2019-09-18

なぜSFは衰退したのか、あるいは、SF警察はなんでSF警察行為をやめられ

SFマニア流行ってるオタクコンテンツ特攻して噛みつくたびに炎上するネット世界。僕ら世代には「またかよ!」って感じなんですが、世代交代による認識の変化で、SF警察がなにに怒ってるのか? とか、あれもこれもSFなのに、なんでSF衰退とか言っちゃってんのか?

とか理解不能に陥ってる方も続出している模様。

そんなわけで、過去を知る者として、ちょっとまとめてみました。

おおむね私怨たっぷり回顧録みたいなもんです。

ただ、だいぶ背景をさっぴいてます

受験戦争の加熱とから、今よりさらにひどい男性中心主義社会である昭和日本での負け組男子化への怯えとか。

今でもその名残はありますが、かつて、オタクというものヒエラルキーによる特権意識を良しとする人の集まりでした。

全員ではないとは思うけど、なんかそう言う感じのが台頭してました。

オタク教養』をたっぷり学んだオタクエリートがクールで良しとされたのですが、これもまた、今でもその名残はあります

クールジャパンとかが、その流れですね。

オタクエリート』というものは、どういうものか?

どこの誰とは言わねぇでおいてやりますが、京アニ事件の時に、どっかの大学教授が書いた懐古エッセイみたいな記事

今時の人たちからは謎扱いされてましたが、あれが、あの世代の『オタクエリート』意識のあらわれです。

彼だけの特殊思想ではないことは「記事の内容には賛同できる」とか言ってる人が、ちらほらいたこから分かりますね?

では、彼らが『オタク教養』とはなにか?

まあ、かいつまんで言うとウンチクです。

今でも名残はありますね?

ところで

オタクエリート』

この定義には、ちょっと複雑な背景があります

政治家ですらオタクに媚びる今では、下手したら生死に関わることだとまでは信じられないかもしれませんが、昔は、オタクであること自体が恥でした。

今でも自嘲ネタではあるし、からかわれることもあるとは思いますが、かつて、「オタク」と呼ばれることは、社会的死や、学校や家庭でイジメ対象になることを意味したのです。

ググれば怨嗟の声で溢れているとは思うので割愛しますが、オウム事件宮崎事件は「オタク」を犯罪者予備軍として世間認知させる結果を生みました。

当時のオタク趣味を持つ人たちは、自分オタクではないことを証明するのに躍起になっていました。

あるいはオタクではない人のフリをして、その行為を自嘲気味に「擬態」などと呼んでおりました。

今でも名残はありますが、生活や生死が関わってるので真剣度が段違いです。

だってキモがられたくはありません。

あいつはダメだと笑われたくもありません。

そこで『教養』の出番です。

オタクにとっての『教養』とは、自分が頭のいい人間であること、社会にとって有益な優れた人間であること、犯罪者予備軍=オタク以外のなにかであること、それを証明するためのものでした。

ですが、オタクはやはりオタクです。

一般人やご家族の皆様から見れば

「いやお前どう見てもオタクっしょー(ワラ)」

と言う事にしかなりえず、オタクであることを認めるか、認めなくても勝手レッテル貼りさせられました。

オタク」はレッテルだったのです。

しかしながら、そうすると犯罪者予備軍の一員にさせられてしまます

自分オタクであることを認めながら、『ただのオタク』以上の上位の存在である事を示す概念必要しました。

それが、『オタクエリート』です。

上位の階層と言うのは、下位の階層がないと存在しえません。

世間はいっしょくたにされる『オタクカテゴリー内での優位的立場を築きたいオタクエリートにとって、自分相対的に上位に位置付けてくれる下位の『オタク』たち、それは「フィギュア萌え族」とすら揶揄された二次元美少女オタクでした。

……今でも名残はありますね?

