「猫村いろは」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 猫村いろはとは

2015-07-07

「なぜボーカロイドは衰退したのか」から読み取れる「歌い手危機感

先日、歌い手の「鋼兵」がアップロードした「【ゆっくり雑談】「なぜボーカロイドは衰退したのか」を解説する」という動画話題になっている。

とうとう今日になってニコニコニュースに載ったほどだ(マッチポンプかな?)。

なお、始めに言っておくが、このエントリはその動画の主張が偏りすぎていることを批判するものである

なぜ「ボーカロイドは衰退した」と歌い手が言い出すのか。

と書くと、「鋼兵はボカロPとしても活躍しているではないか」とツッコミが入るだろう。

しかし、私は確信を持って言える。あの動画歌い手としての立場で書いているだけに過ぎないと。

その根拠は、「今になって衰退論を言い出したこと」である

なぜ「今」言い出したのか

VOCALOID衰退論なるものは以前から存在していた。

ボカロ衰退論バックナンバー http://ceripher.tumblr.com/post/123365252187

時代を遡れば「メルト」登場時から衰退論は存在していたのである

そして、一時期ボカロPとしても精力的に活動していた氏が、なぜ今になって突然衰退論を口にし始めたのか?

それには、歌い手の現状が深く関係している。

ボーカロイド業界は相変わらず進み続けている

先日AHSから猫村いろはV4」が発売されたことを覚えているボカロクラスタの人々も多いだろう。

VOCALOID3の時点で既に「数が飽和しているのではないか」と言われていたボカロ音源だが、V4の登場以降、着々と音源は増えている。

VOCALOID進化は未だに続いているのである

ボカロPは相変わらず元気です

ではボカロPたちはどうだろうか…?

今では人のために曲を書くプロになった人もいる。

バンドマンとして活躍してる人もいる。

かと思えば、新人ボカロPも次々と誕生しているし、

その中にもボカロ歌手見立てて曲を書く人もいれば、

音の素材と見立てて曲を書く人もいるし、

相変わらず何でもありの世界が続いているのだ。

歌い手が歌う曲が変わってきた

さて、「歌ってみた」はどうだろうか。

最近になって、歌ってみたカテゴリで賑わっている動画の傾向が変わってきていないだろうか?

歌ってみた」のボカロ離れが始まっている? http://ascii.jp/elem/000/000/877/877539/

2014年時点で、この記事の通り、「歌ってみた」で歌われる楽曲の中のボカロ曲割合が減ってきている。

現在ニコニコ総合ランキングランクインしている歌ってみたの中にも、アニソンを元にしたものがちらほらあるだろう。

そして、その動画で歌っているのは、「昔ボカロ曲を歌ってた歌い手である

歌いたい曲が無い?ご冗談

さて彼らがボカロ曲から離れた理由は何故か?

氏は動画の中で

「歌いたいと思えるボカロ曲がなくなった」

というような理由を述べているが、それは真実であろうか?

私はこの主張を全面的に信用する事はできない。

「歌いたいボカロ曲

ボカロ曲の平均的なクオリティは確実に上がっている。

以前なら凄い再生数を叩き出せたであろうクオリティ楽曲でも、現在では埋まってしまっている。

それらの楽曲を歌いたいと思う歌い手存在しない、というのだろうか?

実際、ほとんどの歌い手は歌いたがらないだろう。

彼らは人気曲を歌うのだ。人気ではない曲は歌う気が起きない。

なぜ人気曲しか歌わないのか?

それはお金と人気がほしいからである

ボカロ曲を歌って金を稼ぐ時代

殆どの人は知っていることだが、ニコニコ動画動画をアップしていると、

クリエイター奨励プログラム」というシステムの元、お金をもらうことができる。

いくら分のポイントになるかは時期などによっても変わるが、だいたい再生数の40%弱ほどの金額だと思ってもらえばいい。

そう、人気ボカロ曲誕生する時。それは歌い手の稼ぎ時なのだ

なぜアニソンではダメなのか?

