独特のパワーがある いい装備も用意してある
俺がスゴイ奴なので 実は仲間いらないかもしれない
そうは言っても 俺を褒めてくれるから仲間だ
ヴァリアブルブル! オリジナル!
絶対こらしめてやる 溜飲を下げさせてやるぜ
ハチャメチャしてるぜ ですが誤解しないで
ヴァリアブルブル! オリジナル!
弟がテンションを高くして観ているのは『ヴァリアブルオリジナル』というアニメだ。
雰囲気は如何にも子供騙しにしか見えないが、意外にも大人気のようだ。
特にこのアニメをモチーフにしたカードゲームは、世界大会が開かれるほどの熱狂ぶりで、弟もその住人らしい。
弟に対して俺はというと、内心冷めた目で静観していた。
他人の趣味を腐すつもりはないが、俺はこういうジャンルに明るくないから理解に苦しむのだ。
『私は姫……女王がいないけど、ピーチ姫だってそうでしょ……』
「あれ、CMいつもと違う」
『新パック、“剣姫スミロドン”登場! ベリーマッチグレートレアとクアドラプルスペシャルクラスが合体!』
「うおお! 何これ、初耳なんだけど!? アニメにもまだ登場してないじゃんか」
『切り札はこの袋の中に~切り札じゃないかもしれないけれど~たくさん買えば~いつか~きっと~』
「畜生、発売と同時に宣伝するタイプか! 今すぐ買いに行かなきゃ!」
「アニメは観なくていいのか?」
「何で俺も行かなきゃいけないんだよ」
「購入に年齢制限があるんだよ!」
この時、母はメンテナンス中で動けず、父は必要な機材の準備で手が離せなかった。
仕方なく、俺は渋々と弟についていくことにした。
子供向けのはずなのに、その子供は買うのが制限されているってのも奇妙な話だと思ったが、まあ金のかかる趣味には往々にしてあることなのだろう。
「やれやれ……付いてはいくが、くれぐれも節度を持って買えよ、と」
「……」
≪ 前 前回までのあらすじ 俺、マスダ! いま、この世界では『ヴァリアブルオリジナル』がすっげえ流行っているんだ。 かくいう俺も、その流行の住人なんだけどね。 今日も家で何...
≪ 前 前回までのあらすじ 俺、マスダ! 『ヴァリアブルオリジナル』の新パックを求めて町に繰り出したんだ。 けど、子供みたいな大人たちのせいで、どこもかしこも売り切れだ。 ...
≪ 前 前回までのあらすじ 俺、マスダ! 体力も限界に近づいていたその時、とうとう新パックを見つけたんだ。 けど、あのジョウとかいう明らかに嫌な奴が、この期に及んで邪魔し...
≪ 前 前回までのあらすじ ん……ああ、終わった? どれくらい時間がかかったか分からないが、決着がついたらしい。 弟の解説によると、デッキの完成度とその戦術の理解度が明暗...