2024-06-08

セックスけがない人生

俺の人生にはセックスけがない。

セックス以外がすべてあるわけじゃないから、正確に言えば「ほしいものはセックス以外は手に入る人生」だった。

少しだけ俺の半生を聞いてほしい。

俺は某政令指定都市の家庭で生まれた。今年で20代後半になる。

教育熱心な両親の庇護のもとで育ち、小学校受験私立小学校に通い、中学受験を経て中高一貫男子校入学した。

偏差値65〜70くらいの大学卒業して、今は社会人として働いている。

幸い勉強はできた。

去年の年収1000万円くらい。

お金もたくさん頂いている。

学生時代文化系部活所属していて、運動経験はほぼ0。

たまにそのことで劣等感を感じることもあるけど、そのことで卑屈にはならないようにしているつもり。

体型は普通体型で、自宅のぶら下がり健康器を使って懸垂とかの筋トレをしている。

からそんなに見苦しい体型ではないと思う。

趣味映画館映画を見に行くこと。

家だと強制力がないのであまり映画は見れない。

YouTubeを流しながらTwitterをやったりしている。

2年前くらいか仕事が忙しくて(という言い訳をしつつ)取り組めていないけど、詩や小説を書いたりもしていた。

ネットの内輪でだが、褒めてもらえることもあった。

友人はそんなに多いほうではないけど、数ヶ月に一回くらいの頻度で飲み会したり映画を見たりする人が数人いる。

仕事の話からプライベートの話、話題ニュース下ネタ学問まで、基本的にはどんな話題もオッケーの間柄だ。

ネットミームが伝わる友だちは最高。

職場人間関係もそんなに悪くはないと思う。

上司からあだ名で呼んでもらえてるし、仕事は取り立てて優秀というわけではないが、愚痴文句は言わないようにしている。

後輩とご飯を食べるときは基本全部奢るけど、それよりかは仕事ぶりのほうが人望に直結すると思うから、偉ぶらず今後も仕事に取り組みたい。

両親の仲はそんなに良くなかった。

父親仕事の都合で単身赴任を初めてから、そのまま夫婦の別居状態が続いて、結局そのあとは一度も家族が揃って一緒に生活することはなかった。

今は離婚していて、二人とも俺としか連絡を取らない。

そういう家族だったからか、俺は漠然と「あたたかい家庭」に憧れがあった。

から(あるいは人から)与えられたもの家族)だったから、自分の手元からなくなってしまったんだと思うようになった。

自分ほしいものは、自分で手に入れなくては。

10代の後半くらいから、おれは家族がほしかった。

これまで、何人かの人と付き合ってきた。

Twitter出会ったり、マッチングアプリ出会ったり。

現実人間関係がぎくしゃくするのが怖くて、ネットでの出会いがメインだった。

最初彼女は歳上の人で、俺は童貞彼女に捧げた。

今思うと、精神的な安定性に欠ける人で、身体の繋がりに彼女は縋っていたのかもしれない。

でも、俺がセックスをした恋人はその彼女だけだった。

二人目の彼女とは一番長く付き合っていた。

でもそれは期間の話であって、時計の針が進めば勝手に増えていく数字だった。

単位で付き合っているのに彼女とはキスすらもしたことがなかった。

そういう雰囲気にならないのだ。

夜には必ず実家に帰るし、ラブホのように二人きりになれる場所に行くことすらなかった。

ある日俺が彼女セックスをしたい、身体関係を持ちたいと言ったら、彼女は「自分はそういう感情を持ったことがない、なんならしたくない」と言った。

俺も詳しく知らなかったが、そういう性自認があるらしい。

「じゃあどうしてマッチングアプリをやってたの?」と訊くと、「味方になってくれる人がほしかった」と彼女は言った。

結局その彼女とは別れたが、俺はそこから異性をセックスに誘うことが怖くなってしまった。

そのあとも、ありがたいことに学生時代の知り合いの紹介や、マッチングアプリ女性と付き合うことができた。

「付き合ってください」「よろしくお願いします」

でも、付き合ったその先、セックスをすることはなかった。

一緒にカフェに行く、映画を観に行く、酒を飲む、それ自体楽しい

楽しいが、それは彼女じゃなくてもできるのだ。

同性の友だちともできるし、そういうところに一緒に行ってくれる異性の友だちもいる。

わざわざ「付き合う」と口にして、彼氏彼女という名前がついた関係性なら、セックスをしたかった。

でも、どうやって誘うのかがわからなかった。

彼氏彼女ならセックスをするのが当たり前、ではないことをおれは前の彼女に身をもって知らされた。

断られるのが怖く、その誘い方で幻滅されて別れることになるのが怖かった。

みんな、俺には勿体無いほどいい彼女だったから。

友人たちには基本的にどんな話もできたが、この性に関する悩みだけは打ち明けることができなかった。

たぶん今もできない。

みっともないという言葉がピッタリな、自分の弱さだと思う。

自分の弱さを見せたくないという自尊心もあると思うし、その弱さを曝け出すのは友人に失礼だとも思うから

彼女たちと別れたのは、俺がその悩み、要は自分欲望のことばかりに夢中になって、彼女たちへの思いやりが欠けてしまたからだと思う。

ひどいことをしてしまったと思うし、彼女たちがちゃん人間性判断する女性なんだと再確認できて安心するところもあった。

風俗に行って、金で女性の膣を借りたこともあったけど、プレイ最中に「好き」という言葉が喉元で詰まった。

好き好き言いながら腰を振れば、気持ちよくなれるのはわかっていたけど、出会ったばかりで名前も知らない女性のことは好きでもなんでもないのだ。

きじゃない人に好きと言うことを、俺の口は許さなかった。

この人のことは別にきじゃないんだよな。

俺は好きな人セックスできないんだよな。

そう思うと、なんだか虚しくなって、汗で湿った風俗嬢の身体がいやに冷たく感じられた。

俺は恵まれ人生を送ってきた。

健康身体に生まれ、食べるものに困らず、読みたい本を買い与えられ、高級な教育を受け、友人に恵まれ、暮らすのに困らない金を貰い、人に感謝し・感謝され、自分のこの魂も魂の容れ物も、決して嫌いじゃない。

でも、この先もうセックスができる気がしない。

俺とセックスをしたいと思ってくれる、俺を男として好きな異性が現れる気がしない。

贅沢な悩みだけど、みんなが当たり前のように持っている「それ」を、俺もほしい。

時どき思うんだ。

セックスがしたくてたまらない状態と、心に波風が立ってない凪の状態、どちらがニュートラルなんだろうって。

素敵な女性たちから、星の光のような思い出をたくさん貰った。

それを眺めながら穏やかに生きていけばいいじゃないか、と思うこともある。

でもそうじゃないんだという心の叫びもある。

周りの人にこんなこと話してもしょうがないけど、誰かに聞いてほしかった。

最近、頑張って口角を上げるのがつらくなってきたから。

  • しゃあっ 増田神影流 "恐・速・ブ"

  • 童貞の話じゃなかった セックスあるじゃん…わーん😂

  • 貴方は他人を尊重できるいい人なんだと思う 私も生活する上では貴方ほどではないにせよ恵まれて、両親仲が死ぬほど悪くて 人一緒にいるの疲れるって方向に行ったタイプだけど 家庭...

    • セックスの相性をチェックするより体臭のチェックした方がいいと思うんだけどな。 遺伝子的な相性がいい相手の体臭は好ましく感じるそうだし。

  • うーん、、、相性がいい人に出会えれば解決しそうな気がするけど。 軽いスキンシップで大丈夫そうな人とそうでない人ってなんとなくわからないかな。

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