私は女で婚活をしている。婚活を始めて三年目になる。はじめに言っておくとこれはただの覚え書きであり独り言である。
一説では三年婚活して結婚できない女は一生結婚できないとすら言われているらしい魔の三年目だ。
なにせ三年も婚活をしているのだ、しかもその間休止もせず毎週コンスタントにパーティーに通い婚活サイトに登録し相談所に登録し続けてきた。
会った人数は途中で数えるのを止めた。
三年も婚活をすると初めの頃は解らなかったことが解るようになり解っていたことが解らなくなる。
解るようになったことはどんな人にも必ず長所と短所があるという普通なら幼稚園で習うような内容だ。
そんなこと普通なら幼稚園で習っていただろうけれど如何せん三年婚活してやっと気がついたのだ。痘痕も靨、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、隣の客はよく柿食う客だ。
そこまで気がついてじゃあなんで三年も相手が見つからないのかと考えた。
なにせとんでもなくやばい人なんて5人に1人くらいしかいなかった。殆どは真面目な普通の人だった。
まず第一に私が相手にとってとんでもなくやばい奴だったパターンが有る。恐らくこれが理由の8割だけど今回そのことについて考えると三年目の婚活が一年目の終活になるから辞めておきたい。
むしろ三年も婚活した女が真面目に終活出来るとも思えない。終活のことはよく知らないけれどそもそも遺言を残す相手もいないのだからHDD叩き割って首吊るだけで終わる終活をわざわざする必要があるだろうか。
閑話休題、考えるのは2割の、相手の方は良い返事をくれたのに一歩踏み出せなかったパターンだ。そも2割もあっただろうか、0.2割の間違いかもしれない。
とにかく数少ないその良いご縁に乗れなかった理由はなんだろう。
一つはとにかく自分のプライドが高いことだ。プライドが高いから相手によく見せるために兎に角良いことを言いまくる。自分の中で決めている約束事の一つに嘘をつかないがあるので嘘はつかない代わりに本当のことも言わないのだ、もはや詐欺に近い。
休みの日に家から出る用事なんて婚活パーティーに行くか夕飯の買い物(何故なら昼まで寝ているから朝食と昼食がいらないから)かイベントに行くかだ。
イベントといっても勿論DJ(そういえばDJってなんの略なんだろう)がよくわからない何かを回してるようなレーザーがスマホに穴をあけるようなピーポーがパーリーしているイベントではない。
つまりオタクによるオタクのための薄い本の祭典に行くときくらいしか外にでない。
友達もいないのでオフ会すらいかない。オフ会で知り合って恋愛に発展する可能性も0だ。そんな意識の低いオタクは早々に結婚して夫婦仲良くネトゲで遊んでいればいい。
そんな意識の高いオタクもいざ婚活で知り合った男の前では趣味はショッピングだし読書だし料理なのだ。
言えても「最近少しゲームにも興味があって❤ポケモンやってます❤」までで決して厳選の話なんてしない。いや私厳選やったこと無いけど。
そうすれば相手は出社前にスタバでラテ買ってハイヒール慣らしながらカーディガン肩に掛けてお昼は流行のお店のパンケーキ食べてる女子と付き合っている気持ちで告白してくるのは当たり前で、これは相手は何一つ悪くない。
相手は何一つ悪くないからこそ、私はそこまで行ってやっと「ヤバい」と気がつくのだ。
何がやばいってパンケーキは好きだけど写真撮る前にさっさと食べ終わってしまうタイプな事だ。いやこれは別にいいか。
しかも食べ終わってから写真のことを思い出して食べ終わった空き皿をとりあえず写真に撮ってしまうタイプな事だ。これは普通に止めたい。
兎に角私ではない私に告白されて始めて焦るを繰り返している。普通の人なら三人目くらいで気がつきそうなことを三年繰り返しているのだからそりゃ相手も決まるわけがない。むしろ決めなかったことは相手にとって僥倖だったと思う。
これが初めの頃は解っていたことが解らなくなったことの一つだ。
兎に角みんな真面目な普通の良い人ばかりで悪い言い方をしてしまうと特徴があまりない。
いや、最近のブームは競馬に50万突っ込むことですと言われたら印象には残るけれどその特徴は残さない方がいいだろうし。
そして競馬の部分をソシャゲにされると私は何も言えなくなってしまうので(なぜなら私も課金しているから)やはりそんな印象は残さなくて良いと思う。
とにかく選ぶ決め手がないのだ。
これを言うと人生の先輩方に「それは自分が結婚する覚悟が決まってないからだ」と言われる。全くその通りで私は結婚して夫婦としてやっていく覚悟が全く決まっていない。
決まっていない中で三年も婚活してきたという事実に三年目にしてやっと気がついたので筆を取ってみたというのが今回の主題だ。
そもそも結婚して何をしたいという事もない。殊更どうしても専業主婦になりたいわけでもないし絶対に子供が欲しいわけでもない。
ただ一人で生きていくにほ如何せん能力が不足しているので誰かと助け合いたい、位の気持ちで婚活してきた。
よく考えれば自分一人で生きていく能力が無い女が他人と生きる能力があるわけが無いんだけれどそれもまあ三年目にして気がついた。
更に言うと、こんな事に今更気がついたのかという話なのだが、私は多分他人に恋をしたことがない。
この人を好きだとか独占したいだとか自分を好きになって欲しいだとかそういう意欲が全くないのだ。
そう言うと上記のよく見せたいと矛盾していると思われそうだけれど私は私をよく見せて相手にイイ女だと思われたいというプライドエベレストでは有るけれどよく見られて惚れられたい訳でなく
学校の先生には良い生徒だと思われたいけれど先生に惚れて欲しいわけではないというか。
お店の店員さんに良いお客さんだと思われたいけど店員さんに惚れて欲しいわけではないというか。
なんというかとにかくそういう奴で所謂独占欲や征服欲やなんかそういうものが全く無かった。
そういうものが全くないから相手の予定も聴かないし積極的に会おうともしない。
むしろ出不精なのでなるべく会わないように済ませようとし出す。
もはや初対面が結婚式でも良いとすら思えてくる程だが本末転倒だしいくらなんでも結婚式場で相手がカメレオンだったりしたら相手のカメレオンが可哀想だからやっぱり結婚前には会っておきたい。
何の話だったか忘れてきた。
要するにとにかく結婚に向いていない女なのだと三年間高いお金を払い続けてやっと理解してきたのだ。
だというのに恐らく三年目、四年目も婚活を続けるのには理由がある。
燃えるような恋がしたい。
少女漫画のような恋がしたい。
目と目が合うと素直にお喋り出来ない恋がしたい。
そんな普通の人が中学生か早けりゃ小学生で終える感情だけで婚活を続けている。
恐らくそんな相手には婚活をしている限り出会えない、これは婚活が悪いわけではなくてシステムの問題で、婚活は綴り書きありきで進むものなのだから仕方がない。
そこまで理解していてもなお婚活を続ける理由はまだ理解できていない。恋がしたいなら婚活では駄目だと理解していてなお婚活にしがみつく理由、もしかしたら四年目に解るのかもしれない。
望みが高すぎるのと違うか