2014-12-04

人工知能人間の職を奪うについて

人工知能人間の職を奪うについて」と日記をはじめると非常にSF的ではあるんだが、思考実験として一つやってみる。

今回は「blog記事を書く人工知能」。

実を言うとこんな人工知能、すでにある。適当なところからコピペして自分blog記事転載するbotなんて、ちょっとプログラムをかじればすぐ作れる。

そしてこれはちょっと本腰を入れて研究すれば、すぐにかなり高性能になるだろう。

「どんなふうな記事がより注目(=ブックマークとかアクセスとか)を集められるか?」というのは評価関数を作るのがとても簡単なので、ベースとなるデータの巨大さと機械学習で順調に成長させられる。記事のまるパクリ問題も、何も真っ正直に「人工知能として本当に文脈理解して人間的な意味記事を書く」必要なんてない。

http://graphics.cs.cmu.edu/projects/scene-completion/scene-completion.pdf

この論文みたいなアプローチ記事を一つの画像だと見立てれば部分を差し替えることは可能だろうし、語尾や語彙の置きかけは、それこそ巨大置換でどうとでもなる。

人間が日ごろ、ほう、ふむふむなんて巡回できるblogの数なんてたかが知れているし、機械クロールで回収できる記事の数は莫大だ。年末年始記事やどこそこの店に行って何々がうまかったなんて記事は毎年のようにループしている(学習ネタとして最適だ)。

この種の(人工知能と呼べるほどに高度になった)botはそのべらぼうな処理能力にあかせて、アホみたいな数のサイト運営できる。登校時間バナーの位置やサイトデザインコピー文章リアルタイム評価関数ぶんぶん回すbot阿呆みたいな速度で自己進化できる。もちろんプロバイダやらが何らかの対処をする可能性もゼロではないけれど、しかしそれもほとんど意味がないだろう。回線の向こう側から規制する根拠に乏しい。もちろんコピペもととなった記事を書いた人間からすればパクリであり著作権違反だが、それを証明するのは手間だし、照明をあきらめるほど飽和攻撃を行う処理速度がbotにはある。また、人工知能的な記事合成、変換、結論変更、文章アレンジは、しばらくすればパクリパクリだと証明するのさえ難しくしてしまうだろう。何せblog記事というのは画像と比べて10%とか5%以下の情報量しかないのだ。

まあ、とにかく、こういうbotはすぐ開発できるだろう。現在技術でもほとんど可能だし、数年以内には実用化できる。

で本題なのだが、こういうbotができたらどうなるか? そりゃ、投入するでしょう。ちょっぴり初期投資をしてあとは寝てるだけで、阿呆みたいな数のアフィサイト運営できるようになる。なんらかのステマサイトも似たような手法運営できるようになる。ちょっと技術ネオニート生活! 投入されないわけがない。

そしてひとたび投入されれば、それは加速度的に高性能になっていくだろう。機械学習の結果出力っていうのはだいたいサンプルにする学習母体データの大きさや質に左右される。Webに解き放たれたクローラーはありとあらゆる泡沫Blogまで咀嚼を始めるので、その出力の制度はどんどん上がっていくだろう。

PVを金に換えるビジネスというのは一時的に大好景気になって、次の瞬間に価格破壊されるだろう。人件費が限りなくゼロに近づいてゆき過当競争になるからだ。

その世界では「人間blog記事を書く」という行為価値が果てしなく低くなるだろう。そこでははてなスター獲得競争の相手がbotになってしまうからだ。相手はたしか人間よりも記事を書く技術が低いかもしれないが、無尽蔵の体力を持ってるし、blog記事なんてそもそも10本書いて1つが注目集めればそれでいいような世界なのだ。1万本書いて9999本はずれでも構わないやつが出てきたら、体力勝負で勝てやしない。

この状況が長引けば、アフィリエイトというビジネスモデルのもの破壊されるだろう。いやそもそも、アマチュアが公開の場所記事を書くという文化のもの破壊される可能性もある。

Web世界は会員制のFacebookGoogle+みたいなもので分断され、今度はその内側から個人の記事ビッグデータにぬいていくBot蔓延するだろう。

こういうBotは廉価なサーバーマシンで動かすことができる。実際作ってみないとはっきりとは言えないが、それこそ数百体動かせる可能性もある。性能が十分に周知されれば、「日本語Blog記事を書く人」よりも「日本語コピー合成記事作成するBot」のほうが多くなることは、けっしてありえない状況ではない。

事ここに至って、人工知能は「あるジャンルの職を奪う」ことに成功する。奪われるのはアフィリエイト暮らしていた人間Blog書きだけではない。それを端緒に広報生業にしている多くの人も職を奪われる可能性がある。状況はおそらく大混乱にちかくなるので、今の時点では、この種のムーブメントにおいて電通博報堂のような広告代理店が大きく成長する可能性もあるし、致命的な打撃を受ける可能性もある。成長するにした所で、今のような体育会系的営業の会社で居続けることはできないだろう。開発や分析理系部署が今の10倍以上の大きさになるだろう。グループインタビューなんかやるよりも、匿名掲示板ログから消費行動の傾向を出したほうがよほど精度が高い企画が作れてしまう。

人間の職を奪う、というのはこういう光景雇用から減少を表現した言葉であって、実際に起きることは雇用の減少だけではない。文化や消費行動の破壊ともいえる変化だ。

まあでも俺はだから人工知能研究が怖いとか規制すべきとは思ってないんだけどね。いいぞもっとやれって思う。

  • マジレスすっけど、その場合は人工知能技術の粋を集めた「スパムブログチェッカー」みたいなプラグインがブラウザに入って、 人間の書いてないブログ読もうとすると警告出るように...

    • チューリングテストはとっくのとうに突破されてるんだよおじいちゃん。

      • チューリングテストは人間が人間とチャットボットの差を見抜けるかどうかのテストで、 人間をはるかに超える解析能力を持ったスパムフィルタにも見抜けない事を保証するテストじゃ...

        • 人間をはるかに超える解析能力を持ったスパムフィルタ これどっからでてきた?

          • 元増田のしている言外の仮定。 今すぐそういうbotが作れるっていうなら、3週間ぐらいで作って見せてくれ。 成功すればたぶん年間5千万円ぐらい儲けられるぞ。 ほれ、よーいどん!...

    • 重要なのは、ブラウザで弾けるといいのは「スパムかスパムじゃないか」であって、ユーザにとっては「BOTが作成した記事であっても、有用ならそれはそれで見せるべき」なんだよなあ...

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