2021-07-20

マイナースポーツファンとしてオリンピックにずっとモヤモヤしている

モヤモヤしているので増田で書いておく。特にオチのある話ではなく、スカッと何かを断罪する感じの話でもない。

かれこれ10年ばかり、とあるマイナースポーツファンをやっている。「マイナー」とは言っても「日本においては相対的に」という話で、国や地域によっては大手新聞国営放送などでもそれなりの扱いを受ける程度には人気のあるスポーツで、結果としてオリンピックの種目にも選ばれているものだ。

オリンピック東京への招致が決まった時、正直なところ自分は嬉しかった。

もちろん招致が行われていた当時から会期中のイベント施設の扱いの問題をはじめ、会場不足や気温・環境など、問題は山程取り上げられていたから、「一般人としての自分」は五輪に対してあまり肯定的ではなかった。

しかし、「そのスポーツファン」としての自分は、「まさか自分が生きている間に日本であの競技トップ試合が見られるなんて……!」という肯定と喜びの中にあった。

大前提として、スポーツ趣味人目線から見ても、明白に政治的経済的面子的な理由ゴリ押されているようなオリンピックを、現状の感染拡大局面において肯定することは決して出来ない。

出来ないけれど、それはそれとして、自分個人趣味として、スポーツファンとしては、10年来の趣味ハイライトとして、今回大会を楽しみに思う気持ちが内心残っていることも否定できない。

この2つを天秤にかけた時は間違いなくオリンピック反対の方が重いのだけど、しか趣味思い入れにも10年の重みがある。この2つの感情の間で、ここ最近はずっと引き裂かれそうになっている。

その競技において世界活躍しているような日本出身選手は数えるほどしかおらず、国内においては大規模な大会が開かれているわけでもない。結果として地上波テレビなどで試合放送される機会もないので、普段生活の中でその競技を見られる機会は殆どないと言っていい。

そういうわけで、存在を知ることにまずハードルがあるのに加えて、国内から見ようと思うと有料放送への契約がほぼ必須になるから、そこでも更に厳しいハードルがある。

それを超えて見たとしても、競技としてはルールなどにややこしい部分が多く、映像的な派手さにも欠けるものであるため、門外漢の人が一見してすぐに「楽しそう!」と思えるかと言えば、それもNO。

このようにハードルが多いので、当然の結果として国内ではマイナースポーツの座に甘んじている。趣味の側としては「分かってくれば面白いんだ」とは主張したいところだけど。

こういう意味で、オリンピックパラリンピックは(勿論全体としては政治・経済的な色の濃いイベントではあるにせよ)この手のスポーツにとっての救済的なニュアンスを含んでいる部分がある。何しろ報道や中継が一般人の目に触れる確率が非常に高いのだ。

何と言っても今回は日本開催のオリンピックである。おそらく何らかの形での地上波放送はあるだろうし、いつもの有料放送に比べれば、目にする人の数はずっと大いに違いない。

加えて競技の内容としても、国際大会でも稀に見るようなメンツが集結しているので、そうそう見られないような緊迫した試合が展開されることも疑いない。

それを見る中で、一人でも多くこの競技存在を知り、魅力に気づいてくれたら嬉しい。長く楽しませてもらってきた趣味人として、できるならその手助けをしたい。当時自分はそう思ったし、今でも少なからずそう思っている。

競技面白みやルール、見どころに注目選手。そういう部分を語れと言われればいくらでも語れるし、そういうものをひっくるめた初見の人向けのプレゼンみたいな記事でも作るつもりだった。

さほどSNSフォロワーなどが多い方でもないけど、その中のせめて一人にでも届けば良いと思っていた。

しかし去年からのこの状況だ。ここでそんな記事を書いたり、感想などで盛り上がってみようものなら、「この競技ファンはこの状況下のオリンピック肯定する脳天気バカだ」と言われるのは目に見えている。自分自身、知らない競技で似たような事をしている人を見かけたら同じように思うかもしれない。

ただでさえ狭い界隈に、そんなダメージを与えかねない真似はできない。だからこの記事でも競技の詳細については書かないことにしているし、一部ボカすために表現を変えている部分もある。

第一、今となってはもうオリンピックに対して「勧められたから見てみようかな」なんて純朴な感覚の層は残っていないだろう。

繰り返しになるが、趣味人目線から見ても、この状況下でオリンピックを開催することを肯定することは出来ない。

一方で、選手たちがどれほどの思いでこのオリンピックに向けてトレーニングと調整を重ねてきたかもよく知っているし、開催が来年・再来年へと延期されれば、コンディションの周期や年齢などの問題でチャンスを失うような選手が居ることも分かる。

選手たちはそういう積み重ねの上でスポーツによって生計を立てている人々だし、事実として今年これまで欧州を始めとする海外において感染拡大下においても各種スポーツ大会は開催されていたから、実際にそれに出場してきた当事者である彼らが、このコロナ禍の中でのオリンピックの開催に対して能天気に映る態度を見せていることも理解はできる。

そして現実問題として、選手たちは既に日本入りを済ませてしまっている。長年テレビの向こうの存在だった選手たちが、今この国に滞在している。試合に向けて最後の調整を行っている。その事実のものが、自分にとってどうしても興奮を禁じえないものであることも確かだ。

何十年に一人と言われるような天才が、この先10年を背負うと言われている若手のホープが、怪我病気からリハビリを経て復帰した選手が、現役生活の後半を飾る実績を東京で残したいと語るベテランが、そして日本競技シーンを支えてきた僅かな、しかし逞しい日本選手が、今日本に集っていて、日本で戦う。

その興奮と喜びは、盛り上がりは、コロナ流行と、何よりも政府IOC/JOC稚拙な振る舞いによってすっかり毀損されてしまったけれど、それでも自分の中に少なからず熱を残している。いっそこれですっかり嫌になって見ずに済ませるぐらいの熱量であったなら諦めがついて良かったのに。

今となっては、とにかくせめて悪い注目の的にならないよう何もトラブルなく粛々と完了することを望んでいる。自分としては誰にも言わずどこにも書かず、自宅からそのスポーツ試合だけを静かに見届けたい。

  • ロードレース?

  • 書くこと=公開することじゃないから、とりあえず溢れん気持ちを書き留めておくことはいいと思うけどな 個人的にはそのスポーツが放送されたら感想を書くのは自然なことだとも思う

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