はてなキーワード: カイ二乗とは
この記事の元増田にあたる「HPVワクチンの副反応に関する3/16の発表に関して」を投稿してから早3ヶ月が経過した(Oh...)。
この3ヶ月で、池田氏の症例報告(*1)はパブリッシュされ、村中璃子氏による池田氏の発表を対象とした一連の記事は完結を迎えた。
この追記記事では、池田氏の症例報告、一部ブコメへの返答、村中氏の記事に対する批評を主としておこなう。
なお、字数オーバーしてしまったため、前後編に分けて投稿する。
3/16時点ではIn pressであった氏らの症例報告について批判をおこなう。
Abe et al. (2016) Monoarthropathy or Polyarthritis in Adolescent Japanese Girls Who Received Immunization with the Human Papillomavirus Vaccine. Case Reports in Clinical Medicine, 5, 109-114.
http://www.scirp.org/journal/PaperInformation.aspx?PaperID=64855
この症例報告はHPVワクチン接種後に単関節炎または多関節炎を発症した2人の日本人少女についての報告である。
細かい内容は各自に読んでいただくとして、この報告の問題点を端的に表すのは以下の一文である。
4. Conclusion
日本語に訳せば「結論:HPVワクチンは、稀に関節病変を引き起こすかもしれない」といった感じか。
元増田でも指摘したが、疫学的に調査しなければワクチンと疾患の因果関係は明らかにできない。
それにもかかわらず、たった2人の症例報告でこのような結論に達するというのは、どう考えても言い過ぎである。
文章自体は弱い表現(may occasionally)を使っているが、疫学的にはHPVワクチンと各疾患の関連は概ね否定されているため、結果として強い表現になっており、極めて不適切な結論であると言わざるを得ない。
ROYGB http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201510/0008513286.shtml のような重い症状の人が未接種者にもいるのかどうかが知りたいところ。
まず前提として、HPVワクチンの接種によって各疾患の発症リスクは上昇しないというエビデンスが存在する。
これは元増田で示しており、コメントを下さった方もそれは承知していると思われる。
したがって、上記のブクマコメントは「HPVワクチンの接種によって、自然に罹患した疾患が重症化するリスクが上昇するのではないか?」という意見だと受け取らせていただいた。
名古屋市の調査結果(*2)を見ていただくとわかるが、「物覚えが悪くなった」「普通に歩けなくなった」「杖や⾞いすが必要になった」等の症状の頻度は接種者と非接種者の間で差がなかった。
また、複合性局所疼痛症候群(CRPS)などの疾患においては記憶障害や運動障害が症状に含まれることが知られており (*3)、HPVワクチン接種者に特有の症状というのは今のところ見つかっていない。
よって、HPVワクチン接種による疾患の重症化リスクの上昇は恐らくないものと結論付けても良いだろう。
重症化リスクに着目した論文が見当たらなかったため少々歯切れは悪いが、これで疑問への回答となっただろうか?
もし納得いただけたなら幸いである。
子宮頸がんワクチンと遺伝子 池田班のミスリード ― 利用される日本の科学報道(前篇)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6418
これらの記事は主に、HPVワクチン副反応とHLA型が関連しているという主張および池田氏の発言について批判している。
指摘の内容は基本的に私の書いたものとほぼ同じであり、これについては特に付け加えることもない。
ただ、私がスルーしてしまった点として、鹿児島大のデータで示されている有意差について実際に計算すると有意にならないということが示されている。
試してみると、確かにFisher’s Exactでもカイ二乗でもP<0.001にはならず、なぜ資料ではこんな値が出されていたのか、大いに疑問である。
実は有意水準ではなくP値の方を1/10してしまったなんてことは......まあ流石に無いだろう。
(後編へ続く)
*1 Abe, R. , Kinoshita, T. , Hineno, A. and Ikeda, S. (2016) Monoarthropathy or Polyarthritis in Adolescent Japanese Girls Who Received Immunization with the Human Papillomavirus Vaccine. Case Reports in Clinical Medicine, 5, 109-114.
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000073/73419/sokuhou.pdf
*3 Schwartzman, R. (2012) Systemic Complications of Complex Regional Pain Syndrome. Neuroscience & Medicine, 3, 225-242.
そもそも検定というのは、
「A(とB)は性質Xを満たすかもしれない」
という仮定があったとき、
「もし「A(とB)は性質Xを満たす」としたら、A(とB)の統計量Fは分布Dに従うはず。
それでは実際にそうなるか、見てみよう」
というテストを行うこと。
(どれだけ頑張っても「本当にAは性質Xを満たすのか?」が100%確実になることはないことに注意。)
カイ二乗分布というのは上の説明のうち「D」にあたるところによく用いられる、特別な分布。
どんな分布でも数集めた平均が正規分布に従う(中心極限定理)ように、
http://anond.hatelabo.jp/20101215000319
統計できる人って数字みてどの検定を使うかすらすらでるもんなの?
例えばさー、プラズマクラスターとインフルエンザ発症のデータをみてすぐ出てくるもん?
インフルエンザ発症件数 観察症例 合計観察日数
俺はこういうのみるとカイ二乗検定でもするかなって思っちまうんだけども、元記事だとぜんぜん知らん検定を使ってた。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/201011/517460.html
コクラン・マンテル・ヘンツェル検定とか並び替え検定って社会で実際に必要になる(低い)レベルの数学?
これにカイ2乗検定つかっちゃいそうになる俺ってそのレベルの数学すらままならない人?
追記
コクラン・マンテル・ヘンツェル検定ってカイ二乗検定の一種らしい。
俺はピアソンのしか使えん。
プラズマクラスターをよいしょするつもりはないが、カイ二乗検定で有意差が出せなかったからといって叩くのはどうなんだろう。
使う検定にもよるけど、カイ二乗検定じゃ統計なんか使わなくても誰が見ても一目でわかるようなデータじゃないと有意差なんかだせないし。
有意差がなかったからといって、「有意差がなかった=帰無仮説が正しい」、ではなく「帰無仮説が間違ってるとは言えない」と言える人間がどれほどいるのだろうか?