もちろん、クリエイター奨励プログラムJASRAC楽曲歌ってみたなどでも適用される。

からアニソン歌ってみたでも金は稼げる。

まり本来、このまま歌ってみた寄生先をボカロからアニソンへ変えてうまい汁を吸い続けていればいいはずなのだ

が。

氏は気づいた。アニソン歌ってみただけじゃヤバいボカロ曲時代と比べてかなりヤバい

1:アニソンリリース間隔は長い

アニソンはだいたい1タイトルの1クールOPEDの2曲+α。それが例えば30タイトルあったとしよう。そうすると60曲。

しか殆どの人が見ないアニメやハズレ曲があるとなると、やはりごく一部の人アニメの曲を歌うしかない。

そうなると1クールで5,6曲。

ボカロではどうだろうか?ヘタすると殿堂入り確実視されているようなPが一週間に2人ぐらい新曲を出したりする。

1ヶ月で10曲以上は選択肢があっただろう。どちらの方がチャンスがあるだろうか?

2:アニソンは相手が強い

アニソンを歌うのは誰か。プロ歌手である。(最近プロ化した歌い手が歌うものも増えたが)

それを相手にして歌うのは、これまでボカロと比べられるだけだった世界とは比べ物にならないほど険しい道だろう。

ヘタに大御所プロの曲を歌って信者が「原曲超えた!」なんて言ったら大戦争になりかねないし、

それこそプロ化した歌い手担当しているアニソンを「歌ってみた」なんてしたら信者代理戦争である

3:アニソンCDしづらいし、ライブにも使いづらい

アニソンだけではないが、JASRAC管理楽曲CDにするとき制作枚数の申請もしなきゃいけないし使用料の納付も必要となる。

まり同人CDとして売る時にもめんどくさくなる。商業CDであっても今度は会社がめんどくさくなる。

ライブでも同じことになる。

4:アニソンは「自分の曲」という錯覚を感じることもできない

ボカロ曲を歌っていたころは、「○○(曲名)は歌い手の~~さんのが一番」とか言われて、舞い上がったこともあったろう。

しかアニソンはそうも行かない。誰がどう見てもカラオケだ。

…そう、このままアニソンを歌うようになっていくと、最終的に自己顕示欲お金も満たせない。

ただでさえ、二次創作の先端を独占できなくなっていたというのに…!!

二次創作最先端が「~してみた」が独占できなくなった

元来、ボカロ曲二次創作は「歌ってみた」「踊ってみた」「演奏してみた」などの「~してみた」が最先端(つまり一番外側)であった。

ということは、一番一般人に近い位置にいるコンテンツであった。

これはつまりフリーライダーとしてノーリスクハイリターンな位置に居たことを意味する。

しかし、その関係に変化が生じ始める。

ボカロ曲を元にした小説化・漫画化・アニメ化」のムーブメントである

これにより、ボカロ曲二次創作による恩恵を作者自身や、関係企業が受け取ることができるようになっていく。

無論、そのテーマソングなどに歌い手が呼ばれることもあるが、それは歌い手をメインとした企画ではない。

企業に「使われた」結果の報酬を受け取るだけのことである

あのタイミング動画で言いたかったことは何なのか

さてここで冒頭の動画に戻ってみよう。

件の動画で氏が主張していたことは

・歌いたい曲が無くなったから衰退した

プロジェクトとかメディアミックスとかでボカロを前に押し出さなくなったから衰退した

歌い手と組むと人気出やすいよ!

……ん??

これはつまりボカロの現状を批判しているようで

歌い手が歌いやすいようにボカロ曲仮歌)をどんどん出す事が正義」と世論誘導しようとしているだけではないか。

一時期のうるさい外野が去って、人それぞれがやりたいようにやれるようになった現在の落ち着いたVOCALOIDというジャンルに、

それじゃあ自分たちおまんま食えないから誘導するための動画を作っただけではないか?

……あとは歌い手としてもボカロPとしても大成功を収めたHoneyWorksへの嫉妬とも見られるところがちょくちょく見られたけどそこらへんはしーらないっと!

 
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん