■イラスト生成AI「mimic」問題についての所感

さまざまな意見があるが、mimic擁護派の言い分がひどいのでここに反論を書いておく。

(前提)mimicとは

• AIによるイラスト生成サービス。特定の絵師の画風を模倣できることが大きな特徴
• mimic利用規約上、絵師本人が自作の絵をAIに模倣させる用途だけが許されている
• しかしながら、日本の法律では、AIに学習させる目的で他人の創作物を無断使用することは合法である
• また、日本の法律では、画風は著作権法の保護の対象ではない。AI利用者はAIの生成した画風模倣絵を自由に利用できる

(前提)mimic反対派(主に絵師)の意見

• mimicは「合法的なトレパク」を可能とする危険なツールである
• 絵師コミュニティにおいてはトレパクは絶対悪(許されざるレベルのモラルの欠如という意味)とされている
• 今現在もトレパク行為に悩まされている絵師が大勢いる
• mimicに自分の絵を使わないで欲しい
• AI利用者に「合法的なトレパク」をさせないよう、規約で禁止するだけでなく、有効な対策を打って欲しい
• 営業停止を求めるわけではない

つまり反対派はmimic運営と同じ主張「絵師本人が自作の絵をAIに模倣させる用途だけが許される」を述べており、厳密にいえば反対派ではない。

懸念を表明した大勢の絵師の要望を受け、mimic運営は充分な悪用防止策の実装されるまでサービスを停止するとした。

これに対するmimic擁護派の言い分がひどいのでここに反論を書いておく。

mimic擁護派の主張、およびそれに対する増田の反論

「合法的な活動に文句をつけるな」への反論

• 民主主義の原則に反する
• 立法時に予見し得なかった社会問題が生じたのだから、法律自体への批判も含めて批判されるのが当然

「所詮絵師の"お気持ち"であり聞くだけ無駄」への反論

• mimicの想定顧客は絵師である
• 客である絵師が不愉快だといっているのだから対応するのは当然

「AIに仕事を奪われるのは歴史の必然だから文句をつけるな」への反論

• Twitterの投稿を見る限りその点を懸念している絵師はいない
• 大多数の絵師はmimicによるトレパク行為の助長を懸念している

「外国との技術開発競争に負けるから文句をつけるな」への反論

• 他人に迷惑をかける技術は国産だろうが海外だろうが不要
• 技術開発とサービス提供は別物
• 技術開発は継続し、絵師コミュニティに不快感を与えないサービスとして整えてから再度サービス提供すれば済む話

「他人の原作を無断で使って二次創作している連中が文句をつけるな」への反論

• 二次創作とトレパクの違いは「原作への敬意」の有無である
• 少なくとも二次創作は原作の存在することを認めている。他方、トレパクはオリジナルを詐称する
• 日本の二次創作文化は長い時間をかけて現状の著作権者との関係性を完成させたのであり、トレパクを許す理由にならない

「フェミの表現規制に反対した連中が文句をつけるな」への反論

• フェミの表現規制要求は、萌え絵ポスターの想定顧客ではないフェミニストが、科学的根拠なく萌え絵が性犯罪を助長すると言い張り、容認派の女性を叩きまくって自分達が少数派であることを自ら証明してしまったことから炎上した。mimic問題とは全く状況が異なる
• mimicの想定顧客は絵師である
• 客である絵師が不愉快だといっているのだから対応するのは当然

「日本語でサービス提供したから日本のバカが筋違いのクレームをつけるようになった、英語でサービス提供すればよかった」への反論

• 上述の通り、筋違いなクレームではない。絵師コミュニティの共有価値観「トレパクは悪」に基づいている
• 英語でサービス提供しているMidjourneyはしっかり英語圏で批判されている。日本から逃げても無意味

「Midjourneyに文句をつけないのならmimicにも文句をつけるな」への反論

• Midjourneyには強いゲーム的要素があり、意図通りの絵を出力することが困難になるよう設計されている
• ゲーム性があるからMidjourneyはウケている。mimicはそうではない
• Midjourneyが制御容易になったら当然批判される

「とても便利なツールだからmimicに文句をつけるな」への反論

• じつのところ懸念を表明している絵師はmimicに価値を感じていない
• だれにとって便利なツールなのか不明
• トレパクしたい人にとっては便利なツールだろうが、絵師コミュニティの共有価値観「トレパクは悪」に反する

「トレパク対策などできるわけないからmimicに文句をつけるな」への反論

• mimic開発者本人でもない奴が勝手に技術水準の低さを理由にしても説得力がない
• 技術的に不可能だとして絵師の側が泣き寝入りする理由にならない

「とにかく黙れ」への反論

• ようするにあなたたちはトレパクしたいんでしょ？

Permalink | 記事への反応(8) | 21:18

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