簡単に自己紹介すると俺はヤンキーだらけのド田舎中流階層出身でF欄卒の氷河期後期世代(もうすぐ40代になる)
例によって就活は全滅で卒業後しばらく工事現場の下っ端警備員をやってた
半年くらいして知り合いのツテで大手の孫受けみたいなとこに運良くアルバイトで滑り込む(基本給12万残業代あり)
ここは意外とホワイト企業だったのでベースの給料は安かったが研修とかに出してもらえたりして1年目から戦力の頭数に入れてもらえたりした
3年くらいいて居心地は良かったんだけど、ちょっとヌルいというか、このままこの会社に骨を埋めるのもなーと思い、転職を夢見て悶々と過ごしていた
転機が訪れたのは自分より格下と思っていた同僚が社員登用されたこと
どう考えてもスキルは俺の方が高かったと思うんだけど、上司の覚えが悪かったのか、社会人になって初めてNOを突きつけられたのが耐えられなかったんだと思う
自分の中で折り合いを付けるためにも、もっと華々しい世界で働いてみたいと思って転職することにした
転職先は六本木にある業界最大手の会社で、1社目での経歴をいい感じに評価してもらえたのですんなり入ることができた
生まれてはじめて経験するキラキラした世界、都心で働く俺スゲーみたいな気分に浸った
要求される技術のハードルも高いが、それ以上に徹夜が当たり前の仕事で、月に4日くらいしか家に帰れないこともザラだった
ここも3年ほど在籍していたが最後の方は精神状態がおかしくなっていて終盤は業務に支障をきたすレベルに病んでしまった
最後らへんはあんまり覚えてないが、総務部とかに大声で訴えてやるとか叫んでたような気がする
結局自己都合で退職して1年くらい引きこもっていた(お金を使う暇がなかったのでそこそこ貯金はあったのだ)
前職のトラウマから同業は避けたかったのでファミレスとかで探すが
年齢が20代後半というのもあってか当時は中々引っかからなかった
なんとか滑り込んだのは出版社のアシスタント(要は使いっパシリ。基本給12万残業代なし)
ここは半年くらい在籍した
会社自体は割とホワイトだったが如何せん給料が安く技術も身につかず将来性の見えない出版業界というのもあって早い時期から転職活動をしていた
4社目はベンチャー(当時は25人くらい)
社長からの訓示は「経営者目線であれ」とのことでそっち系の書籍補助が厚かった(このせいで独立に興味が湧いたのだが)
ここでは2社目のブラック企業で培ったスキルが評価されて早々にリーダーポジションにたどり着く
ベンチャーだったので年次ごとに人が増えていき、組織が出来上がっていくのを目の当たりにした
この過程で当然ながら優秀な人材が入ってくるので、段々自分のポジションが危うくなってくる
しばらくはブラック企業で会得した根性でしのいでいたが、あるとき給与の話になって、後から入社した社員より俺の給料が低かった事が発覚する
俺は割と役員と仲良かったと思っていたのだが評価としてはイマイチだったのか…今回人生で2度目のNOを突きつけられたのだ
ここで会社に対する「拾ってくれた恩義」が一気に消えて
事前に色々と情報収集していたおかげで設立自体は難なくできたが
資本金も底を尽きかけていた時に意を決して、なりふり構わない営業を行い毎日10社にDM送ったりしていた
実際に返事をくれるのは1割以下の会社だったし、毎回サラリーマン時代以上にドライな対応を受けるのだけれども
NOを突きつけられる回数が増えると麻痺してくるというか、じゃあ次いこ!みたいに切り替えが早くなるのである
お金をくれる可能性のある上司が無限にいるかのような錯覚なのかも…
そういう生活を続けていたある日、いい返事をくれたクライアントがいて
そことは今でも永くお付き合いさせてもらっている
まさに捨てる神あれば拾う神ありという事なのか
さらに当時営業に行って軽くあしらわれていた会社からも「人手が足りないので助けてほしい」みたいな話が続々来るようになった
今景気が良いからなのかわからないが、ちゃんと食いつないで行けているし、何だったらちょっと贅沢しても大丈夫
たまたま良いタイミングで時流に乗れただけなのかもしれないが、今人生で初めて余裕のある生活ができている
好きな時に好きなものを食べられるってすごい
今は生きてて良かったと思う