2021-10-19

中小企業IT化(会計編)

雇われ税理士です。

中小企業と書きましたが田舎職員10名程度の会計事務所顧問先なので半分以上が売上1億円未満です。

よって恐らくはてなの皆さんが知るよしも無い町工場や誰が買いに来るの?と思ってしま商店個人飲食店などの話となります

まず基本的経理専属担当者はいません。事務員がいれば事務員、いなければ社長奥さんなどの家族や時には社長自らが帳簿作成領収書請求書の整理、会計ソフトへの入力)を行います

ここから一つ一つ中小企業会計の現状を確認してもらえればと思います

現金

現金管理は帳簿作成の肝です。なぜなら管理が非常に面倒だから毎日入出金がある、金種を数えないと残高が分からない、漏れ現金過不足)が発生しやすいといった理由です。

よって現金使用を減らします。基本はクレジットカード。ただ田舎なので現金のみというお店もあり、完全には無くなりませんが今はほとんどクレジットカード等で決済できます。ただし、クレジットカードで決済しても領収書絶対に保存が必要です。消費税法クレジットカードの利用明細書では仕入税額控除要件を満たさないとされています

仕訳作成クレジットカードの利用明細データ会計ソフトに取り込んで自動仕訳しています自動といっても単に利用した店の名前とその名前で予め設定した仕訳を紐づけてるだけです。よって購入した物によってどの科目の仕訳にするかは選択しなければいけません。ただ打ち込まずにひたすらクリックだけで仕訳作成できるので便利です。クレジットカードと書きましたがキャッシュレス決済ならどれ手段でも同じ方法可能です。

まだ少し残ってしま現金決済の仕訳エクセル現金出納帳を作成し、それを会計ソフトに取り込んで終わりです。こちらは出納帳作成仕訳作成なので、昔のように出納帳作成会計ソフトに打ち込みという時代に比べると工程が減りました。

預金

田舎事情支店が減っているので基本的に全件ネットバンキングです。

仕訳作成データ取り込んで、クレジットカードと同じく予め取引先名で設定した仕訳選択して終わりです。ただ預金の方は電気、ガス、家賃発生主義なので売掛金買掛金取引先名で科目が一つに決まっていることが多く選択肢があまりありません。下手すれば1か月分が5分で終わります。通帳を見て会計ソフトに打ち込む時代は遠くなりました。

ただ車両購入などのスポット的支払いや総合振込は今まで通り仕訳を打つ必要があります

・その他

会計ソフトは便利になりました。

給与給与計算ソフトから自動仕訳を読み込むだけです。その給与計算ソフト給与計算後に振込データ自動作成してくれますので、振込もネットバンキングで読み込むだけです。振込用紙に間違いが無いよう丁寧に名前と金額を確認して記載していた頃が懐かしいです。

仕入会計ソフト取引先毎に約定を設定し、請求書金額を打ち込むと仕入買掛金仕訳データ作成、読み込みしてくれます。そのまま振込データ自動作成しますのでネットバンキングに読み込んで振込まで終わります。これがオールインワンってやつです。(多分違う)未払金も同様です。

源泉所得税住民税、各種法人税もいまや電子納税です。給与にかかる税金給与ソフト計算後に電子納税システムからネットバンキング経由で振込みます、各種法人税も同様で違う点は法人税申告システム会計事務所が使うので終わり次第関与先にデータを送るということだけです。

売上は会計ソフトと同じ会社請求システムを使っていれば取引別に売掛金/売上の仕訳データ自動作成、読み込みして終わりなので仕入れと同じです。

他のソフトを使っていれば、売掛金/売上の仕訳を1本入れて終わりです。他のソフトで残高管理してるので会計ソフト個別管理する必要ありません。

飲食店ですとAirレジスマレジなどタブレットPOSレジデータを取り込めるので日々の売上高自動会計ソフト読み込まれて楽ちんです。

書類の整理

電子帳簿保存法にスキャナ保存制度があるので、領収書スキャナに取り込んで仕訳に紐づけて取り込んでいます領収書文字を読み取って仕訳自動作成するという機能もありますそもそもその機能仕訳を起こすことがあまり無いので利用方法は要研究です。これはタイムスタンプサーバー会計ソフト会社が用意してくれます、有料ですが。ただしこれについては規模が小さい会社が多いので領収書ノートに貼ったり、請求書ファイルに閉じた方が利便性が高く、それなりに紙保存派もいます

しかしながらスキャンデータ仕訳に紐づけすると後から書類確認するのに凄く便利です。

以上この辺りが中小企業会計IT化の現状です。

ITリテラシーが高いはてなの皆さんにとっては、これでIT化などと名乗るなとお怒りかもしれませんが田舎企業でもそれなりには自動化され、ペーパーレスになっていると知って頂きたい思い投稿しました。

では会計事務所は何を?自動仕訳ができたら帳簿の確認必要無くなるのではと思いますでしょうか?

税法的に適正に処理されているか確認は今後もそれなりに必要かと思いますがその必要な場面は減ります。ただこの経理体制会計事務所が導入した単独会計ソフトによるものなんです。それをレンタル料という形でお金を頂いてますB/SP/Lを楽な自動仕訳作成できるという体制を我々がレンタルした会計ソフトガチガチに組んである状況を関与先が手放すと思いますでしょうか?怠惰って魅力ですからもう離れられません。我々と手を切れば会計ソフトと共に自動仕訳体制が無くなりますからね。

ITリテラシーの低い田舎者を騙しているみたいな言い方をしてしまいましが、中小企業は間接業務しかない帳簿作成は手間でしかありません。また社長は悩みをなんでもこちらに相談されるので、我々としても仕訳確認という比較代替可能仕事が減って、社長と業績確認や今後の予測資金繰り相談などなど本来業務と言える経営助言に専念できるのは助かっています

一応我が事務所の関与先黒字化率は70%弱ほどです。

  • 東京で増田より少し規模大きいくらいのとこだけどこんな進んでないわ 何十年単位で付き合いある関与先の70代経営者にIT教えるのをハナから諦めてるし 記帳代行なんて下にぶん投げれ...

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