https://www.amazon.co.jp/七二-仮-高山直人-ebook/dp/B01DDAUVMA
貴方は読んでいるかどうかも怪しいかもしれないが、かつて、私は七二(仮)という電子書籍で文化カーストXというものを提唱した。
詳細は実際に書籍を読んでほしいので省くが、早い話が、エリート、ヤンキー、オタクのいずれにも属さない文化階級で、わかりやすく云えば、理性と精神的価値を重んじる階層で、エリートとは正反対の性質で、精神的価値を重んじるお宅と、理性を大事にするヤンキーを足して2で割ったものだ。
大企業が仕掛けたり、ましてや政治や行政が実施するわけではないのに、ネットと連動する形で自然と大きく盛り上がった文化現象と言う風に考えれば2000年~2010年代の「オタク」も今の「デモ」も類似している。そしてどちらも、世の中の支配的な構造に圧迫された人たちが参画しまくったのだった。
OOAだけでなく、高齢のネット原住民がファッション関連の騒動で活躍したこと、東海道新幹線から「和製自爆テロリスト」が生まれたことなどを考えると、日本の主流もノンポリ優勢の構造ではなくなりつつあり、むしろ今の左翼のパルチザン化の流れに合流するような兆しを私は感じている。
いずれも社会の日陰者扱いされた鉄道オタク文化とバイクオタク文化を大衆文化にぶち上げた「流れ」の当事者たちがもしも左翼に合流するとどうなるだろう。すでに日本でも韓国の10分の1の規模のデモは頻発している。「自分がでネット原住民で流行に煩い大人だから、無意識にバイクお宅にはまっていた人」がこれに加わるとどうなるだろうか。
日本社会の抱える相次ぐ問題である、汚職、裏社会、スパルタ労働(ブラックなんて可愛い言葉はもうやめよう)に続いて、鉄道業界にも政治イデオロギーがらみの黒い噂が立ち込めているという。所謂ネット原住民空間はともかくとして純粋な鉄道オタクさえ右翼バッシングが多いのは、単に右翼憎しという日本人としての公憤や鉄道の印象を悪くされたオタクとしての義憤だけでなく文化への干渉があるからだと思う。裏社会沙汰で自身が影響を被ったり、私鉄が解体されるために遊び場所が鉄道からなくなることもあると思う。
既にJR北海道とか認知症や右派団体がらみの大炎上があるわけで、今後もこれに匹敵したり凌駕する騒動や汚職が続くことは必至なんじゃないかと思われる。そういう繰り返しがあれば、不満によって私鉄否定論が支配的になり、ネオリベに怒りの矛先が向かうようなこともありえなくないだろう。
ポストファミコン世代とかリア充世代とか、30代以上のオタクからすれば「自身の弟子の左派かぶれ」な人間がすでに左翼の側にある。同じく強烈な文化発信地であって同じように1980年代~2010年代時期にトップダウン的な潮流のもとで大衆文化化が進んだ「デモ文化とオタク文化と左翼(リベラル含み、ネオリベ除く)が手を結ぶ」可能性もありえなくはない。
そういうものを「公のお墨付き」と位置付けて、往年の西側諸国のように大衆文化を国民のコントロールを円滑する道具にしつつ、対外PRのための政策芸術として用いようとしていた日本の政治からすると、サブカルや大衆文化という大きな文化軸に矛を向けられることだけは避けたいと思われる。
2000年代の福知山線事故以降、日本のエスタブリシュメント層は鉄道オタク的な文化を嫌悪するようになり、それまで叩く側にあった車・バイクサブカルチャー文化を急に持ち上げだした。そしたら2000年代後半にエスタブリシュメント層によるノンポリ・道路文化迎合政策と鉄道文化・政治思想家潰しが激化し、1990年代には等しくのいかがわしいとされた両者は全く別の道をたどった。
一方は冷遇されたためにプロテストの積極的な集団となり、一方は厚遇されたために御用化したが、この二極構造が、今まさに変わっているさなかにあると思う。それがどうなるのか気になっているため、最近の社会運動やテロシーンの動向にはずっと注目しているのだ。