2023-08-22

日本ステーキが「常食」にならないのは客のレベルが低いか

結論タイトルに書いてあるが理由をできるだけ簡単説明しよう。

食文化において「常食」となりうるには次の3つの条件を満たす必要がある。

①安定した生産供給

ファーストフードレベルの手軽に消費できる店の増加

③最低限のレベル保障

これらを満たしている日本の常食といえばおにぎりライスを含む米、コンビニパンやで売られるパンラーメンやにおける麺、コンビニイタリアンでのパスタ、複合的なものでは通常バーガーフィレオフィッシュバーガー牛丼などが代表される。

ステーキとしての牛肉はどうか。

①昨今では牛肉が買い負けしがちだが牛肉を使ったファーストフードで常食されているため、牛肉ファーストフードで扱うという問題自体クリアされている。現実としてステーキチェーン店個人店が存在する。

こちらも同様にステーキチェーン店は新旧で入れ替わりこそあるものの増加傾向にある。まだ十分とは言えないがステーキ自体の増加は時間解決するはずだ。

③ここが特に深刻な問題を抱えている。まず一般的日本人はステーキという料理のもの理解していない。

ステーキは肉そのもの品質・下処理・焼きである料理の3要素によって大きく味を変える。

安い肉であっても下処理や焼きが最適であればそれなりの味に変わるのがステーキだ。

しかステーキを常食していない一般的日本人は、大多数の人間は、この筋を取る下処理や指定された焼き加減を忠実に守る重要性を理解していない。

この料理としてのステーキの良し悪しを理解できないのが多数派、という事実が後述する問題につながる。

 

何か祝い事や給料日ステーキでも食べるかと考える人はいるだろうが、日本人がわざわざラーメン焼肉よりもステーキを選ぶ確率は低い。

グループで食べるのにも個人で食べるのにも普段から食べ慣れているラーメンの方が信頼性も高く店舗数もバリエーションも多い。

価格帯であればラーメンとさして変わらないほどの価格設定がされる安めのステーキチェーンですらラーメンを競合と捉えると勝つのは難しい。

まり候補としてラーメンを押しのけるようなステーキを常食したいと思っている人間ステーキのものが好きな日本である

そういった人間現在ステーキチェーンの躍進を支えている原動力であるが、現在は少数派であることも認めざるを得ない。

ステーキチェーンのリピート率ではステーキ好きの方が多いが店の売上に対しては新規客や低頻度の客の方が多いのだ。

 

そこで提供されるステーキレベルの話だ。

ハッキリ言ってステーキチェーンの提供するステーキレベル非情に低い。

レアで注文すると中は生であっても冷え切った状態提供されたり、レアで注文したのにミディアムで出てくるなんて珍しくもない。

肝心の肉は脂身は良しとして筋が残りまくっており、噛み切れずにペーパーに吐き出すのは当たり前。

下処理の段階でスジを取り除く工程トリミングと言われるが、そもそもトリミングをできる料理人が店舗に常駐していない、もしくは分量を減らさないようにケチっている。

当然、肉の最適な焼き加減を見極める技術を持つ料理人もいるわけがない。そのため、あるチェーン店では誰にでもできるレアデフォルトにして、あとは客に鉄板で焼かせるようにしている。

なお、頼んだ焼き加減ではない状態確認させて見せてみても、バイト店員は「レア」も「ミディアムレア」も「ミディアム」も「ウェルダン」も理解していないか意味が無い。

マニュアルで「ミディアムレアお勧めですが」と生体自動音声を流しているだけで言葉意味を一ミリ理解していない。

ホールバイト。焼いてるやつもバイトオーナー店長も不在。誰も知らないのだ。

彼らに訴えたところで肉はレアに戻らないし何も解決しないし再発防止もされない。

下処理と焼きの技術一定レベル保障する沖縄発のチェーン店存在するが、それは本場のノウハウ日本本土に持ってきている成功である

他のチェーン店はとにかく肉の質や値段、店員をどう安く雇うかしか頭にないかクオリティは下がり続ける一方だ。

 

ところがこんなレベルの低いステーキが出ても、大半の日本人は肉が鉄板の上で焼かれているのなら「なんでもステーキ」に見えるわけだ。

上司寿司を奢ってくれるというからついていくと、外国人カリフォルニア巻きなどといって創作寿司日本人に出せば、なんだこれは?と訝しむだろう。

カリフォルニア巻きレベルのド酷いステーキを出しても大半の日本人は喜んで食べるのだから、違いの分かる少数のために下処理や焼きに時間と金と人を使うメリットがないのだ。売上的には。

そうやって客のレベルが低いせいで酷いステーキは酷いステーキのまま提供され続けることになる。

しかし、本当にステーキが常食に成り上がるためには、リピーターを増やさなければならない。

今のままではリピーターさらに高い価格設定のステーキハウスに移ってしまう。もしくは自宅で楽しむか。

新規や低頻度でステーキの良し悪しが分からないような層だけをターゲットにしているチェーン店は、別の新しい競合に簡単に奪われてしまう。

地に足がついた食文化になるためには、ステーキの良し悪しが分かってしまうようなリピーターを増やさなければならないが、そのための技術も人も金もノウハウもない。

今のままではステーキが好きで今のステーキチェーン店に通いつめることで、いずれリピーター自分の食べているステーキレベルが低いことに勝手に気づく。

そうなるとさらに上を求めるか、コスパ重視で自宅ステーキの2択しかない。

皮肉なことに上質な客になれば離脱していくという構造である

そしてステーキを常食化に失敗したせいで、同業だけでなく他業のラーメン焼肉ミーハーな客の取り合いをせざるを得ない。

それが日本ステーキ業界という実に宙ぶらりんな業界の正体である

レビューにどれだけ筋だらけや焼きすぎ焼けてないと低評価がついたところでビクともしないのは、舌馬鹿の売上を当てにしている形態のため改善不可能からだ。

メディアに出てくるステーキ紹介も肉汁や柔らかいしかしない、この程度の食文化では常食になるはずがない。

 

もし、ステーキを本当の意味で常食へと成り上がらせるだけの知識と力を兼ね備えたチェーン店誕生すれば、今のステーキ業界を圧巻して簡単覇権を握ることができる。

これからステーキ業界必要なのは「どんなステーキが良いステーキなのか」という啓蒙を店が行い、客が地道に教育されることでリピーターを増やしていくしかない。

でなければ日本ステーキ常食の未来などない。牛丼焼肉焼き鳥には一生勝てない。

これらは店も客も底辺でもある程度良し悪しが分かってしまうため、同業で競争社会が成立するからだ。

駅そばですら格付けがあるのは客側に食文化があるからだ。今の日本ステーキ業界に客の食文化は全くない。

底辺チェーン店興隆と衰退が終わりつつ今こそ遅すぎるステーキ文明開化をするべきではないか

  • 10年くらい前に沖縄旅行した時にステーキ食ったな それ以来食ってねぇわ、そういや 田舎だからチェーン店とかないしファミレスのステーキって見た目ただの焼肉だから選ばないし

  • 確かにいくら噛んでも噛んでも飲み込めるレベルにならないステーキとか平気であるな 最近安い店でもハラミステーキを頼めばその問題は解決されるとわかってそればっか食べてる しか...

  • ステーキ肉が高いからじゃね?欧米だと今日は面倒だからステーキにするか、のノリで買える値段。

  • ぜんぜん肉が流通していないせいじゃね。

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