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2023-09-09

「入札にしないと日本共産党が騒ぐんだよ」は一部正しい

https://anond.hatelabo.jp/20230908054922

入札にしないと日本共産党が騒ぐんだよ

この増田に対して、こんなブコメが付いてる。(9/9PM1:00の上位から順に)

○随契はそんな「どっかの政党がうるさくて」やってない、みたいな制度じゃないよ。どういう場合に随契にできるか、条例で全部決まってるの。

○他の日本共産党叩きにもこういうデマが混じってるのかなという参考にはなった。

一定金額以上の案件随意契約に持ってくのは役人も大変だし、別に共産党なんて関係ねえよ。役所相手に働いたこあんのか?

それらブコメはそれぞれそのとおりなのだが、では共産党(に代表される政府自治体批判的な者)が全く影響を与えていないかというとそれは誤りなので少し解説しておく。

なお、国の制度を例にとるが基本的にはどの自治体でも同様の定めとなっている。

条文はいずれも予算決算及び会計令昭和22年勅令第165号)から

随意契約要件法令で厳格に定められているか

定められているのだが抜け道がある。

随意契約によることができる場合

九十九条 会計法第二十九条の三第五項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

一 国の行為秘密にする必要があるとき

二 予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき

三 予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき

(略)

そう、随意契約というのはあくまで「できる規定」であり、入札によることをまったく否定していないのである

実際、国の場合でいうとここで提示されている金額よりももう少し広めに一般競争入札実施されている(役所にもよるが物品購入の場合だいたい100万円くらいから)。

何故か?簡単だ。共産党(などの左派政党)や市民団体共産党系のオンブズマン典型からの追及が鬱陶しいからだ。

例えば予定価160万円弱の入札があったらどう思われるか。「随契にするために安めに予定価を設定したな」と追及されるのである

「後ろめたいことがなければ反論したらいい」との意見もあるだろうが、そのためのコストが非常に大きく、かつ反論したとしても一度報じられて広まった場合、それを打ち消すことが困難な以上、役所安全策を取らざるを得ないということになる。

余談だが公金を扱う仕事の大きな部分は「不正をしていないことの証明」の為に使われている。よく槍玉にあがる科研費をはじめとした大学先生方の事務手続きもその一部だと思っていい。

低価格の入札に共産党の影響はあるか

入札を実施する際にはまず予定価を定める。予定価とは、この金額を超えて入札に参加してきても落札はできないという基準価格のことだ。

予定価をどう定めるかは役所ブラックボックスなのだが、基本的には事業者から相見積もりを参照する。

この見積もりについて、微に入り細に入り明細を求めるのもまた不正していない証明共産党などから批判予防)のためだ。

例えば「○○費用一式」ではダメで、「マネージャー1名×日当○円×○日」「調理師○名×時給○円×1日当たり勤務時間時間」「食材費1食○円×想定食数」(時給は地域求人を参照して最低額)などを求め余裕のないものになっている。

(余談だが、サービスの購入の複数年度契約場合物価条項を付けていることが多い。単年度の場合リスク事業者負担となっているんだろう)

(更に余談だが給食事業者の食材費は実費負担としているケースもある。事業者事務負担が増え、更に利益が削られる場合もあるので嫌がる事業者も多い。)

まりからないギリギリ金額を予定価とせざるを得ない構造になっていると言っていいだろう。

そんなことしてたらどの事業者落札できないんじゃないの?

入札価格が予定価を越えてしまうことを、「不落」とか「不調」と言ったりする。その場合の特例がある。

九十九条の二 契約担当官等は、競争に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がないときは、随意契約によることができる。この場合においては、契約保証金及び履行期限を除くほか、最初競争に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。

まり、予定価の範囲内で随契していいということだ。実務的には最低入札額を提出してきた事業者交渉し、予定価ギリギリで受けてもらうことが多い。

なんでそんな仕組みでまわってたの?

不況と重なったから。

共産党などによるこういった役所への追及が激しくなったのが1990年代バブル崩壊以降だ(それまではそれなりに利益が出ていた。見積もり利益を上乗せして)。

役所仕事は必ず現金が手に入るので、儲からなくとも現金が欲しく、また雇っている人を遊ばせたくない事業者は手を挙げてきてくれたわけだ。

それが人手不足となり、また公共事業じゃなくとも儲かるとなれば入札になかなか参加してくれなくなる、これが最近の状況というわけだ。

こういった追及自体意味がなかったわけではないと思うけどね、監視自体必要だし。それが必要以上に厳しかったりと党派性にまみれてたりすることは問題だけど(共産党系の団体中央指導が行き届いているので近しい団体は追及しない。それどころか別方向から監視されたら「攻撃された」と言い始める)。

まとめ

以上みてきたように、随契にし得るもの一般競争入札としていたり一般競争入札の中でも予定価を締め上げて契約額を下げる方向性仕事を、共産党はしてきたと言える。

もっとストレートにいうと公共調達ゆとりのない、儲からない仕事にしてきたということだ。

正に共産党が望んできた姿であり、実績なのだから胸を張って誇ればいいと思う。

その他

今回の給食提供停止について、防ぎようはなかったのか。

個別の入札で、予定価の○%を下回るような安値場合調査した上で契約しないとなっている(「低入」という)。

ただ、個別事業者について、その経営状況や資金調達計画が入札の要件に入ることはまずないのが現状だ(複数年度にわたる大規模なPFIならあるが)。

これを求めてしまうとあまりコストがかかるからであり、その代わりに入札参加資格として過去の実績を条件としていることがほとんどとなっている。

 
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