はてなキーワード: 匿名集団とは
ってのがあると思う。
倫理や道徳をぜんぶとっぱらって快楽的に騒げる、非日常的なお祭りの場を追求していった結果、無意識にネットワークされた犯罪者集団になってしまった彼らを、いつか救える日がくるのだろうか。彼ら自身が忘れられる日が来るのだろうか。それとも魂を亡くしたふりをつづけるうちに、本当に肉体を伴った虚無に成り果ててしまうのだろうか。
ある程度はてなみたいな場所で時間を費やしている人ならば、その存在と恐ろしさに気づいている人も多いはずだ。そのなかには言論で食っている人や社会に対して影響力を有している人も含まれている。
せいぜい淫夢厨が事件を起こしてニュースになったときに、物知り顔して「ああ、"彼ら"ね。犯罪はよくないよね」と眉をひそめるだけだ。
重大な問題だとは思っていないし、そう考えている人でさえ具体的に批判しようとはしない。なぜなら、彼らはトロール行為を働くのに躊躇しないから。twitter アカウントにリプライ爆撃を食らうだろうし、ブログは荒らされるだろう。個人情報をハックされてしたり、リアルでストーキングされる危険すらある。下手に刺激して、巻き込まれたくはない。
こうして、普段は一国の首脳や大企業に臆さず物申す正義の人々が、とある匿名集団を前にしたとたん、目をつぶってやりすごす捻れ現象が起きる。
これが2016年のインターネットだ。批判的な文脈であれ肯定的な文脈であれ、誰も淫夢文化の細部や影響について語ろうとしない。どころか、下手したら「わたしたちの清く美しいインターネットにそんな下衆で野蛮な部族は存在しない」かのようにふるまっている。宗教や政治や信念や道徳観念について激しく対立する相手にすら存在の承認を与えているのに、最も騒がしく、政治的信念関係なく「悪いこと」をやっている集団に対しては沈黙する。
魂を亡くした亡者たちと俺たちは同一の地平に暮らしているのだ。
地獄だよ。
過去の時代が美しい、というセンチメンタルな人々には与しないが、過去が野蛮だというこの人のセンスには、もっと賛成できない。
『ハトは最も残酷だ』という話を思い出す。強力な牙も爪も持たない無力なハトは、群れることで生き延びている。そんな彼らは、しばしば仲間イジメをする。そのやり方とは「全員でなぶるようにつついて集団から追い出す」だ。一撃一撃はソフトだが、集団でやればそのダメージは計り知れない。そして、元々無力なハトは集団から追い出されれば死ぬしかないのに、追い出す側は「オレは一突きつついただけだ」と、罪悪感を感じない。
この人の言う「現代メディアの『配慮』」とやら、そして、それらが煽り立てる匿名集団による炎上行為は、ハトの残酷さを思い起こさせる。誰も責任を取るつもりのないソフトなリンチがまかり通る社会。日ごとに悪ふざけのような発端で祭り上げられる犠牲者と、次の犠牲者を指さしながら、巧みに被害を被らないようコソコソ「善良に」語ろうと「配慮」する強者(メディア)たち。個人の強い意思や人間性といった尊いものが、その中でどんどんと失われていく。ハトのリンチに誰もが脅え、身を隠そうとすり減らす毎日。
『荒々しくて粗雑で野蛮な時代』というのは、一体いつの時代のことなのか?
あるいは、こう言うべきなのかもしれない。
我々が『荒々しく粗雑で野蛮』でなくなったと思っているとすれば、それは幻想だと。