親にも紹介済みだし、もうすぐ二十歳だから何も問題ないと思う。
歳の差カップルって結構増えてきてるし、親も許してくれてるし、相手はちゃんと正社員。
たまに「ロリコン?」って聞かれるけどね。
相手は仕事のストレスですごく太ってしまって、あたまも将来はげるな。って感じ。
おっさんはすきだけど、自分はまだ若いし、大学やバイト先でも出会いはある。
そんな環境の中で、どうしてこんなおっさんとセックスしたり、お風呂入ってるんだろうと思うときがぽつぽつあるようになった。
たとえば抱き合ったときにすこし汗臭かったり、寝てる彼の顔がおっさんだったりしたときに。
自分はこのままたまにおっさんに見えるこの人と、過ごしていくんだろうか。
でも、30代にしてはこどもっぽいところはあるにしても性格はいいし、優しいし。
独特のパワーがある いい装備も用意してある
俺がスゴイ奴なので 実は仲間いらないかもしれない
そうは言っても 俺を褒めてくれるから仲間だ
ヴァリアブルブル! オリジナル!
絶対こらしめてやる 溜飲を下げさせてやるぜ
ハチャメチャしてるぜ ですが誤解しないで
ヴァリアブルブル! オリジナル!
弟がテンションを高くして観ているのは『ヴァリアブルオリジナル』というアニメだ。
雰囲気は如何にも子供騙しにしか見えないが、意外にも大人気のようだ。
特にこのアニメをモチーフにしたカードゲームは、世界大会が開かれるほどの熱狂ぶりで、弟もその住人らしい。
弟に対して俺はというと、内心冷めた目で静観していた。
他人の趣味を腐すつもりはないが、俺はこういうジャンルに明るくないから理解に苦しむのだ。
『私は姫……女王がいないけど、ピーチ姫だってそうでしょ……』
「あれ、CMいつもと違う」
『新パック、“剣姫スミロドン”登場! ベリーマッチグレートレアとクアドラプルスペシャルクラスが合体!』
「うおお! 何これ、初耳なんだけど!? アニメにもまだ登場してないじゃんか」
『切り札はこの袋の中に~切り札じゃないかもしれないけれど~たくさん買えば~いつか~きっと~』
「畜生、発売と同時に宣伝するタイプか! 今すぐ買いに行かなきゃ!」
「アニメは観なくていいのか?」
「何で俺も行かなきゃいけないんだよ」
「購入に年齢制限があるんだよ!」
この時、母はメンテナンス中で動けず、父は必要な機材の準備で手が離せなかった。
仕方なく、俺は渋々と弟についていくことにした。
子供向けのはずなのに、その子供は買うのが制限されているってのも奇妙な話だと思ったが、まあ金のかかる趣味には往々にしてあることなのだろう。
「やれやれ……付いてはいくが、くれぐれも節度を持って買えよ、と」
「……」
頑張れば出来る、と、好きでやってる、の差な。