はてなキーワード: 休日夜間急患センターとは
近年、小児科や産婦人科の診療所・病院の数がどんどんと減っていますが、みなさんの周りではいかがでしょうか。
夜間休日にも受診が必要となる時がありますが、安心して受診できる環境がそろっているか、また適切な受診がなされているか両方の視点からまだまだ満足といえる状況ではないと考えています。
お子さんをお持ちになっているお母さん・お父さんに僕らが思っていること、困っていることを書いて見ました。意見は大歓迎です。また、転載についても自由に行なってくださると幸いです。(その際、本記事へリンクをしていただけると、コメントなどに対して返答ができますので助かります。)
お子さんの体調が悪くなった時、どのような病院を受診していますか?大きな病院が夜でも開いているから、と受診していることも多いと思います。
実は日本の救急病院は重症度によって三段階に分かれて分類されています。
簡単に言ってしまうと「入院が必要のない患児」への対応機関です。おそらく、ほとんどの方がまず受診する必要のあるのはこちらの機関であると思います。整備は「市町村の責務」とされています。
「休日夜間急患センター」とか、「夜間診療所」といった名前で各自治体に設置されていることが多いです。
一次救急医療機関で対応できない「入院が必要な患児」に対応する機関です。
お近くの「救急病院」として頭に浮かんだのはおそらくこちらの医療機関だと思います。
具体的には「○○赤十字病院 救急外来」とか「○○病院 救急センター」とかが当てはまることが多いです。
急いで対応しないと生命が危なかったり、入院をしないと改善が見込めない患児に対応するための機関ですが、「24時間開いている」というだけで入院不要な軽症の患児が大変多く受診しています。そのため、本当に必要な患児への対応に時間がかかってしまっています。
「高度な医療が必要な患児」に対応する機関です。大学病院や一部の大規模病院がこれに当たります。
具体的な疾患としては交通事故での多発外傷や火事などによる高度熱傷などがあります。
最初の問題点としては上にも上げている通り「本来は二次救急医療が必要でない患児が、二次救急医療機関を受診している」という点が挙げられます。
原因としては「一次救急医療機関の存在を知らない」場合と「そもそも一次救急医療機関がない」場合があります。
まずはあなたの街に一次救急医療機関があるのかを調べましょう。自治体から配布されている「市政だより」や各自治体のホームページに必ず記載があると思います。
「近くの大きな病院」を受診せず、一次救急医療機関を受診してください。
「そんなこと聞いたことがない。こないだ○○赤十字病院の救急外来に行ったときは小児科の先生もいたし、普通に診てもらえたわ。」 そう思っている方も多いかもしれませんが、それはおそらく適切な受診ではありません。大きな「救急」の看板や赤いランプが点滅しているのは確かですが、あくまで重症で命にかかわる方たちのための施設です。ほんとうに必要な方たちのためにリソースを残してください。
地域によっては休日夜間診療所を内科のみ設置している自治体もあります。基本的にはこれは行政の問題だと思っています。あなたの街がもしそうならぜひ行政に働きかけてください。受診できる機関がないから二次救急医療機関のリソースを圧迫しても良い、とはなりません。
また深夜0時を過ぎると診療自体をおこなっていない自治体も多いのが事実ですが、小児科という特殊性も考えると24時間での営業が本来は適切なのではとは思っています。
受診が必要かどうか迷う場合も多いと思います。自治体が設置している "小児救急電話" #8000があります。
休日・夜間の急な子どもの病気の際、病院の診療を受けたほうがいいのかなど判断に迷った時に、小児科医もしくは看護師に電話で相談できる番号です。全国統一の #8000 という番号にかけることでその地方の相談窓口に自動的に掛かる仕組みになっています。
子どもがよくなる症状についてどのような場合には受診したほうがいいか、どのような場合には家で見たほうがいいかを調べることができます。
たとえば「けいれん」の項目から
を選ぶと、「自家用車・タクシーで急患診療所に行くとよいでしょう。」と表示されます。
おなじ「けいれん」でも、
を選ぶと、「救急車で病院に行く 急を要する症状がみられるようです。」と表示されます。
受診がほんとうに必要かどうかの一助になると思いますので是非活用してみてください。
これは病院・医師によって考え方が違うという事を予め説明の上、お話させて頂きますが、僕はあまり病院へ電話して相談していただくのは好きではありません。
