※話題になっている東大の女子学生への家賃補助について、現役東大女子として思ったことを感情的に書きなぐりました。まともな文章でないことお許しください。
「男女差別だ」わかる
「東大に女子が少ないのは女子がそもそも東大を目指さないからなので、仕方がない」
あなたたちがそういう「男女差別」的なことを平気で言うから、あなたたちの税金が「男女差別」に使われるということをわかっていますか???
私は東大女子として東大に女子が増えてほしいと心から思っているが、女の子に東大をオススメすることは感情的には全くできない。日本にいながらマイノリティとしての体験ができるという点はある意味メリットかもしれないが、大学生活において東大に来てよかったと思うことが男子学生に比べて相当少ない、と思わざるをえない環境であるからだ。
まず、入学直後に受けるのが「女子を人間として見ていない男子たち」によるある種の差別、という洗礼である。2年間の学生生活の基盤となるクラスの9割が男子、というような女子にとってかなりアウェーな環境も珍しくない東大。多数派である男子とも仲良くしないと実質生きていけないのだが、彼らの多くは女子を対等な存在として認識していないようだった。
女子に差別的扱いをする男子は大きく分けて2種類いる。まずは「男子校出身の女子恐怖症の男子」。彼らは女子に話しかけられても反応が極端に薄いばかりでなく、目を合わせることすらしない。話しかける側からすれば迷惑千万で失礼な態度極まりないのに、自分が相手を嫌な気持ちにさせていることに全く気づいていないようで、SNS上で女子について「女子どもなんてイケメンにホイホイ釣られるバカだ」というような論調で語っていることもある。時間が経つと一見普通の人間関係が築ける場合もあるが、そういう場合は大抵その女子に対する評価が異常に高くなり露骨に贔屓することも少なくない。最初の態度との落差が激しすぎて正直全く信用できない。
もう1つが、「恋愛対象の女子としか関わりたくない上から目線男子」である。彼らは最初こそクラスの女子に積極的に話しかけたり親切にしたりするが、「うちのクラスの女子どもはオレらの恋愛対象にするにはレベルが低すぎる」と判断した瞬間、ここは男子校だ、男子の楽園だ、みたいな態度を取り始める。SNS上では平気で「女子品評会」をし、女子同士の人間関係やクラス内の女子恐怖症系男子の女子への恋心を影でネタにしまくる。さらに、ノートが汚ければ「女子力低いねー」とからかい合宿では食事の準備をする女子に「女子力高いねー」と声をかける。そんな一方的な「女子力」という評価軸の押し付けに不満を感じながらも、生きていくために女子は積極的に乗るか苦笑いしてやり過ごすしかないのである。
男子校に紛れ込んでしまった女子、という環境で、女子は1年目の大学生活にどうやって馴染めばいいのだろうか?女の子らしさ、という軸によって多数派から一方的な評価を受け、男子と対等な関係を築けないが、かといって数少ない女子の中で気があう人と出会える確率は高いわけではない。慣れない大学生活、なんとなく生きづらいのは当然ではないだろうか。
しかし、「女子より男子が圧倒的に多い集団」と聞くと「オタサーの姫」という言葉を思い出す人も多いのではないだろうか。「紅一点の環境でちやほやされていい思いをしている女子」というような意味である。同じ環境にいる女子以外に、苦労しているという意味を込めて「30人のクラスに女子が3人しかいないんだよね」と言うと微妙な反応をされることが多いなと思っていたが、それは「少数派の女子は性的魅力に関係なく男子にもてはやされて調子に乗っているものだ」という価値観を適用されて解釈されているからだ、ということに気づいた。確かに「女子恐怖症系男子」に贔屓されることはあってもそれはあくまで一部である上にむしろ嫌悪感を抱いているので、「オタサーの姫」とレッテルを貼られることは心外以外の何物でもない。
私がクラスで出会った東大男子の態度に共通していたのが、女子を異物として見る姿勢である。少数派である私たちの感情などまるで存在しないかのように振る舞い、ただ仲間内で女子をネタとして消費する。そんな彼らは社会に出れば「東大男子」というプラスのステータスを持って生きていける一方、女子が獲得する「高学歴女子」という肩書きが利益をもたらすことはほとんどない。これを不公平と呼ばずして何と呼べば良いのだ。
東大男子が悪いわけではない。彼らは「高学歴の若い男性」、私たちは「高学歴の若い女性」。彼らは「日本の未来を担うエリート」、私たちは「プライドの高い欠陥品」。東大男子はこのような世間での評価を大学生活においてそのまま演じているだけなのだ。悪いのは日本社会に根強く残る女性蔑視の価値観である。「女子は男子より頭が悪い」というような全く根拠のない主張がまかり通るような雰囲気である。「女は器量が良ければそれでいい、知性なんて必要ない」という風潮である。そんな価値観の元で女の子が勉強して東大に行きたいなどと思うだろうか?地方の勉強好きな女の子はこのような価値観による圧力を多かれ少なかれ受けて育っているので、家賃補助をしたところで志願者が増えるとは私も思えない。しかし、女の子は勉強しなくても良いという風潮や閉鎖的な環境での数々の嫉妬を突破して、さらに地元の友人たちとの価値観が乖離してゆくことに苦しみながらマイノリティーとして孤独な学生生活を送る決して裕福でない地方出身の東大女子100人に家賃を月3万円補助することくらい、地方への想いを忘れずエリート男性の中で男性優位の価値観に染まらずに活躍する女性が育つための投資として、許してもらうことはできないだろうか?