これはフィクションです。
相互フォロワーに一つ年下の、文字書き創作者の天才(以下創作者)がいました。大元は某有名ゲームに影響を受けてはいましたが彼女の一次創作は非常に面白く、私は創作者のファンでした。私自身絵も文字も書くタイプのオタクだったので、創作者のキャラの絵を描き、キャラの二次創作小説を書き、創作者にずっとファンだと伝え、自分の一次創作と同じくらい創作者の一次創作を愛していました。今でも、創作者自身より私は彼女の創作を愛している自負がありますし、今だって彼女がしなくなってしまった創作をずっとし続けています。公式は私自身が無くしてしまいましたが……。
その当時の身内に、世間のテンプレートのような二次創作腐女子(以下腐子)が参入しました。私は、腐子が苦手でした。苦手な人類でした。R18話題の連発、二次創作こそ全てだと言わんばかりの傲慢な態度、所謂声デカタイプのオタク所作。私自身二次創作でカップリング物を読んだり書いたりすることもありましたが、基本はプラトニックなものばかり。カップリングも大多数がNL物、それも公式で付き合った、結婚した実績がある、公式が好きだと明言している、ほぼ確実な匂わせがある(周囲からネタノリではなく持て囃されている、周囲に早く付き合えと言われている、告白シーンは切り取られているが「××さん、私──」等告白に繋がっているのだろうと想起されるシーンが入っている、そもそも恋愛もの)等のものばかりで、とても少ないものでした。一切BLを読まないわけではありませんが。
しかし腐子が苦手だからと言って私の好きな人達が腐子を嫌ってくれる訳ではありません。それどころか身内は皆、彼女に好印象を抱いているようでした。……共感は出来ませんでしたが、皆に好かれるのはまるで私と正反対のこういう人間なのだろうと理解は出来ました。
そのうち、創作者は一等腐子と親交を深めるようになっていました。創作者は腐子を慕い、腐子も年下の創作者が可愛かったようで、仲良くしている姿がよく目に入りました。私が彼女の言動に違和感を覚えるようになったのもこの頃からだったと思います。
いえ、私が見抜けていなかっただけで前兆はあったのかも知れません。イキリとまとめてしまえば簡単ですが、もう少し言えば、腐女子のノリ、害悪な声優厨のノリ、互助会村長のようなノリ……とにかくネットでよくいる女オタク(偏見)をごちゃ混ぜにして割ってしまおう!という感じのツイートをよくしていました記憶があります。その頃彼女の信奉するコンテンツも堕落の前兆を見せ始めていたので、こちらも影響していたのかもしれません。その頃、私はそのソシャゲを身内の中でいち早く辞めていました。数ヶ月後、私の同い年で特に仲の良いの身内が腐子と内々で仲違いし縁を切ったのと同時に、私も腐子と縁を切りました。創作者は我々が腐子と縁を切ったのにも気づいていない様子で、変わらず腐子と仲良くしていました。鈍感だな、と思ったのを覚えています。
時間は飛んで、季節が一巡りした頃です。その頃、創作者は一次創作の話を殆どしなくなっていました……と言えば語弊があります。正確には「私の好きな」一次創作の話を、殆どしなくなっていました。彼女の新たな擬似一次のような二次創作に馴染めなかった私が悪いのかもしれません。でも、歴史モノ、前述ゲームの世界観のみを前提とした二次創作、完全BLクソデカ感情前提、(鍵垢でとはいえ)あけっぴろげセンシティブ……。私には受け入れられないものでした。あとそのBLの片方が好きな人間だったのでキツかったです。TLに流れる地獄のような創作。すり減る心。また私の好きな、あの面白い一次創作の話をしてくれるかもしれない希望。私はやはり大好きなキャラを描くため机に向かうことしか出来ませんでした。
