ストレート合格率が驚くほど低かったり、姫路獨協大が薬学部の募集停止をしたりして、近年局所的な盛り上がりを見せている私立底辺薬学部。
今日はそんな底辺薬学部に通って6年目。これから国家試験を迎えようとしている私が内情を少し書いてみようと思う。
通っている薬学部は地方にある入学偏差値37.5の薬学部だ。BFではないので厳密にはFランではないが世間一般的にはFランと呼ばれる偏差値である。私が入学した頃、充足率は100%を越えていたのに、いつからか定員割れをして今では充足率も100%を切っている。
一般的に低偏差値の大学というと学力的にやばい方が多くて、ごくごく希に近所の優秀な人がなぜか来ることがあるといった印象を持つ人が多いだろう。しかし、薬学部だとそうとは限らない。弊校が地方部に立地しているのと、資格さえ取ってしまえば学歴があまり関係なくなることもあってか、地元の優秀層が毎年一定数入ってくる。割合でいうとだいたい1~2割といったところだろうか。弊校の場合、特待生枠が増えた下の代からその割合が多くなっている。県内唯一というのもあり、県内トップレベルの進学校から、あなたもっと上の大学を目指せたでしょうという人間がごろごろいる。だいたい漏れなく特待生だ。もちろん入学偏差値の低さからとてつもなく勉強ができない方も入ってくるし、その難易度の低さから脱サラして入ってくる社会人経験者や高卒認定を取得して入ってくる人もいる。恐らく学生の多様さは高偏差値の薬学部より勝っているだろう。この多様さが魔境にせしめたる一因だ。
薬学部は入学するまでの学力より、入ってからの学力が物を言う世界だ。これがFラン薬学部をさらに魔境にさせる。下克上が簡単に起こる。地元の進学校から来た特待生が成績下位層に落ちるなんてざらだし、入学時成績が下位だった子が今では上位層なんてこともよくある。私の学年なんか入試成績上位1割に設定されていた特待生の内、今でも学年の上位1割に留まり続けているのはたった一人だけだ。なんなら特待生だったのに国試怪しいなという人も何人かいる。入った時の成績でしか特待生になれないのマジでなんなのだろうな。
学力のサラダボウルになっているから上はどんどん勝手に勉強して伸びてくし、下は下で勉強についていけなくてドロップアウトしていく。弊校、単位認定がザルなので余程ことが無い限り落単なんてあり得ないのだけど、それでも単位が取れなくて留年していく人はまぁまぁいる。普通は再試にならないと言われているCBT試験(車の免許で言うところの仮免許試験みたいなやつ)でさえ1割ぐらい再試になっていたし、再試でさえ落として留年した子もいる。入学した同期の内、1割強は留年や退学などでいなくなった。6年まで来て1割強だとかなり薬学部としては健闘しているようにみえるかも知れないが、弊校は卒業試験で絞る大学だ。ここで2~3割程が消える年もある。今年はどうなのだろうね。去年が酷かっただけに今年は厳しくなるかもしれない。
他の薬学部の雰囲気を知らないから一般化できないけど、バイタリティーが無い人間が多い。バイタリティーに満ちあふれているとは言い難い私でさえ、バイタリティーに満ちあふれていると言われる。バイタリティーがないからかチャレンジングな人間が少ない。入りたいサークルが無いという理由でサークル活動をしない子が多い。ないなら創ってしまえばいいのに。学年全体にやんわりと「企業なんか......」という空気がはびこっていて、企業志望の人間が超少ない。学歴フィルター以前の問題だ。今年なんか数少ないチャレンジングな人間はほとんど院進するか医学部再受験だよ。
バイタリティーが無いばかりか体力も無い人間が多い。「講義疲れたから帰る~」 「今から勉強するの疲れてむり~」 「一日4時間が限界、10時間なんでできない」国試を迎える学年なのに平然とこのようなことを言う人が多い。国試厳しそうな人間ほどこのような傾向が強い。講義疲れたと言ってもたがが2コマだけである。なにをふざけたことを抜かしているのか。この1年間の勉強の出来で生涯年収が1000万から変わってくるのだぞ。
大学も大学で結構酷い。パンフレットには4年次から研究室配属がされ6年次まで研究ですと書いてあるのに、蓋を開ければ実質5年次の実習に行っていない半年間だけだ。詐欺である。5年次以外の時間なにをしているのかというと対策講義だ。4年ならCBT対策だし、6年なら国試対策である。隙あらば講義といわんばかりに講義が所狭しと設定されている。最近では5年次にも国試対策が浸食してきている。弊薬学部の研究が活発でなく5年次に遊んで堕落する人が多いかららしい。知らんがな。正直言ってクソである。こっちは研究に勤しみたいのだよ。ビジネスの都合なのは十分承知しているけど、ここは小学校か。大学なんやし自己責任で片付けろよ。対策講義なんて先生方の自己満みたく感じる。国試対策の方は少なからずありがたみを感じているけど、CBT対策に関しては完全にそうだったと思う。対策講義を受けるべき層はかなりサボるし、受けなくても余裕な層には冗長しい。ぶっちゃけそんなことさせるぐらいなら4年からバリバリ研究させた方がもうちょっと成績もマシになると思う。
ここまでつらつらと書いてきたが、底辺薬学部での生活はその人の主体性と関わる人間に大きく左右されるように感じる。冗長しい対策講義も、逆に言えば恐ろしい程手厚い学習サポートと捉えば大きなメリットである。入学してくる学力層も富んでいるから賢い子と仲良くなって勉強を教えてもらったり、その子からモチベーションを得たりすることも出来る。けど最終的には当人の主体性がなければこれらは全て得られない。主体性がなければ、ただただ一千万超えの学費と6年という時間を溶かすだけだろう。
全部読んだ。 畑違いで雰囲気がよく分からないけど、普通に面白く読めた。