大手IT企業に勤めて10年。入社当時は希望に満ちていたが、今やブラック労働環境が俺の精神を削り取っていく。
上司からの終わりなき要求、毎晩深夜残業、休日出勤も当たり前。さらには納期前の修羅場が終わったと思ったら、すぐに次の案件が舞い込んでくる。
俺の心と体は既に限界を迎えていた。
30代に突入した俺、彼女なし、非モテで童貞。そんな俺の未来は一体どうなるんだろう。
そんなある日のことだ。
いつものように深夜になってから会社を出た俺は、無意識に道路を横断していた。
反射的に飛びのく俺。
もしあのまま死んでいたら、俺の人生はどうなっていたんだろう。俺は一度、死んだようなものだ。
…もう限界だ。今までの俺を捨てよう。俺はトラックに轢かれそうになったことを転機に、人生をやり直す決意をした。
決意した俺は、退職届を叩きつけるように提出し、その日のうちに会社を後にした。
ある日、町役場の掲示板で「町役場 IT担当者募集」という求人を目にした。
今までのITスキルを活かせる仕事じゃないか。早速、役場に電話をかけてみると、なんと即採用。田舎の求人ってこんなに簡単に決まるのか?
それはともかく、これで俺も新しい生活が始まることになった。
初出勤の日、俺は役場に足を踏み入れた。
周りには地元の人々がいて、みんな穏やかな表情をしている。なんだか、これまでのIT業界のギスギスした雰囲気とは全然違う。
古いPC、紙ベースの書類、さらには手作業で処理される業務の数々。
どうやら3日かかるという資料の整理やデータの入力作業があるらしい。
こんな非効率なことをやっていたのか…と俺は驚きを隠せなかった。
「え?」
上司は驚いた顔をしていたが、俺は早速作業に取り掛かることにした。
例えば、エクセルのVBAで自動化するマクロを作成し、データ入力の手間を大幅に削減。
紙ベースのデータをスキャンしてクラウドにアップロードし、共有フォルダを作成。
さらにGoogleスプレッドシートと連携させてリアルタイムでの共同編集も可能にした。
その他、タスク管理には「Trello」を導入し、進捗管理を視覚的に把握できるようにするなど、次々と改善を行っていった。
「ほら、終わりました」
俺がにっこりと微笑むと、周りの人々は唖然としていた。
「す、すごい…!これまで3日かかっていた作業が、1時間で終わるなんて…!!」
拍手が湧き起こり、俺は周囲の称賛を浴びることになった。
俺は動揺した。
「あれ?な、なんか俺…やっちゃいました?」
周囲の評価は急上昇し、町役場のスーパースター扱いに。さらには、なんと女の子たちから告白されるという事態に発展したのだ。
と、いつも仕事のことしか話さなかった女史社員が、俺に突然告白してきた。
これには正直驚いた。俺みたいな非モテ童貞が、まさかこんな田舎で女性に告白されるなんて夢にも思っていなかったからだ。
それだけじゃない。田舎の空き家に引っ越してからというもの、なんと3人の女性と同棲することに成功した。
彼女たちはみんな俺に好意を抱いてくれていて、こうして俺の田舎転生生活は順風満帆に進んでいる。
毎日仕事も早く終わり、夕方には家に帰って猫と一緒にのんびりする。
あの頃の俺に伝えたい。無理をして都会で働かなくても、田舎にはこんな幸せな生活が待っているんだぞ、と。
興味ないね