私は20代前半。
理由を色々考え、出た結論は「面倒なことが増えるから」だった。
妊娠・出産・育児エッセイを何冊か読んだ程度の知識なのでザックリとしているが、
つわりの地獄のような苦しみや、大きなお腹を抱えて生活することの大変さを知った。
食生活に気を使い、妊婦に優しいアイテムを買い、定期的に病院で検査し、マタニティスクールに通い、
役所で病院の費用の補助金を申請し、生まれてくる子供のためのグッズも揃えないといけない。
出産もめちゃくちゃ痛い。無痛分娩もあるが、「産むときだけ痛くなくても、いてえのは陣痛だよ陣痛」と
母親によく言われるので、まったく痛みのない出産はまず無理なんだろう。怖い。
まあとにかく生まれました。おめでとうございます。あー終わった終わった、というわけにはいかない。
この世の右も左も分からない赤ん坊を、同じく育児の右も左も分からない母親が育てるって超難易度高い。
でも面倒だからお世話やめた、なんてことはできない。もう生まれてるんだから。
もしも子供が生まれつきの持病を持っていたら。不便なアレルギーがあったら。アトピーがあったら。
とんでもなくブサイクだったら。発達障害だったら。学校でいじめられたら。逆にいじめっ子になったら。
同じクラスメイトの母親が変な人だったら。担任の先生が変な人だったら。
PTAが面倒臭かったら。受験に失敗したら。就活に失敗したら。悪い友達とつるんだら。
学生のうちに妊娠したりさせたりしたら。「産んでくれって頼んでない」と言われたら。
様々な不安が尽きない。そのくらい我慢しろよと言われるものも沢山ある。
でも嫌なのだ。可能性として起こり得ることを考えると、子供はいらない。
子供に何かあったとき、自分の人生経験と知識が乏しすぎてフォローできず、母親失格になってしまう。
子供もきっと苦しむ。
これまでの人生で出会ってきた多くの選択・出来事は、「ミスしたら自分に返ってくる」ものだった。
志望校に落ちようと希望の会社に不採用になろうと、嫌な思いをするのは自分だった。
勉強しなかったツケ、就活の対策をちゃんとしなかったツケは自分に返ってくるだけ。
しかし妊娠中の生活に気を使わなかったり育児を面倒臭がって放棄したら、苦しむのは自分ではなく子供である。
親が徹底的に子供の見本となり、子供を守り、道に迷ったときに手を差し伸べなくてはいけない。
自分がそんな立派な人間になっていないのに子供を作っては子供がかわいそうだと本気で思っている。
デキ婚する人はどうしてすぐ産もうと決断できるのかわからない。その度胸はどこからくるんだ。
たまにネットで出産が「3000万ガチャ」と揶揄されるが、本当にそのとおりだと思う。莫大な金がかかる。
そんなガチャをうちの親は私の前にも何度も回してきた。尊敬する。
今まで何人か彼氏がいたし、今もいる。
「この人と結婚したい」とは思っても、「この人との子供が欲しい」と思ったことは一度もない。
ずっと2人きりでいたい。夫との時間を独占したい…とよく思っていたけど、
まあずっと同じ屋根の下で2人でいたら、恋人時代の気持ちなんてすぐ消えて
だんだん生活がマンネリ化してきてうまくいかなくなったりもするんだろうな。
だから子供がいたほうがいいのかもしれないけど、そんな緩和剤代わりに子供をポンとつくっていいのか。
妊婦や子連れ、ベビーカーのバッシングをネットでよく目にする。
育児中にあった嫌なことや肩身の狭い思いをした体験談も沢山見る。
(家庭板のまとめを読むのはやめたほうがいいかもしれない)
私が万が一妊娠してしまったら、周りは「おめでたいこと」と捉えるから、きっと産むんだろう。
人間ひとりつくって育てるというとんでもない行為は「やっぱりやめた」ができないから、恐ろしい。
今付き合っている彼氏とうまくいって結婚の話が出たとして、「子供が欲しい」と言われたら本気で悩む。
「夫が子供を欲しがっている」とか「(義)両親が孫の顔を見たがっている」という理由で
私が折れて妊娠出産していいものなんだろうか。母体は望んでいないのに。
周りが希望してるから命をつくるなんて無責任ではないだろうか。
「産んでくれって頼んでないのに!」って子供に言われてしまったら、
私は自分に面倒事を沢山もたらした原因である子供を愛せないんじゃないか。
どんな理由であれ、私のように子供が欲しくない人はきっといるんだろうけど(多分)、
少子化という言葉があるということは、子供とは「産んで増やさないといけないもの」なんだろう。
私か相手が子供をつくれない体なら仕方ない。それよりも「つくらない」ほうが周囲から疑問視されそう。
育児がしにくい世の中になってるのも問題だけど、そういう社会的な面よりも私の心理的な面が大きい。
こんな私が、子供が欲しいと素直に思える日はくるのだろうか。
それとも、たいしてよく考えないまま流れに身を任せていたら、案外大丈夫なものなんだろうか。
一応言っておくと、親に虐待されていたわけではない。むしろ末っ子なので甘やかされて育った。
子供はあまり好きではなかったけど、最近は仲の良さそうな親子を外で見かけると微笑ましいと感じる。
ただそれは楽しそうなほんの一部分を見たからで、
その場面を自分が得るまでにどれほど苦労しないといけないのかと考えると子供を欲しいとは思わない。
甥・姪をめちゃくちゃ可愛がってしまうのと同じだ。
あと、反出生主義という主義があるけど、そこまで過激な考えではない。出産は尊いものだと思っている。
私は出産したくないというだけ。
今ふと思ったけど、学生時代が全然楽しくなかったことと、この考えには関係はあるだろうか。
つまらない地獄のような学生時代を子供に味わわせたくないとか無意識に思ってるんだろうか。
そこはよくわからない。