2018-07-05

低学年でmedu4やる意味ある?(医学生向け)

ここ2,3年で医師国家試験予備校業界は色々な動きがある。

数年前まではMEC、TECOMがほとんどのシェアを占めていたのが、medu4やQ-assistといった新規勢力が急速に台頭し始め、医学生にとって選択肢がかなり増えた。

その中でもmedu4というのは、元MECの講師が中心となって始めたもので、他の予備校との差別化点を簡潔にまとめるとすれば

比較的安く科目別に利用可能

過去国家試験網羅にわかやすくまとめている

テキストpdf管理可能

といったところであろうか。筆者も全ての予備校を見ているわけではないため、他人感想も参考にしている。

また、予備校というものを介さず、オンラインで誰でも申し込めるため、最近は4回生以下でmedu4を始めるという状況がちらほら見受けられる(主にtwitterで見かけるのだが)。

特に印象的であったのは、

医学知識の非効率的な復習がダルいからと、一通り終わらせてる高学年で改めて使う便利なコンテンツビデオ講座なのに、低学年で使っちゃうと「高1で赤本解く」並みに無意味やぞ。そんな時間があるなら、もっと大切なことがあるやろ。遊んだりとか、低学年でしかできない基礎の勉強したりとか』

というツイートに対して、medu4代表講師が直々に

『私が学生時代に教鞭をとっていた鉄緑会では中学2年で中学の内容が終わります。そして中3から高校の内容をはじめ、高1で東大過去問を解きます。 そして今や理III合格者の3人に2人が鉄緑出身者です。 つまり、本当に効率良い人は高1で赤本解いて、余った時間遊んだりしています。話の次元が違う。』

と返信していることだった。

しかし、本当にそうであろうか?私は低学年(1、2回生もいるらしいが)でこのような国試向けの教材に手を付けるのはよくないと思う。以下に理由を述べる。

①低学年で国試対策をすることが無駄である

医師国家試験には傾向という概念がある。厚生労働省医師に何を求めているかが色濃く反映される試験であり、それは近年の知識重視から臨床重視へのシフトという形で表れている。そしてこれから高齢化社会など、日本医療形態が変わりうる状況は続いているがゆえにこの国家試験の内容も今のまま変わらないとは考えられない。そんな状況で、低学年からその直近の国試をターゲットにした教材を解いたところで、自分が6回生になった頃には何の役にも立たない知識である(もちろん不変の知識もあるが)。考えてみてほしい。5年前のQBを解いている受験生など、どこを探してもいないのである。そのため、国家試験を見据えてmedu4を早いうちから始めることに意味はない。

医学勉強をしたいなら成書がいくらでもある。

そもそも、medu4に限らず予備校教材というのはいかに効率よく国試に必要知識を身に着けるか、あるいはどのようなことが次に問われうるか、というメタ的な勉強を重視している。国試合格だけを目的としているので当然である。よって、その内容は偏りがちになる。同じ病気についての知識でも、過去に問われたことがあるかないか、それがこれらの教材の中での重みづけとなっている。しかし、実際医学はそれだけじゃない。もっとかい知識や新しい知識、調べれば面白いことが山ほど出てくる。ならばあえて最大公約数のような教材よりも、論文や各大学研究室、あるいは最低限ハリソンをはじめとした成書を基に勉強するのが後々のためにもいいのではないだろうか。そもそも低学年でmedu4に目を向けるような人は意識が高いはず、その高い意識もっとレベルの上の領域に向ければ周囲から尊敬されるような存在になれるのでは。

③国試ベース効率化された知識体系を早期から身につけるのはよくない。

大抵の大学は、基礎や臨床の科目の試験で国試で問われているかなんて考える教授はいない。各自が専門にしている高度な内容まで趣味踏み込み学生を苦しめる、そんな試験を作ることが意外に多いのではないだろうか。あるいは国試ではほとんど触れられないような分野、例えばリハビリ遺伝医学などが設置されている大学もあるかもしれない。そういった内容に、国試用にチューニングされた知識体系をもった人が触れたらどう思うだろうか。これは国試に出ないか重要じゃない。そんな風に思う人も出るのではないだろうか。教授趣味で出す高度な内容や、一生使わなさそうなマイナー知識、そういった多種多様知識必死に詰め込み蓄えた後に国試の勉強をすると、意外な発見があるものだ。だから、せっかく大学が凄まじい数の講義提供してくれるのだから、まずはそれに力を入れてもいいのではないだろうか。

④国試の心配なんかせずに遊ぶべき。

回生から国試の勉強してたら心が持たない。せっかく大学受験が終わったのでちょっとは外の空気に触れるべき。勘違いしてほしくはないが、医学勉強はどんどんしてもいい。研究室に通って実験したり、勉強会に参加してみるのはよいことだ。もちろんバイト部活に精を入れるのもよい。でも、5年以上後の国試のことを考えていたらどんどん目の前の楽しいことを逃してしまう。どうせ直前に死ぬほど勉強するのだから、今しかできないことをやれ。国試なんて6回生からギアを入れたら90%受かる。気にするな。

これくらいだろうか。以上①~④が、国試を目前に控えた私が思う、医師国家試験予備校教材との付き合い方だ。本当は医師国家試験なんて気にせずに医学勉強するのが一番良い。詰まるところ低学年でmedu4をやるのは勝手だが、あたかもそれがbetter choiceであるかのように周りに布教するのは最早悪といっても過言ではないと思うがどうだろうか。

  • 入る大学を自分で決めたんでしょう 校風が気に入った大学に自分で自分を売り込んだんでしょう 国司対策を最優先に大学を選べたのに

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