もともと俺は14歳の時に好きになった女の子のことを20歳になるまで引きずって、その6年で同じ女性に2回告白して2回お断りをいただく位どうしようもない男だった。で、そこから3年経ち、「本当に好きな人と付き合うなんて幻想は捨てよう、とにかく一回彼女を作ろう」と一念発起した。
当時のスペックは大卒、ややブラック気味の会社で働いている、東京住みのサラリーマン。見てくれは背の低さ以外は普通だったと思う。
本に書いてあったことは大体やった。
とにかく「猿山」を作った。猿山というのは、「自分がこの中で一番優れている」と意中の女性に思わせるテクニックのことだ。
町コンや合コンに参加するときは〇〇が趣味ですという名目で集まっている場を選んだ。その〇〇については俺は実力も実績もあったからだ。〇〇だと想像しにくかったら、ここでは便宜上ボルダリングとしておく。
そして「この〇〇一点においては俺はこの中で一番すごいぞ」というのを示した。「あそこのジムの一番難易度高いところまで行ったわ」みたいなやつ。
そうやって他の男をけん制しつつ、なるべく初心そうで純粋に自分に尊敬の目を向けている感じの女性に声をかけた。「××さんは普段どれくらいやってるんですか?」
そこで「いやそんな、増田さんみたいにうまくできないです。興味はあるんですけど~」というような返事が返ってきたら「よかったら一緒にやらん?ああいうのはコツがわかればできるんで、教えますよ」と誘う。
ここで乗ってくれば、だいたい勝ち。
猿山から一人連れ出して二人きりになって、その二人になった時に自分の実力を見せて、そして向こうが登ってるのをアシストしたり応援したりとやって、帰り道に一杯やって「いやーいい汗かきましたね!でも××さんも良い感じでしたよ!」というふうにおだてた結果。
そこに感動はなかった。
一緒にいても楽しくない。セックスも想像していたより気持ちよくなかった。
書いてあることをやっただけなのに、向こうが俺に向けてくる感情はどんどん大きくなり、向こうから「今日は…しないの?」などと聞いてくるようになった。なぜだろう、全然うれしくなかった。
結婚とかそういうことを意識しているような発言も増えていて、俺は空恐ろしいものさえ感じていた。
結局俺は、この時の女性のことを「説明書通りに操作すれば思い通りになるなにか」としか思っておらず、人間扱いしていなかったんだと思う。
人間扱いしていないものから愛情を受け取っても、自分の飢餓感はさっぱり満たされなかった。
これで満たされるのは「俺には彼女がいる」という自尊心だけで、そのちっぽけな自尊心のために相手の人生を奪ってはいけないという最後の良心が働いた結果、
彼女を振った。
人でなしだと自分でも思う。ひどいことをしたのは分かっている。
しかし、どうしようもなく満たされなかったのだ。
「自分が愛されていない」という、生まれたときからずっとあったコンプレックスが、あの子が自分に愛情を向けていることを理解したときに氷解してくれればよかったのに、
「でもこいつは俺の恋愛工学にあっさりひっかかって騙されてる女だ」「この子が向けてる愛情は俺の詐術によるものだ」と思ってしまったために、あらゆることがうまく行かなかった。
あれから3年経つ。あれ以来彼女はいない。作ろうとしたこともない。
「本当の純愛なんてものはない!ロマンチストほどモテない!ブスでもいいから彼女を一度作れ!」
色んな本で何度も見たフレーズだ。
まあでも、確かにあの本には、彼女ができたら幸せになれるとは言ってなかったかもしれないな。だから著者を責めるわけにもいかない。
14歳から20歳まで、一人の女の子に胸が焦がれるほどに恋をした10代の自分のことを思い出す。
ちょっと話しかけられるだけでその日目に映るすべてが虹色に見えた。笑いかけてくれただけで、辛いことをすべて忘れられた。
こちらから話しかけるときは自分でもわかるくらい心臓がバクバク言った。
恋愛工学に手を出して、人を人とも思わないふるまいをして、一人の女性を傷つけてしまった自分の罪は分かっている。
だけど許されるなら、もう一度あの時のように、心の底から誰かに恋してみたい。
・・・・そうなったとして、それで幸せになれるかはわからないけれど。
(追記)
ごめん、初めて反応貰ったからどう言及していいかわからないのだけど、ここに追記という形でも大丈夫だろうか。
それが怖くなった理由。相手が当時30前半位で、子供を作れるタイムリミットみたいな話を出してきたから、ものすごく怖くなった。
自分の無責任さが一番浮き彫りになる部分だったから言及を避けていた、申し訳ない。
沢山の反響を貰って驚いた。いろんな方向に気持ちが動いて、でもなんか、うれしかった。
この話は周りに殆ど相談したことがなかったから、客観的に見た自分の状況がわからずにいたし、自分が自分の殻に引きこもってたことを自覚した。
また恋愛をするかとかはわからない。そもそも今はコロナのこともあって人と出会う場が限られてるからな…
あと俺、2年前までは会社員だったけど今フリーランスになってて、得意なことをバリバリやれて暮らしてるのは楽しいけど、恋愛市場的な意味での価値は落ちてそう。とか、後ろ向きになる部分もあるけど。
でも、一種自罰的を通り越して自堕落に「どうせ俺なんか」ってなってた部分を、これからちょっとずつ直していこうかと思う。適当になってた食生活とか、諸々。
自己肯定感の低さが原因では、といった話もなんとなく腑に落ちた。
>女子側にも色々テクニックはある。こりゃ引っ掛かるわ〜と思えるんだったら引っ掛かる女の子を軽蔑することも無くなるかも。
頂いたこの意見とか目から鱗だった。それは今の俺にとってすごくいい処方箋になると思う。
どうしても、言葉にするとおかしな感じになってしまうけど…今までよりも自分で自分のことを大切にしようと思えた。
皆ありがとう。
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ちんこはまんさんになり語り、まんさんはちんこになり語る。
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