2020-08-29

中年童貞という漫画があるらしい

ツイッターを見ていたらTLに『中年童貞』という漫画の数ページが流れてきた。

買って読んだわけじゃないから詳しい内容はわからないけど、テンプレ的な「ネトウヨ」像をテーマにしたエピソードがあるらしい。

なるほど世界的に見れば孤立した中年ナショナリズムに走りやすいという傾向はある。

だが単純にそれが日本に当てはまるわけでもなく、これを見て自分違和感しかない。その違和感について書いていきたい。

 

定義あいまい

この話をするうえで、「中年」と「ネトウヨ」の概念重要だが、ルポ漫画という割にはその点が雑なように見える。

1つ1つ追っていきたい。

 

中年定義

中年」についての明確な定義はないが、ウィキペディアによれば、NHK放送文化研究所アンケートでは40歳から内閣府が中高年層を対象にした調査では40歳以上を対象していたこから世間一般では40歳からという認識があると考えられる。

一方でこの漫画では、「30歳を超えて性交経験の『中年童貞』」と言っているように、30歳以上が中年定義のようだ。世間一般イメージからすると若干若い

たった10歳差で誤差みたいなもの、と思うかもしれないが、この後の話をするうえでこの10歳差は大きい。

 

ネトウヨ定義

ネトウヨ定義も明確でなく、「ネット上で活動する保守思想右翼思想の者」くらいの定義から人格否定めいた要素までくわえられた定義もあるが、多くの人がイメージするうえで下の2つの要素があるのではないだろうか。

  1. 排外主義特に中国韓国に対して)
  2. 安倍総理自民党に対する(時に盲目的な)支持

 

しかし、実際に話を聞いていると、こと2つを兼ね備えた人というのは意外に少ない。

わかりやすい例が、「習近平国賓問題」で、排外主義ネトウヨは「国賓なんてありえない!粗末に扱え!」と主張する。一方で安倍支持ネトウヨは「10国賓扱いしてこなかった元首要人国賓扱いするのが慣例だ」と擁護する。

コロナ対策にしても前者は「さっさと中国人を入国拒否すればよかったんだ」と批判し、後者は「根拠のない入国拒否はできない」と主張する。

(どちらが正しいかとかはここで話す話題じゃないのでスルーします。)

このように前者は安倍総理盲目的に支持しているわけではなくむしろ批判的であり、後者ルールを曲げてまでの排外主義をしようとしない安倍総理擁護すれば必然的強硬排外的な主張は取れない。

 

なぜこのような違いが生まれるかといえば、「年齢」だ。

 

2ちゃんねる全盛期、あなたは何歳でした?

ネトウヨ存在と切っても切り離せない2ちゃんねるの全盛期がいつであるかというのは、それだけでいくらでも語れる話題だろうが、ここはひとまず「ドラマ電車男」が放映された2005年としよう。(実際はもうちょっと後だと思うが。)

そしてこの翌年の2006年誕生したのが第一安倍政権だ。

 

この2005年時点で30歳だった人が現在の45歳、20歳だった人が現在の35歳だ。つまり前者は完全に中年の域に入った世代で、後者一般的な中年イメージからすると若干若い(若干だけどね!)。

中年童貞』ではどちらも中年ということになるが。

 

30歳で2ちゃんデビューした人

前者がどういう世代かといえば、いわゆる就職氷河期世代で、就職もうまくいかない、経済的に安定しないか結婚も難しい。

そういう時に出会った(出会ってしまった)のが2ちゃんねるネトウヨ思想というわけだ。

そういう状況に置かれると、自己存在価値を高めるためにナショナリズムに走りやすいというのは日本だけでなく世界共通の傾向だ。

ただし自民党を支持しているかといわれると必ずしもそうではない。

自分たちが就職できなかったのは90年代自民党政権が見捨てられたからだ、と認識しているからだ。

最近GOTOキャンペーンに反対している人を見かけた。

GOTOによってコロナが広まることを心配してるのかと思いきや、「就職氷河期世代を見捨てたのに、なんで観光は救うのか」だそうだ。

こういうタイプ排外主義ネトウヨに染まりやすい。結果として桜井誠や一周して山本太郎、もしくは共産党あたりを支持する。

実際にこの2人もこの世代を取り込む戦略をとってるように見えるし、この前の都知事選でも他の世代よりこの2者への投票率が高いのがこの世代の特徴だ。

良くも悪くも社会に対する不満が思想を先鋭化させているだけで、右に転ぶか左に転ぶかは結果論しかない。

 

20歳2ちゃんデビューした人(もしくはそれ以下の年代

後者はどういう世代だったかといえば、学生時代2ちゃんネトウヨ思想出会った人間ということになる。

そこまで追い詰められた状態でもないから、そこまで思想自己尊厳が直結していない。

就職第一安倍政権2006年ごろは景気も安定しており、前者に比べれば基本的に余裕があった。

これがずっと楽勝なら勘違いしてしまうかもしれないが、リーマンショック民主党政権時代は厳しかった。

「あの優秀な○○先輩が内定1つもないの?!」という時代もあった。

しかし、第2次安倍政権就職状況も改善した。○○先輩も「手遅れ」になる前にちゃんとした会社就職できた。

からこの世代安倍総理に対して好感を持っている人が多くて、不当に安倍総理が叩かれていると感じたらむしろ過剰な擁護になりやすい傾向がある。

 

よって、排外主義ネトウヨになりやすいのか、安倍総理支持ネトウヨになりやすいのかは世代就職タイミングによる違いが大きい。

 

中年童貞』をみる

流れてきた画像を見る限り、モデルになってる「中年」はかなり先鋭化したネトウヨに見える。排外主義ネトウヨだろう。

ただネトウヨからこうなった、というよりはたまたまそっち側に転んだだけで、逆方向に発露していれば強烈な反政府活動をしている人もいる。

そしてそこまで就職に苦労していない下の年代ネトウヨもいる。

そういうところを全部無視して「ネトウヨ」の一言でかたずけようとするから個人的違和感があるんだと思う。

まぁそもそもネトウヨ」の定義ガバガバなのがいけないんだけど。

  • 10歳差は大きい ふむせやの。。

  • ・出ては消える「ネトウヨ=弱者」の定説 「ネット右翼」は「弱者」ではない 「ネット右翼」がなぜ弱者政策に疎い(はず)の安倍政権を支持するのか、という疑問の答えは簡単であ...

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