参考にはしてるけど完全なモデルではないよ。
登場人物が、「男同士なんて生産性がない」「あいつは普通に結婚して子供を作る未来がお似合いだ」とうじうじ悩んでいた。
私は異性愛者だけれど、恋人はいない。結婚して子供を産むどころか、愛し愛され幸せを産むことすらない。
私なんかより君たちの方がよっぽど生産性のある生き方をしてるよ、とイライラしながら本を閉じて、コンビニのケーキを飲み込んだ。
あったま悪いなあ
俺は別にかまわないよ
まいやんを好きになってもよろしいでしょうか?
4年前、どうにも家族と折り合いがつかなかったわたしは、通えないほどで遠いわけでもない職場に入社が決まると同時に実家を出た。
実家には、大学を中退して腐ってたころに拾ってからずっと可愛がっていた猫を残していった。茶トラのやたらとデカくてお人好しでよくちびるビビリのオス。
次の春に専門を受けることに決めてから、大学生活たのしむ旧友とも疎遠になり、バイトくらいしかやることもなく鬱屈と過ごしてた日々に猫はするっと入り込んできて、うまく言葉にできないけど、今思うと当時はとても救われた。
生活が安定したら、ひきとって二人で暮らそう、とそいつと約束して実家を出てから四年間はアッという間で飲んだり遊んだりしてるうちに過ぎ去った。なんでそれを猫が待っててくれてるなんて当たりまえに思ってたんだろ。
先月ガンでしんだ。
手術も抗がん剤も、キツいの頑張ってたのに。
わたしはなにもできなかった。
通院も嫌いだった姉や妹や親が献身的にしてくれた。医療費も最終的に50かかったらしい。
がん発見してから3カ月、実家に足しげく通った。これまでになく。これしかできない自分が情けなくて吐きそうだった。どんなに通っても足りなかった。もっと一緒に居ればよかった。もっとあいつの弱気な鳴き声ききたかった。ゴワゴワしてフワフワした毛皮さわりたかった。楽観的すぎたしマヌケだった。
ペット霊園で焼いてもらって人間より二回りくらい小さい骨壺に納めた。
わたしより先に死ぬなんてわかりきってたことだし覚悟のうえで拾ったけど、こんなに早いなんてこんなにつらいなんて想像だにしてなかった。
のでここに書き留めておきます。
それに気づいたのは、突然、馳さんから「お前、明日デビュー戦な」と告げられたからである。
「あ、おいっすー分かりました」と軽く返答した。小さい頃から知っている馳のオジサンに。
先生にさんざんイヤーなお叱りを受けて、その後帰宅するんだが、
いつもと違う道を歩いて帰ろうと思い立った。Ingressをするためである。
あー全然ないわー、と思いながら道すがら、やっとポータルを見つけた。
あーこれ、東京ドームか。俺、明日ここでデビュー戦だったなあ。
え? 東京ドーム?
ここで事の重大さに気がついた。
ドロップキックもできない。
いくら馳のオジサンでも、こんなしょっぱい相手をどう料理もできないだろう。
後悔先に立たず。備えあれば憂いなし。
どうして俺は、こういうチャンスをモノにできない人生なのか。
いつプロレスデビューの話があってもおかしくないように鍛えておくべきではなかったのか。
プロレスが家業だからと、いつでも鍛えられると、甘えてはいなかっただろうか。
そんな忸怩たる思いで、俺はこのだらしない腹で、情けない体力で、
顔にペイントして、奇声を上げて、毒霧でも吹くか。グレート・ニタの要領で。
さすがに馳のオジサンも怒るかもしれんが、仕方ない。
やればできる、悲惨な結果になろうとも。何かやらなければならない。
なんとかしなければ。。。
というところで目が覚めました。寝汗びっしょりでした。
ひとこと多いんだよ。
瞑想しろとかタスクを書き出せとか、そういう戦略的な話じゃなくて
目の前にある仕事をするときに集中する小手先のテクニックみたいなの。
親が了承すれば、なにも問題なくね?