理由として、外来が三時間待ちになったりしているのに、電話がかかってきたらその時点で診察中の人を放っておいて受け答えをせざるを得ないからです。一種の割り込みであり、モラル違反だと思っています。また、その後に診察予定の人の待ち時間も長くなります。救急受け入れの輪番病院であれば、その電話の受け答えの間はその地方の救急車が止まってしまうことも意味します。
また、電話の目的として「大丈夫」といってほしいだけの場合も多くその場合も大変困ります。こちらがいくら受診をおすすめしても結局「それならもう少し様子を見てみます」と返答されることが多いです。電話相談はあくまで電話相談です。見てみないことにはわからないことも多く、その際には受診をおすすめせざるを得ません。最初から「受診しなくて良い」という答えが欲しいだけなら、わざわざかけてくる必要はないと思います。
もちろん、もともとの疾患があってかかりつけの方が相談してくるのは当てはまりません。
受診の相談に関しては上記の#8000に相談してもらうのが良いと思います。
救急外来を受診してくる人の多くが「さっきから熱が出た」ということで受診してきます。
発熱は病気を直そうとするための体の自然の反応です。ウィルスをやつけて、体の免疫力を高めるため、「自分の体が」出しているのです。決してウィルスが熱を出しているわけではありません。
もちろん、発熱していると心配になるのはわかります。しかし「熱が出た」ことを理由に受診する必要はまったくありません。
「発熱」だけではなくそれに付随する症状を見てあげてください。熱が出ていても水分をしっかりとれていたらおそらくは次の日の受診が適切です。顔色が悪かったり、皮膚のハリが無くなったり、おしっこが出なくなったり、そういった付随した症状が出てくるようならその時点での受診を相談してもらうのが良いと思います。
ただし、「(2〜)3ヶ月以下の発熱」の場合は話が別です。とくに1ヶ月未満の新生児ではまだまだ免疫力が弱く感染症となっても症状に乏しい場合もあります。この場合は発熱のみでも受診を強くおすすめします。
特に二次医療機関は、生命の危険があったり、重篤な症状について対処する場所です。「さっき仕事が終わったので保育園から連れて来ました」とか「昨日から熱があって夜になって熱が上がってきたので」で受診するのはぜひ控えてください。
また、救急外来はあくまでその時点での対処を行う場所であり、その時点ですべてが解決するものではありません。翌日必ずかかりつけの病院を受診してください。
数々のコメント・Retweet・Likeをありがとうございます。
→それならばこの記事を書いたかいがありました。
→「時間外選定療養費」という制度ができて当院でも採用しています。これは緊急性を要しない(=入院がいらない、紹介状がないなど)患児の時間外診療に対して料金を徴収できる制度です。年齢によりますが、小児医療は基本的に無料でありますがこの選定療養費は徴収することができます。
開始後は軽症患児の人数は減りましたが、夜間の入院患児数は変わりませんでした(重症患児は受診する)。人数が減った分選定療養費が入ったので、結果的に病院の収入は変わるこなく、結果的に医師の負担は減りました。(楽になって収入が減らないなんて!と思われるかたがいるかもしれませんが、救急医療はもともと赤字部門です。)
ほか多数
→ その通りです。理想論から言えば子供のことで不安、というだけでも受診できて相談できるような環境ができればもっとも良いとおもいます。現在のシステムはそれに耐えれるようにはできていません。
新しいしくみにはお金がかかります。医療費の過半数以上を老人医療費が占めており、子どものために使われているのはごく一部です。もちろん、健康な小児より老人のほうが病気にかかりやすいのはわかりますが、もう少し小児に手厚い制度ができればすこし改善するのではと思っています。
また、「仕事終わってからでないと連れて行けない」ということに関しては医療とは切り離して考えるべき、行政もしくは福祉の問題であると思っています。例えば、病児保育の拡充などが必要かと思いますがそれは果たして「医療」(もしくは病院、小児科医)がカバーする部分かどうかが疑問です。
→ それで受診したときはどこの小児科医も怒らないと思います。また、自治体にもよりますが前述の夜間診療所を紹介してくれたり輪番の救急を指定してくれると思います。あなたの家の近くの救急はその日は輪番日ではなくて小児科はその体制になっていないかもしれません。