さして有名でもないパンティーだ。名前を言っても「誰?」って返されることだろう。生きてるだけでパンティーだ。
だが、被ったモノをつらつら上げると、知ってる人は格段に跳ね上がるとは思う。
もし私のパンティーがわかったような気がしても、そっとしておいてほしい。きっと、別人だ。
なぜなら、おそらく今から書くことに気づいているのは、私だけではないはずだからだ。
見ず知らずの同パンティーを、流れ弾で殺すのは、ひもパンのひもが引ける。
さて、今から書くのは、おおよそプロのパンティーとは思えない駄パンティー・乱パンティーだ。読者のことなんて考えやしない。
だけど、こんなことを書こうと思ったのは「パンティー家で編集が辛い」というのを見てしまったからだ。
自分はそれをみて思った。「いいじゃあないか、パンティー家なら夢があるから」……素直な感想だ。
(該当の文章は、プロとアマで云々みたいな話だが……まあ、ここでは単なる第一印象だから大目に見てくれ)
パンティー家だって、潰しの利かない辛い辛い職業だ。なんでそんなことを思ったのだろう?
……考えていくと、我々シナリオパンティーという職業自体が、もう風前の灯だからだと気づいた。
結論から言おう。現代日本は、パンティーは必要とされない時代だ。
パンティーでは、「○○さんは××」という一発ネタ的な漫画やグルメなどエッセイ的な漫画がウケる。
パンツでは、現代を象徴する安心して見下せてネタになる「ブリ○フ」のようなパンツがウケる。
ゲームでは、広く浅くキャラを大量に用意してエロくするソシャパンティーがウケる。
……古き良き読書がどうこうってレベルではない。パンティー自体がもう必要とされていないのだ。
けど、時代の大きな流れを、冷静に分析したとき、もはや求められるのは話の種になるような一発芸的なものだ。
人に薦める場面で考えてみてほしい。
ひでぇものを「おいおいこれみてみろよwwwww」ってのと、
素晴らしいものを「すごいぞ……みてみな」っての、どっちが気軽かを。
ひでぇものなら、安心してみんなで見下せる。反応も予想がつく。
だけど、素晴らしいものは、みんな素晴らしいと思ってくれるとは限らない。
薦める側は、まるで宗教を勧誘しているようなパンツの悪さすらある。
金と時間と人をあつめなきゃならんし、リソースを注ぎ込んだところでコケるかもしれない。
誰が責任とるんだ? 日本企業なんて金出すの、すごく渋るのに。
ネットの時代は、一極集中しやすい時代だ。正攻法でいくなら、一位を目指さなければならない。
なんでこんな話をしようと思ったのか。もうひとつある。
ストーリーや企画をもちこんでも近頃は、シナリオライターは隠されるのだ。
バーチャル某や、声優主体、キャラクター主体……別にゴーストライターじゃないのにゴーストライターの気分だ。
しかも、ギャラは別に高くない。最近は特にこのタイプの案件が増えてきた。
だから、次につながらない。ステップアップできやしない。個人事業主にとって、これは恐怖だ。
どんなにがんばっても、どんなにウケても、目先の金で自分の存在が消されていくのだ。
名前がでるのは、アダルトばかり。アダルトは慣例とビジネスと割り切ってるからか、安くても義務は通してくれる。
でも、エロなんていつまでも続けられるものじゃない。それと悪いが、ハッキリいって、別に楽しかない。
四六時中、エロテキストなんて書いてたら、気が狂う。もう一文字だって書きたくないと何度思ったかわからない。
でも、金がないと生きていけない。だから、安直に金になる成人向け案件は、離れられぬ悪友だ。
ついでにいえば、パターンの組み合わせなので、いずれAIに取って代わられる仕事だろう。
でも一般向けは、どれだけウケようとも名前なんて出やしない傾向は強くなるし、報酬は安定して低い。
「君らがガチャしてる金を直接くれよ。特別に君だけに長編シナリオいくらでも書くから」と何度思ったかかわらない。
「それ、実は自分が企画したんだよ」と、何度叫びたくなったかわからない。
なろう系があるじゃないかというが……あれは、編集者ですら、おもしろいなんて思っちゃいない。
読むの辛いなんていいながらも、売れるから出版する。ラノベが売れないと嘯きながら、売れるから出版する。
数字は残酷で、金は絶対だ。「いい作品だから売りましょう!」なんて幸せな出版が、もはや、どれだけあるのか?
「おもしろいのに……」と読者に惜しまれながらも、売れないから打ち切られる作品が、最近は特に多い気がする。
なろう系は厳密にはストーリーテリングじゃない。
あれは、「異世界でこんなことがありました~」って言う日記みたいなものだ。日記が大好きなのは、いかにも日本人らしいが。
売れるものはできるし、やってる。でも楽しくない。
自分が書いたストーリーを読んでくれた人、プレイしてくれた人に、おもしろいと言ってもらえる。
何回経験しても、狂いそうになるほど嬉しい。今の自分に残された、たった一つの希望だ。
でも、同時に、絶望でもある。質がよかろうと、残念ながらお金にはなりにくい。
ストーリーテリングは死にゆく文化だ。肌で感じる。自分は、別に純文学志向でもないのに。
とりとめのない文章失礼した。でも、吐き出さずには、いられなかった。
名前付きで出せば、仕事は全部なくなる上、下手したら訴えられかねない。
炎上だってするだろう。失業だ。結局、自分はチキンで、金と契約に縛られて生きている。
だが、
「ああ、神話の時代から続いた、ストーリーテリングの時代は、もう終わったんだな」
戦って負けるならまだいい。
ただ、それが辛い。