きっかけは、私の書いた一次創作の小説が爆死したことです。私が彼女のキャラ単体絵小説を書いた時、彼女はいつもRtといいねをして「○○さんめちゃくちゃ絵上手くなったね」「これのどこどこすごい良い!」「○○さんの××めちゃくちゃ好き」……そう言ってくれていました、思い返せば、それで自惚れる私も私でした。
辛くて悔しくて、r18や愚痴、醜いものを吐き散らす鍵垢に逃げ込みました。彼女はその垢もフォローしてくれていましたし、表向きは大作が爆死して悲しい、で逃げたことにしていました。でも実際は違います。
そう自覚してしまった、辛かった。匿名掲示板に書き込んだりしてみたりもしました。創作者が元最高の創作者じゃなきゃ縁を切れたのに。そんなことを何度も考えました。私はその鍵アカウントにしか顔を出さなくなりました。縁を切る前、1度だけ彼女ともくりをしましたが、彼女が私の苦手な思想を喋る中、私がそれに相槌を打つ。お互いに地獄のような時間だったでしょう、そうそうに切り上げたのを覚えています。
縁を切ったのは、本当に些細なことでした。他のゲームで、私と創作者の推しは同じでした。その推しのPUがやってきた時、彼女が「俺の(某声優)がやってきた!」と言いました。
本当に些細なことです。
それが、私には許せなかった。
具体的な話をすれば、先程の歴史BL二次創作のメインキャラ、かつ彼女が最も愛していたキャラクターのイマジナリー声優がその某声優だったのです。また、私自身推しを好きになったきっかけがストーリーで出てきた姿やコーデ、彼の語る内容が好きだったのもあったと思います。声優とか、正直どうでもいい。それが本音でした。結構近場の頃に推しの声やってるカスが不倫したり推しの声やってるクズが二股したりしていたのもありました、そも声優自体に好印象を抱けてはいませんでした。
私はただ声優ばかりを取り沙汰されるのが気に食わなかったのでしょうか。それとも私は、心の内で彼女から離れる口実を探していたのでしょうか。自分でも分からないままです。
私はその日に彼女をブロ解しました。勇気が足りなくて、メインで存在していた鍵垢だけ、ブロ解しました。でも彼女がすぐ気づいてくれたなら……まだ戻れたかもしれません。でも彼女が私の鍵垢にフォロリクを送ってきたのは、それから4日後でした。それも、彼女のキャラクター単体を描いた時でした。RTといいねをして、彼女が褒めて、それに私からの反応が無く違和感を覚えたのでしょう。……呆れました。そして気づきました。私だって彼女のことが大切ではなかったことに。
それに気づいて、私は元々稼働していた……今は倉庫になってしまった垢以外の全てのアカウントで彼女をブロ解しました。後悔は、ありませんでした。
今も時々、版権や自らの一次創作をしながら、彼女の一次創作を描くことがあります。絵を上げ続けているアカウントでも、もう彼女からのRTもいいねも無くなりました。私はフォローを解除して、何故彼女がフォローを解除していないのか分かりませんが……態々こちらからブロ解する義務はないと考えました。
世間的に見れば私は意地悪なんでしょう。他人の一次創作を乗っ取って、我がもののように描き続けている。でも、先にそのキャラクターを愛さなくなったのはどちらでしょうか?そのキャラクターを一番愛しているのはどちらでしょうか?キャラクターの名前や設定すら忘れているくせに、本当にキャラクターを愛しているとほざけるのでしょうか。
私は悪者です、所詮二次創作、著作権法違反がどこまで効くかは分かりませんが、訴えられれば否応なしに負けます。それでも、誰がどう見ても悪者でも、私はキャラ達を愛しています。金を払って正式に彼ら彼女らをうちの子にできるのならば、ええ。払いましょう。札束で思う存分、頬をぺちぺちしてやる。そう思いつつ、私は今日も、創作者のキャラクターを書き続けています。
私はこれからも創作者のキャラクター達と生きていくでしょうが、もう二度と、彼ら彼女らを描く時に彼女のことを思い出さない。その決心のチラ裏書き散らしとして、この文章を〆とします。