2022-12-07

リンディ栄養学 (Lindy nutrition) とは、「リンディ効果」と呼ばれる法則に端を発した栄養学。リンディダイエットとも呼ばれる。

古くから受け入れられてきた知識や習慣はそう簡単には途切れないということは、誰しもが経験的に知っている。そこには、長く使われれば使われるほど、つまり長生きすればするほど寿命が伸びていくという一種パラドックスが生じているわけだが、これを科学的に説明したものリンディ効果である

リンディという名称ニューヨークにあるリンディーズという飲食店が元になっている。そこでは、毎晩コメディアンたちが集まり公演したステージ反省会を行っていたのだが、その会話の中でリンディ効果の原型とも言える仮説が生み出されたという。その後、大学教授によって現在の形に洗練されたこ法則は、リンディダイエット提唱であるPaul Skallas氏の手によって食事健康運動などあらゆる分野に応用され、一種ライフスタイルへと昇華された。

リンディダイエットの根幹にあるのは「時間こそが最も優れた判断基準」という思想であり、時間という試練に耐え、古来から生き延びてきた食生活ほど健康上の利点が保証されるとしている。リンディ効果に照らせば、そのような伝統的な食生活は今後も長きに渡って存続することが予想される。これはSkallas氏によれば、人間消化器官昔ながらの食生活適応しているためであり、人間が慣れ親しんでいない加工食品が消費の中心となった西洋社会では、心臓病や糖尿病罹患率が高まっているという。そのような訳でSkallas氏は、過去500年以内に発明された食べ物飲み物を口にしないよう勧めている。

Skallas氏によれば、最もリンディな飲み物の一つには「紅茶」があるという。数千年の起源を持つ紅茶は、「ディープリンディ」な飲み物なのだ。一方で、コーヒーについては、「比較的新しいが、400年という時間のふるいにかけられたものであり、恐らく身体にも悪くないでしょう」と語っている。

また、20世紀発明された紙巻きタバコリンディではないため、リンディな形で喫煙したい人にはパイプタバコが勧められている。運動についても、現代的なエクササイズマシンではなく、ギリシャ神話に描かれたようなシンプルなウェイトリフティングこそがリンディな運動の仕方である。Skallas氏によれば、「ボディビルカルチャー近代によって生み出されたグロテスクサブカルチャー」であり、「運動目的筋肉増強ではなく、体の中で関わり合っている様々な仕組みの調整にある」のだという。

Skallas氏は、ヨガについても懐疑的な目を向けている。というのも、現代アメリカ人が行っているヨガ20世紀発明されたものからだ。「ヨガは体に良いのか悪いのか、それはわかりません」「リンディは『それをするな』とは言わない。『何が起こるかわからない』と言うのです」

リンディの適用範囲は、食事運動だけにとどまらない。

ビデオゲームは?」

リンディではないですね」

ナイトクラブは?」

リンディです。それもディープリンディ」

大人のおもちゃは?」

リンディです。古代エジプトにもあったでしょう」

ジェフリー・エプスタインスキャンダルは?」

「あちこち犯罪を犯したり虐待する金持ち?とてもリンディです!」

エプスタインの例が示すように、リンディは道徳的基準内包しない。それが良いものであれ悪いものであれ、古来から連綿と続いてきたという事実には重要本質が隠されているということをリンディは教えてくれるのだ。「人間本質は変わりません」「古代の人々は人間身体や行動について深く研究していましたが、それらは今でも有用です」

リンディ・ドリンクリンディ・エクササイズなど様々な造語を作ってきたSkallas氏だが、隔離生活の閉塞感から逃れるために考案した「リンディ・ウォーク」は、中でも最も注目を集めていると言えるかもしれない。

基本的にはただ散歩するという意味です」とSkallas氏は語る。「でも、多くの古代文化でも散歩重要伝統として扱われているでしょう。例えばキリスト教には『安息日の道のり』がありますギリシャではヴォルタと呼ばれていて、イタリアにも同様の文化がある。これはただ歩くという目的のために歩いているだけなんです」

リンディ・ウォークでは、A地点からB地点へ真っ直ぐ向かうのではなく、目的地を決めず、手当たり次第に曲がることで心を刺激することが推奨されている。「歩いていたら面白いことが起きました。アイデアの波が次々と押し寄せてきたんです。考えようとしたわけでも何かを思いつこうとしたでもないのに、ただ現れてきた。魔法みたいにね」

現在ではSNSを中心にカルトな人気を集めており、大勢の人がリンディ・ウォーク最中に撮った写真シェアしている。また、Skallas氏のツイッターアカウントも5万人を超えるフォロワーを擁しており、リンディの人気の高さが窺える。

Skallas氏は、リンディが人気を博した一因にはパンデミックの影響があったと推察している。氏によれば、これまで私たちは、人間を「不可侵存在」だと捉えて楽観視していたところがあったのではないかという。しかし、パンデミックによって歴史上の出来事に過ぎなかった古代の大規模な危機が生じたことで、世界に対する人々の認識が一変。隔離生活の中で「欠乏」について考えるようになり、「人生において本当に必要ものはなにか」と自問するようになったこからリンディに関心が集まったのではないかとしている。(ちなみに、500年前にも人々はマスクを付けていたこからパンデミックも「ディープリンディ」なんだとか)

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