誰とは言わないが…と言うよりも、京アニ事件記事でアニを持ち上げる時に使うのは

萌え』ではないこと。

公開されるアニメ映画が、より格上なものである条件は

萌え』でないこと。

上にいると自認する人たちの標的はいつでも『萌え』ですよね。

そして、そんな知能の少なそうな動物オタクたちを堂々と見下し、自分あいつらとは違うと胸を張りたいオタクエリートのための教養ひとつ

正確な科学知識に基づく

ハードSF小説知識

だったのです。

なにしろ動機がそれですから、あちこち弱そうな敵を見つけては出張って「批評」したりweb日記に書いたり、得意げにウンチクを吹聴しまくり、相手相手趣味を貶して、論破論破サディスティック優越感に浸る日々を送ることになります

やがてハードSFは衰退し、論拠としているもの権威が失墜してしまますが、それでもやることは同じでした。

そうでしょう、そうでしょう。

だって、それしかやったことないんですから

いい迷惑なのが、ただのSF小説好きや、そんな歪んだ時代を知らない新しい読者です。

彼らは

「今でもSFはたくさんあるじゃないか

あれもあれもSFだ。

日本SFであふれていて、SFは衰退なんかしていない」

と言います

残念。

彼らのような、いわゆるSF警察の人にとって

あなたの言ってるそれらはSFではありません。

なにしろハードSF信者にとっては

フィリップ・K・デイックはSFではない』

のですよ。創元やハヤカワから出ていて、各種映画化されている大家ディックSFには入らないのです。

彼らの概念では、SFにはなんか厳格な作法があり、その作法を守るものけがSFなのです。

どんな作法かって?

……知るか!

ひとつは『科学知識が正しいこと』ってのは分かるんだけど。

彼らSF警察が、ことあるごとにグチグチと高圧的かつ上から目線ウンチクを語っては、嫌われまくってるのは見ての通りです。

SF衰退はSF警察のせいじゃない」、それは、あるいはその通りかもしれません。

しかしまあ、そのSF警察が、現在進行形で「彼らが信奉するSF」の衰退や、「正しい科学知識」への嫌悪を植えつける大きな要因になっているのは、その嫌われっぷりを見れば一目瞭然です。

……とは言え、です。

こうした傾向はSFに限ったことではないし、僕も似たようなことを、やっちゃうことがある気もしなくもなくなくない。

やはり、言動や態度には気をつけたいものですね。

  • SF警察とオタクを結びつけるのは短絡的というかそれだけじゃないだろというか 同じような警察はミステリとかファンタジーとか純文学とかにもいるわけで どこでもマニアってのはうる...

  • 文学の解釈マウントでもあったり平安貴族から伝わる日本伝統のマウンティングだぞ 崇めよ

  • 自らを「ハードSF」信者と名乗るのであれば、ハードでないSFの存在も認めているのでは? ハードでないSFの存在を認めてないのなら、「ハードSF」信者ではなく「SF」信者と名乗るはずで...

    • 自らを「ハードSF」信者と名乗るのであれば、ハードでないSFの存在も認めているのでは? 彼らは、すべてのSFはハードSFであるべきだと主張してるんすよ。 だから、ハードでな...

  • バブル期くらいに「科学の発展が幸せをもたらす」って希望が皆から消えたんじゃないかな. 技術と経済発展を極めつつも人々は精神的に満たされず,カルト宗教にハマった. その結果...

  • ハードなSFの魅力は「作り込まれた世界観にどっぷり浸かれる」ことではないでしょうか。 空想の世界観の中で、その世界ならではの壁、陰鬱に描かれる人物たちの葛藤を「本物」とし...

  • そもそもSFはたいして繁栄もしたこともないし かといって衰退もしてないんでは? 持続的にSF要素の入った作品はヒットしてるし

  • SFが誰のものかってことでは?SFも他の物語と同じく作者のものでは? 読み手はただの訪問者に過ぎなくて作られた家に文句つけるなら出ていけという話なだけでは?

  • 文章下手だなあ まともな本も読んだ方がいいよ

    • 長文で端的に語れないのは、もれなく文章下手だよね。 長ったらしくて校長の朝礼かって感じ。

      • 校長「本まで買って子やかみさんの寝た後にプレパしたのに・・」

  • だいぶ「自分だけの世界」で「真実」が熟成されている感。 (「オタクエリート」とはなんだ?) (検索すると「オタク検定」とか出てくるが、それはSF関係なさそうだが?) 「萌え」が引...

    • オタクエリートと言うのは、岡田斗司夫が「オタク・イズ・ビューティフル」と言い出した頃に、一部のオタクの間に流行った概念ですね。 オタクを極めた者はオタクのエリートであり...

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