと思う。

特に男性シッターの方々、利用者の方々のショックはとてつもなく大きいことだろう。「安心安全」だと信じていたものに、裏切られたのだから

しかし逆に言えば、こういったときこそ、企業の真価が問われるのではないだろうか。不十分な説明でかかわる人に不安を与えたままなのか、間違っていたことは間違っていたと認め、しっかりと説明して進むのか。この違いは、大きな分かれ道となると若造ながらに思う。

面談担当者は、「ここで絶対に歩みを止めたくない」と話していた。私自身も、キッズラインの目指す社会には共感している。

からこそ、子ども家族が不幸な目に合わないようなサービスとして、ビジョン実態乖離のない健全企業として生まれ変わることを願っている。シッターサービスを求めている人も、保育の現場で働きたい人もいるのだから

キッズラインには、かかわるすべての人に誠実な対応を求めたい。

追記

保育者の無犯罪証明書発行を求める運動署名しました。性犯罪がなくなり、子ども安心して育つことのできる社会子どもと関わる方が安心して働ける社会に近づけるよう、小さくてもできることをしていきたいです。

https://www.change.org/p/%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%A4%A7%E8%87%A3%E5%8A%A0%E8%97%A4-%E5%8B%9D%E4%BF%A1-%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%82%92%E6%80%A7%E7%8A%AF%E7%BD%AA%E8%80%85%E3%81%8B%E3%82%89%E5%AE%88%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB-%E3%83%99%E3%83%93%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BC-%E4%BF%9D%E8%82%B2%E7%8F%BE%E5%A0%B4%E3%81%AB%E6%80%A7%E7%8A%AF%E7%BD%AA%E6%AD%B4%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%82%92%E6%97%A9%E6%80%A5%E3%81%AB%E4%BD%9C%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84?recruiter=false&utm_source=share_petition&utm_medium=twitter&utm_campaign=psf_combo_share_initial&recruited_by_id=c89873e0-b698-11ea-870c-b7ce19b13583

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