2018-12-12

ふたり(以外)はプリキュア【加筆修正版】

その世界では、誰もがプリティでキュアな存在プリキュアに変身できた。

ただ 2人の例外、ホカノとサナギを除いては。

物心ついて、そのことに気づいた2人は、悲しみにくれた。

何度試しても、変身はできない。

2人は、この世界では凡人にすら達していなかった。

そんな2人ではあったが、周囲の人々は、とても親切に接してくれた。

プリキュアには、原則として悪人はいない。

2人は、優しい人々に囲まれ、健やかに成長していった。


そんなささやか日常は、仮面をつけた者らが世界に現れることで壊される。

仮面ライダーを名乗る彼らは、次々とプリキュア達を襲っていく。

全員がプリキュアであるがゆえに、悪意や犯罪免疫のなかった世界

OMENライター666を始めとするライダー達に、抵抗できる者はいなかった。

プリキュア達がドキドキする暇もなく、ライダーは、その身ぐるみをHUGか、心臓ハート)を鋭い爪で鷲掴み(キャッチ)していった。

街に溢れるのは、血しぶき(スプラッシュ)と、ひめいと殺人者キラ)。

そして、数々のフレッシュ死体

魔法かい救世主イエス)はどこにも見当たらず、圧倒的な突撃チャージ)に世界はコウフク寸前だった。

それは、平和な日々しか知らない世界にとって、最大限(マックス)にハート〝な状況だっただろう。

まり惨状を目の当たりにして、ホカノとサナギは、気を失う。

彼女達にとっては、ライダーこそが「衝撃をもたらすものショッカー)」だった。

2人は、気絶している間に、不思議な夢を見る。

夢の中で、ホカノとサナギは、全人類仮面ライダーである並行世界の住人だった。

仮面ライダーが増殖しすぎた世界から新天地を求めて並行世界へと送り込まれ尖兵

それが、ホカノとサナギだった。

2人は、気がかりな夢から目ざめたとき自分達が2匹の巨大な毒虫に変わってしまっているのに気付いた。

あの夢が見せたのは、真実だったのだ。

「他の」世界から来た「蛹」だった2人。

2人は羽化し、あれほど焦がれた「変身」をしていた。

その姿は、決してプリティではなく、キュアからもかけ離れていたが、この世界で2人だけが、悲しみと絶望を知っていた。

ライダーに対抗できるのは、

世界広し、

といえども、彼女達だけだった。

2人は、優しかったプリキュア達に報いるため、「大きなお友達」として戦った。

2人の活躍戦線は膠着し、両陣営停戦合意に至る。

ほっとしたのもつかの間、新たな敵が並行世界からやって来る。

EXILEだ。

EXILE達は、全人類EXILEグループになった並行世界から、重戦機に乗ってEXILEしてきたのだ。

彼らの掲げるスローガンは、LOVEDREAMHAPPINESS

それは、皮肉にも、プリキュアテーマとも共通していた。

もっとも、古来、戦争なんてそんなものだったのかもしれない。

EXILEタイミングずらして回るやつに巻き込まれ、倒れていくプリキュアライダー達。

そのエグい行為は、万死(die)に値したが、プリキュア達に、なすすべはなかった。

ランニングマンに仲間達が次々とちぎられ、ライダー側の大将は、もはや裸同然だった。

プリキュア世界崩壊かと思われた瞬間、世界に現れたのは、栗まんじゅうだった。

まんじゅうは、停戦を呼びかけるとともに、これまでの全てを語り始めた。

全ての始まりは、あるロボット少年だった。

あんな夢も、こんな夢も、全ての夢(All I Want)を叶えてくれるロボットだ。

彼らは、栗まんじゅうを、倍々に増殖させ始めた。

そして、増殖を続ける栗まんじゅうの扱いに窮し、これらを宇宙に投棄したのだ。

まんじゅうは、増殖を続け、やがて、互いに引き寄せ合って結合し、星を形成する。

まんじゅう製にして、

まんじゅう性を持つ、

まんじゅうである

この星を遠くから観測する者がいたならば、きっと、虚空に1つの巨大な栗まんじゅうが浮かんでいるように見えただろう。

さらに、栗まんじゅうは増殖を続け、やがて、シュヴァルツシルト半径が星の半径を凌駕し、ブラックホール形成される。

ブラックホールは、増殖を続け、自らの存在する世界を満たすと、他の並行世界へと進出して、あらゆるものを吸収していった。

ある並行世界では、増殖し続けるスーパー戦隊を。

ある並行世界では、AKBグループ坂道シリーズを。

Vtuberを。

楽天カードマンを。

コンビニを。

赤字国債を。

ワカメを。

あらゆる存在は、事象の地平面のかなたへと消えていき、漆黒の棺へと埋葬された。

