現役東大生だが〜
という匿名を見たので、それを見て思ったことをつらつらと書く。
自分は残念ながら統計学が大の苦手で、自研究の解析も 本とにらめっこしながらしているような人間なのでご容赦していただきたい。
さて、あの匿名を見て単純に「そうなんだけどそうじゃないなあ」と頭の弱そうな感想が浮かんでしまった。頭がそんなによろしくないので仕方ない。所詮日本の大学にいる人間だ。
あの匿名は「ハイ論破wwww」みを感じてしまって苦手だった。書いたのは男性なのだろうか。女性でもなんでもいいが、少し威圧感がありすぎる。はてな匿名なのでそんなもんだろうけど。そしてあれは祝辞、スピーチであって論文発表ではないので、論破する場面ではないと思ったのだが、如何だろうか。
「突然男子学生/女子学生を画一化したな。性差別って知ってるか?」という文が何気に一番きつかった。全ての文の冒頭に「例外はありますが」「多くの」「ある」とついていれば満足したのだろうか。それは果たしてスピーチなのか、ぼくにはわからない。
…というか、「性別で画一化するのは性差別だ」と分かっているらしいのが、より惜しい感を醸し出している。その通りなのだ。性別で画一化して踏みつけられているから女性は怒っているのでなかろうか。女というだけで「どうせ結婚するんだから、まあ短大でもでておけばいい」と言われたり、「女だから東大なんか行ったら、男が捕まえられない」なんて言われたりするのだ。
あのはてなを書いた人は性差別を認識しているのだろうか。多分頭では認識してるけど、どこか違う国の話くらいに思ってるんだろうなと思った。「そんな現実味のない話を、ガバガバ論理でするなよ」みたいな?
でも多くの、そう「多くの」「その場にいた女子学生」には現実だったかもしれない。そして、その場にいなかった多くの女性に刺さった。
ガバガバ論理が大衆に刺さった場合、学者はその原因を考える必要がある。少なくとも自分の界隈ではそうだ。「そんな非科学的なことを!何故だ…ああこういう不安があるのが原因なのかもしれない…それを否定するにはどうアプローチすべきか」(例を出すならばワクチン否定派だったり)
上野氏の祝辞を否定した彼、もしくは彼女は、「なぜあんなガバガバ論理を賞賛するのか。馬鹿め。自分が説明してやる。」と思っているのか?と感じてしまった。そのつもりはないかもしれないが。ぼくは「素人の抱える不安が例え科学的ではなくても、不安に寄り添う必要がある」と学んできたので、あのはてなに違和感を感じたのかもしれない。ああ、何となくモヤモヤが無くなった。自分とはスタンスが大きく違ったんだな。
ぼくは田舎で育ったが、一応受験業界の人なら知っているレベルのそこそこ進学校に通った。そこに性差別が大きく存在していたかと聞かれれば、恐らくそれほど酷くなかった、と答える。少なくともぼくは「女の子は短大に行けばいい」なんて言われなかった。まあ短大に行く人間が1人もいなかったとも言うが。成績がそんなによろしくない層でも有名私立と言われるところには行った、そんな学校にいた。
学校という面だけで見れば、あまり女子差別を受けなかった。だが話はそれだけではない。家族、親戚。やつらは大きな問題だった。
「女の子だからそんなに勉強頑張らなくてもいいんじゃない?」「お医者さんと結婚すればいいのよ」
ーうん、結婚する気はないし、自分がやりたいことで生きていくから。
ーおん?今は私が一位だけど?素直に良かったねの言葉だけでええねん、要らんこと言うな
自分で言うのもアレだが、底辺高卒しかいない家系の中では信じられないほど頭が良かったので、「あなたは頭がいいから勉強しなさい」と言われることは多かった。でもそれは自分がイレギュラーな知能を持っていたからだと思う。
それほど頭の良くない従姉妹に、ぼくの親戚がかける言葉は冷たい。「弟は集中力あるのに、姉は…(実際そんなに変わらない)」「姉の方は頭が悪い(実際ry)」「弟の方は大切な跡取りさんだから」など言って、弟には勉強支援をするが明らかに姉には支援が薄いということが起きている。ぼくからしたらどちらも同じ頭の具合だが。大体「弟は跡取りだから勉強させるけど、姉は結婚して出ていくから」をこの平成も終わる年に聞くと思ってなかった。実際ぼくは聞いてしまったのだ、自分の耳で、自分の家族から発される学問における女子差別の言葉を。
「○○(従姉妹の弟)は勉強用にタブレット貰ってるの、いいなあ。」と言いながら小さいスマホで必死に映像授業を見る従姉妹を知ってしまった。
それに「女の子は小さい頃から『可愛い』を求められて生きる。(中略)学歴がいいことを女の子は隠そうとする」というような、完全に意訳なのだけど、そんな文があったと思うのだけど、あれが刺さった友人は多くいた。傷つけられないように、バカな女のふりをする女友達を知っている。
あの祝辞はとても意味があったと思う。こうやって、「学歴と性別」について立ち止まって考えさせてくれたから。
恐らく平均よりは恵まれた環境で育った人間として、ぼくは恵まれなかった人間を助けられたら、と思う。その代わりぼくより恵まれた人間がぼくを助けることもあるだろう。それでいいと思う。偽善だと言う人もいるかもしれないが、悪より偽善の方がマシなこともあるだろうと思うので。
ああ、あと突っ込みたい点がたくさん出てきてしまった。ぼくはれっきとした毒親育ちで、親も自分も自殺未遂をしたことがあるような家で育ったけど、親の「教育に金を惜しまない」という点では環境に感謝してるよ。受験期に何万回も思ったけどなぁ、「これで教育にも金を出さない人間だったら、ぼくはもう既に自殺してただろうな」って。親には感謝してないけど、親の出してくれた金には感謝してる。そういうことだと思うけど。
あと「頑張れない人がいます」に対して「だから?」はアホすぎる。これは声を大にしていうけどアホ。せめて「怠慢だと思うけど」くらいにしてほしい。
あとブラックホールを研究しても恵まれない人の役に立たないってのは、ブラックホール研究してる人にも失礼ではないかね。そら、恵まれない人のためにやってる学問と違うけど、生活に困窮している人に直接的に役に立たないというだけだろ。「研究ができるほど恵まれた環境にいない、ブラックホールに興味のある人」にとっちゃ知的欲求を満たすのに役に立つのでは。
あと「弱者が弱者のまま尊重されるのがフェミニズム」に対して「東大生は弱者なのか強者なのかどっちだよ」は、普通に文章読めない人になっちゃってるじゃん。最後までがんばって。「東大生は環境や才能という意味で多くの人間より恵まれています。ですが人にはそれぞれ弱点があります。」という意味であって、最後に誤解されがちなフェミニズムの説明しただけじゃない?
この批判だけはマジで理解できなかったんだけどどういうこと?書いた人は、人間には多面性があるということをご存知でない?ある面では強者であっても、ある面では弱者であるということが分かっていればこんな頓珍漢なことは言わないと思うんだが…ちょっとこれは分からなかった。
おわり
ハイ論破はネット文化で高圧的とかじゃないよ
これだけ賛否両論を呼ぶということは、東大在学生増田の批判は名批判だったということだ。 さらに議論が深まった。