市場の内外と、組織の大小で4分割するフレームワークは概ねあってると思う。
ヒト・モノ・カネの3大リソースはIT化のおかげでますます国をまたがった移動が低コストになっていて、
そうすると大きな資本で集中投資できる大きな組織が、大きな市場で勝負するのが最も効率的で合理的ということになる。
アップル、アマゾン、グーグルのIT御三家は言うに及ばず、ウォルマート、コストコ、日本ならイオンなどの流通業、GAP、ZARA、日本ならユニクロなどのファストファッション、マクドナルド、スタバなどのファストフード、話題の外食チェーン、グローバル展開したりしなかったりしている銀行、保険、証券の金融サービスなど、多くの業種で「大きな組織、大きな市場」モデルによる市場の寡占化が進んでる。
もともと、エネルギー(石油メジャー)、自動車(日米独仏の各国数社)、原発(東芝、日立、三菱)をはじめとする重電分野(米GEが代表例)など参入障壁が高い業種では、「大きな組織、大きな市場」モデルによる寡占的な市場が形成されやすかったが、近年のIT化によって、消費財や消費者向けサービスを提供する上に挙げたような業種でも「大きな組織、大きな市場」モデルが適用できるようになったと見ることもできる。
このように考えると、ひとりの個人として身を立てる、あるいは中小企業やベンチャーが生き残るには夢も希望もない社会のようにも感じられるけれども、俺は必ずしも捨てたもんじゃないとも思ってる。
どういうことかというと、大手資本が「大きな組織、大きな市場」で効率的な市場環境を整えてくれたおかげで、逆説的ではあるが「小さな組織、小さな市場」モデルの個人やスタートアップが活躍できる余地が広がってるんじゃないかということだ。
効率的な市場環境ってなにかというと、例えば決済。国際間の決済が個人レベルでも簡単にできるようになった。
流通もしかり。これは物理的に大きく重いものはまだ敷居が高いけどね。
広告。Googleなどのおかげで世界中に安価かつ瞬時に広告を出せる。
販売。猪木じゃないが「ネットがあればなんでもできる」。そして英語ができれば(かつ物理的に大きく重いものでなければ)世界市場を相手に販売できる。
製造。これはさすがに工芸品のようなものでなければ個人でどうこうするのは難しい。ただしはてな民に馴染みのあるところで言うとenchantMOONが可能性を示したように一介のベンチャーが工業製品を作るのは、規格の標準化や安価な海外リソースの存在もあり、やはり敷居は下がっている。3Dプリンタもここの部分の効率化に大きく寄与しそうだよね。
資金調達:これも可能性は広がっている。上述したようにスタートアップの敷居が思いっきり下がっている現状では競争倍率がハンパないが、ダメなビジネスは資金調達できないという意味ではここも効率化されていると考えることもできる。あとWebサービス系のスタートアップならばプロトタイプ作るところまでは必要なのは人件費だけだから、そういう意味でも個人やスタートアップには恵まれた環境と言える。
こんな感じでビジネスの上流から下流まであまねく効率化、標準化、オープン化されつつあるのが今の世界で、そういうわけで、個人やスタートアップが活躍できる余地が広がっているというのが俺の考えだ。
立ち上げたビジネスは大手に売るか、大手が触手を伸ばさない程度にニッチな市場を狙うか、最高なのはTwitterやDropboxなどのように買収提案を蹴って独立の道を歩めるだけのブランド力あるいは特許をとって身を守りつつ自らが新たな「大手」プレーヤーになるか。
個人にいたっては別にビジネスを立ちあげなくたって能力と英語力さえあれば、国際間での雇用の流動化とクラウドソーシングの普及で、収入を得る方法は格段に広がっている。
逆に今後厳しい立場になると思われるのは、とくにこれと言って強みのない個人や、接待や御用聞きなどの人間関係だけで仕事をとっていた企業。
これまでならそういった企業でも「呼べばすぐ来てくれるから」とか「他に手頃な業者がいないから」ということで仕事にありつけていたのが、コミュニケーションコスト・移動コスト・情報コストの低下で、探せば他に同じ(あるいはもっと高い)バリューを安価にを提供してくれる業者にコンタクトしやすくなると、仕事を失う。
これは日本の製造業や小売業が過去20年でイヤというほど経験してきたことだからここであらためて書くまでもないけどね。
そんなわけで俺は今後数十年の競争社会というのは、増田が言うように大資本が中心にはなると思うけど、大資本以外にも十分にチャンスがある世界だと思ってる。
かくいう俺はフリーランスでやっててこの手の話っていうのはガチで人ごとじゃないので、意見にそういうバイアスがかかっているかもしれないことは断っておく。まあ正直なところ、ここに書いたようなことを自分に言い聞かせてないとやってられんという気持ちはあるな。
ただ同時に、こういうボーダレスな世界だからこそ、俺みたいな組織で生きられない社会不適合人間でも、独立という選択肢を持てて、それなりに家族を養うことができてることも事実なんだよ。まあ俺個人の話は余談でした。
今後30年の競争社会は下記のフレームワークで勝ち負けが決まるのでないかと思う。 国内マーケット vs 海外マーケット 小さい組織(個人事業主含む) vs 大きい組織 国内マーケット...
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