外部からは、ただホーキング放射のみが観測できるのみ。

もっとも、もはや観測する者も存在しなかった。

ある因果律の狂った並行世界では、スマブラザ参戦者であるカービィを吸収した。

「それゆえに」、吸収した対象能力コピーできるようになった。

ある並行世界では、始まりの男女に出会う。

ブラックホールヘヴィーな力は、知恵の実もろとも彼らを吸収した。

(ホカノとサナギは、知恵の実の話を聞くと、なぜか本能的な恐怖を感じた。)

それ以来、栗まんじゅうは、知性を獲得した。

知性を獲得した栗まんじゅうは、無軌道な吸収・拡大をやめる。

このまま続けていれば、並行世界全体を包含する多次元宇宙崩壊してしまうからだ。

こうして、栗まんじゅうは、プリキュアEXILEの元にやってきた。

まんじゅうは、多次元宇宙崩壊を防ぐ手段として、Vtuberを吸収して得た、バ美肉能力を用いた。

並行世界をそれぞれ1人ずつの人間に集約したのである

そうして出来た新しい世界では、1人1人の人間が、それぞれ内に秘めた並行世界コスモ)を持っているのだ。

人々の歴史記憶改ざんされ、各グループの増殖スピード抑制された。

記憶が消されたとはいえ、人々は、潜在的記憶から影響を受ける。

複数存在したプリキュア世界から生成された人々は、プリキュアアニメの作り手や重度のオタクになった。

人々の深層心理に強く刻まれたホカノとサナギは、初代主人公モデルになる。

アニメの中の2人は、誰よりもプリティでキュアな存在だった。

まんじゅうはというと、あらゆる能力を手放して、1人の人間になることにした。

まんじゅうは、気付きつつあった。

知覚はできなくても、どこかにきっと他の多次元宇宙があることに。

どんなにコントロールしようとしても、人々の愛と欲望がある限り、また、何かが増殖し続けてしまうだろうことに。

この多次元宇宙もやがて何か一色になり、他の多次元宇宙と争いになるだろう。

その結果、運が良ければ、各多次元宇宙は、1人1人の人間に生まれ変わるだろう。

きっと、こうして歴史がくり返されてきたのだ。

世界は、いつだってフラクタルに満ちている。

まんじゅうは、運命に身を委ねることを決めた。

究極にして思考できる栗まんじゅうは、1人の人間栗子になったのである

まれた時は、ただ人間に食べられるだけの存在だった。

今度は、美味しいものが食べられると良いな、と思いながら。

anond:20181204210224

記事への反応 -
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    • 誰もが当然のようにプリキュアになれる世界。 それなのに、なぜかホカノとサナギだけは、プリキュアになれなかった。 絶望する彼女達。 それでも周囲のプリキュア達は、優しく接し...

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      • ホカノとナギサは、そんなみんなに恩返しをしようと、非力ながらも周囲の人々の悩み事を解決していく。 ナギサ誰やねん!ありえなーい!

      • そして時はたち・・・ 最終的にすべての物質は核融合して鉄とそれより重い元素の塊になった くりまんじゅうは鉄のくりまんじゅうとなった

      • 現行のプリキュアも、実は全員プリキュアと全員人間の並行世界が相互干渉している物語なのかもな 時々転移に成功する者もいれば、転移した自己像を夢想するだけに終わる者もいる

    • そしてキモくて金のないおっさんだけが全プリキュアから取り残されて真っ暗な宇宙空間で孤児として乾いていくのだ。

      • 酒飲みのホームレスはキモくて金のないおっさんではなかったのか

        • コミュ力高くて本人としてはそこそこ幸せに暮らしてたら、KKOとは認められなさそう。

    • ポリコレの行き着く果てってのはつまり人類補完計画に他ならないからな 差別ってのはつまり「違い」から生まれるわけだから、その違いを無くそうと均一化が進むわけだ 最も大部分の...

    • ブコメでも出てたけど、プリキュアとエグザイルはどっちの包括力が高いの?

    • くっそ、プリーミリガンまでは耐えたのにホモ・プリキュアスにやられた

    • 結局すべてを包摂しようとするとナンセンスにならざるを得ないんだよなあ。

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